IgA腎症へのatrasentan、eGFR低下を長期抑制するか/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2026/06/26

 

 選択的経口エンドセリンA受容体拮抗薬であるatrasentanはIgA腎症患者において、プラセボと比較して2.5年間にわたり蛋白尿を減少させ、腎機能低下を抑制した。この効果はSGLT2阻害薬の併用の有無にかかわらず認められ、忍容性は良好であった。オランダ・フローニンゲン大学のHiddo J. L. Heerspink氏らALIGN study groupが、20ヵ国133施設で実施した第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「ALIGN試験」の最終解析結果を報告した。同試験の事前に規定された中間解析(36週時点)では、atrasentanはプラセボと比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある蛋白尿の減少をもたらしたことが報告されていた。Lancet誌2026年6月13日号掲載の報告。

第III相無作為化試験の2.5年間の最終解析

 ALIGN試験の対象は、生検によりIgA腎症と確定診断され、スクリーニング前12週以上安定した至適用量のレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬投与下で、eGFRが30mL/分/1.73m2以上かつ尿中総蛋白排泄量が1.0g/日以上の成人患者であった(主要解析集団)。

 安定用量のRAS阻害薬に加えて安定用量のSGLT2阻害薬を12週以上投与されていた患者は、探索的にSGLT2阻害薬併用集団として登録した。

 研究グループは、適格患者をatrasentan群(0.75mgを1日1回経口投与)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。投与期間は132週間で、その後、4週間の追跡期間を設け、136週時の受診を完了した患者は任意で48週間の非盲検延長投与期間に移行した。

 主要アウトカムは、主要解析集団におけるベースラインから36週時までの24時間蓄尿による尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)の変化量で、中間解析で評価され、すでに報告されている(ジャーナル四天王「高リスクIgA腎症へのatrasentan、重度蛋白尿を改善/NEJM」)。

 本論で報告する重要な副次アウトカムは、主要解析集団におけるベースラインから136週時までのeGFRの変化量で、無作為化されたすべての患者を解析対象とした(ただし、中間事象[IgA腎症に対する制限薬もしくは代替薬の投与開始、または腎代替療法の開始]発生後のデータは除外)。安全性は、試験薬の投与を少なくとも1回受けた無作為化された全患者を対象に評価された。

atrasentanの蛋白尿低減効果は持続

 2021年3月15日~2023年4月28日に、404例が無作為化された(主要解析集団340例、SGLT2阻害薬併用集団64例)。

 主要解析集団において、重要な副次アウトカムである136週時のeGFRのベースラインからの変化量は、atrasentan群-7.5mL/分/1.73m2(95%信頼区間[CI]:-9.2~-5.8)、プラセボ群-9.9mL/分/1.73m2(95%CI:-11.7~-8.1)であり、群間差は2.4mL/分/1.73m2(95%CI:-0.1~4.8、p=0.057)であった。

 4週間の追跡期間中にeGFRの上昇が認められなかったことから、投与を終了した132週時のeGFRのベースラインからの変化量が評価項目として事後に追加された。その群間差は2.6mL/分/1.73m2(95%CI:0.1~5.0、名目上のp=0.039)であった。

 また、重要な副次アウトカムの支持的解析項目として評価した136週時までの総eGFRスロープは、atrasentan群-2.7mL/分/1.73m2/年(95%CI:-3.4~-2.1)、プラセボ群-4.1mL/分/1.73m2/年(95%CI:-4.8~-3.4)、群間差は1.4mL/分/1.73m2/年(95%CI:0.5~2.3、名目上のp=0.0033)であった。

 SGLT2阻害薬併用集団では、136週時のeGFRのベースラインからの変化量は、atrasentan群-1.5mL/分/1.73m2(95%CI:-5.7~2.7)に対し、プラセボ群-10.6mL/分/1.73m2(95%CI:-15.0~-6.2)で、群間差は9.1mL/分/1.73m2(95%CI:3.0~15.2)であった。

 主要解析集団において、治療下で発現した有害事象はatrasentan群(157/169例、93%)、プラセボ群(159/170例、94%)でおおむね同様であり、新たな安全性シグナルは認められなかった。

 atrasentan群でプラセボ群よりとくに発現割合が高かったのは体液貯留で、それぞれ14%(24/169例)、12%(20/170例)であった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 浦 信行( うら のぶゆき ) 氏

札幌西円山病院 名誉院長

J-CLEAR評議員