COPD、多遺伝子リスクスコア併用で診断能改善/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2025/02/03

 

 医師による慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断を受けたことがない成人において、従来の修正肺機能質問票(mLFQ)スコアにCOPD多遺伝子リスクスコア(polygenic risk score:PRS)を併用すると、mLFQのみによるアプローチと比較して、中等症~重症のCOPDの診断能が改善することが米国・Boston University Chobanian & Avedisian School of MedicineのJingzhou Zhang氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年1月22日号で報告された。

米国の2つの観察研究データを解析

 研究グループは、COPDが未診断の集団において、従来のリスク因子や呼吸器症状に関する質問票にCOPD PRSを加えると、COPDの同定が改善されるかを検証する目的で横断的なコホート研究を行った。

 解析には、米国の2つの観察研究(フラミンガム心臓研究[FHS]、COPD-enriched Genetic Epidemiology of COPD[COPDGene])のデータを用いた。対象は、35歳以上のCOPDの診断歴がない集団であった。mLFQスコア単独とmLFQスコア+COPD PRSのCOPD診断能を比較した。

 主要アウトカムは、スパイロメトリーを用いた定義に基づく中等症~重症のCOPD(1秒量[FEV1]/努力肺活量[FVC]<0.7、FEV1[予測値に対する割合]<80%)とした。

FHS、COPDGeneともAUCが有意に改善

 COPDの診断歴がない、FHS参加者3,385例(年齢中央値52.0歳、男性45.9%)とCOPDGene参加者4,095例(56.8歳、55.5%)を解析の対象とした。このうち、それぞれ160例(4.7%)および775例(18.9%)が、スパイロメトリーを用いた定義に基づく中等症~重症のCOPDであった。

 FHSでは、中等症~重症COPD検出の曲線下面積(AUC)が、mLFQスコア単独の0.78からmLFQスコア+COPD PRSで0.84へと有意に改善した(p<0.001)。また、COPD PRSを併用することで、COPDGeneでは非ヒスパニック系のアフリカ系アメリカ人でAUCが0.69から0.72(p=0.04)へ、非ヒスパニック系白人で0.75から0.78(p<0.001)へと、いずれも有意に改善した。

 再分類能に関してスパイロメトリーに基づくリスク閾値を10%とすると、mLFQスコアにCOPD PRSを併用することで、FHSにおけるCOPDへの再分類の割合は13.8%(22/160例、95%信頼区間:6.6~21.0)となった。一方で、COPDGeneではこのような改善は得られなかった。

 著者は、「COPD PRSがCOPDの診断とアウトカムに与える影響を評価するには、さらなる研究が必要である」としている。

(医学ライター 菅野 守)