スマートウォッチの不整脈通知、心房細動の陽性適中率は84%/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2019/11/28

 

 スマートウォッチ(Apple Watch)とスマートフォン(Apple iPhone)のアプリケーションを活用したモニタリングで不整脈が検出通知されたのは約0.52%と低率であったが、検出者に心電図(ECG)パッチを郵送し遠隔モニタリング診療を行った結果、その後に34%で心房細動がみられた。スマートウォッチの不整脈通知とECGパッチによる心房細動が同時に観察された割合(陽性適中率)は84%だったという。米国・スタンフォード大学のMarco V. Perez氏らが、約42万人を対象に行った大規模試験で明らかにし、NEJM誌2019年11月14日号で発表した。装着可能な光学センサー機器は不整脈の検出を可能とするが、光学センサーを搭載したスマートウォッチとアプリケーションの組み合わせで心房細動を特定できるかは明らかにされていなかった。

スマートウォッチの不整脈検出者に心電図パッチを郵送し遠隔モニタリング

 研究グループは2017年11月29日~2018年8月1日にかけて、自己申告で心房細動の既往がなく、アップル製のスマートウォッチとスマートフォンを所有している22歳以上の英語が堪能な米国居住者を適格とし試験を行った。試験参加への同意を得た参加者に、App Storeからアプリケーションをダウンロードしてもらい、不整脈のモニタリングを行った。

 スマートウォッチベースの不整脈通知に関するアルゴリズムが心房細動の可能性があると識別した場合、遠隔診療が開始となり、対象参加者にECGパッチを郵送して最長7日間装着してもらった。さらにその後、不整脈通知の90日後と試験終了時に調査を行った。

 試験の主目的は、スマートウォッチの不整脈通知を受けた参加者のうちECGパッチで心房細動が認められる割合と、脈拍間隔不整の陽性適中率(標的信頼区間0.10)を推算することだった。

スマートウォッチの不整脈通知受信は0.52%、そのうち34%で心房細動

 試験には41万9,297例が参加した。モニタリング期間中央値は117日で、その間に2,161例(0.52%)がスマートウォッチの不整脈通知を受け取った。ECGパッチは、通知をしてから平均13日後に装着され、解析可能データを含むECGパッチデータをメール返信した450例中、34%(97.5%信頼区間[CI]:29~39)で心房細動が認められた。65歳以上の参加者についてみると、その割合は35%(同:27~43)だった。

 スマートウォッチの不整脈通知を受け取った参加者において、その後にスマートウォッチの不整脈通知とECGによる心房細動が同時に観察される陽性適中率は、0.84(95%CI:0.76~0.92)だった。不整タコグラムとECGで心房細動が同時に観察される陽性適中率は、0.71(97.5%CI:0.69~0.74)だった。

 スマートウォッチの不整脈通知から90日後の調査で回答(メールで返信)した1,376例のうち、57%が同試験の外部の医療者とコンタクトをとっていた。

 重篤なアプリ関連有害事象は報告されなかった。

 なお今回の試験について著者は、「今回提示したサイトレス(被験者の受診を必要としない)のプラグマティック試験デザインは、装置使用者の自己評価によるアウトカムやアドヒアランスが大規模プラグマティック試験として確実にできることを示した」と述べている。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 香坂 俊( こうさか しゅん ) 氏

慶應義塾大学 循環器内科 専任講師

J-CLEAR評議員