末梢動脈疾患へのチカグレロル、クロピドグレルと同等/NEJM

症候性末梢動脈性疾患の患者に対し、抗血小板薬チカグレロル(商品名:ブリリンタ)の有効性はクロピドグレルと同等で、優越性は示されなかった。また、急性肢虚血や重大な出血といった有害事象の発生率も同等だった。米国・コロラド大学のWilliam R. Hiatt氏らが、約1万4,000例の患者を対象に行った、無作為化二重盲検試験の結果、明らかにしたもので、NEJM誌オンライン版2016年11月13日号で発表した。先行試験において、クロピドグレル単独療法群はアスピリン群と比べて心血管イベントリスクを有意に抑制することは示されていた。
心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中の発生率を比較
研究グループは、症候性末梢動脈性疾患の患者1万3,885例を無作為に2群に分け、チカグレロル(90mg、1日2回)とクロピドグレル(75mg、1日1回)を、それぞれ投与した。被験者は、足関節上腕血圧比(ABI)が0.80以下、または下肢血行再建術の病歴があった。また、年齢中央値は66歳、72%が男性で、ABI基準で被検者となったのは43%、下肢血行再建術の病歴があったのは57%だった。
有効性に関する主要エンドポイントは、判定心血管死、心筋梗塞、虚血性脳卒中の複合エンドポイントだった。安全性に関する主要エンドポイントは、重大な出血だった。
急性肢虚血、重大な出血発生率も同等
追跡期間中央値は、30ヵ月だった。ベースラインのABI平均値は0.71、76.6%に跛行が、4.6%に重症肢虚血がそれぞれ認められた。有効性に関するエンドポイント発生は、チカグレロル群は6,930例中751例(10.8%)、クロピドグレル群は6,955例中740例(10.6%)で、両群間の有意差は認められなかった(ハザード比[HR]:1.02、95%信頼区間[CI]:0.92~1.13、p=0.65)。
急性肢虚血による入院率は、両群ともに1.7%(HR:1.03、95%CI:0.79~1.33、p=0.85)、重大な出血発生率も両群ともに1.6%(1.10、0.84~1.43、p=0.49)と同等だった。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)
[ 最新ニュース ]

吸入treprostinil、間質性肺疾患による肺高血圧症の運動耐容能を改善/NEJM(2021/01/26)

ALK陽性肺がん1次2次治療にブリグチニブ国内承認/武田薬品(2021/01/26)

非小細胞肺がん、ニボルマブ+イピリムマブ+2サイクル化学療法の1次治療の成績(CheckMate 9LA)/Lancet Oncol(2021/01/26)

コーヒーは乳がん発症を抑制するか~大規模メンデルランダム化研究(2021/01/26)

片頭痛に対する抗CGRP抗体ガルカネズマブの有効性~メタ解析(2021/01/26)

退院1ヵ月後の統合失調症患者の健康状態に影響を及ぼす要因(2021/01/26)

新型コロナ、5割以上が無症状者から感染/CDC(2021/01/26)
[ あわせて読みたい ]
Dr.林の笑劇的救急問答12<上巻>(2016/10/07)
Dr.加藤の「これだけ眼科」(2016/10/07)
イワケンの「極論で語る感染症内科」講義 (2016/08/07)
総合内科専門医試験対策 アップデート問題はココが出る!2016 (2016/07/29)
フィーバー國松の不明熱コンサルト (2016/04/07)
Dr.たけしの本当にスゴい症候診断2(2016/02/07)
ナベちゃん先生のだれでも読める心エコー(2015/12/07)
Dr.香坂のすぐ行動できる心電図 ECG for the Action! (2015/10/07)
ナベちゃん先生のだれでも撮れる心エコー(2015/09/08)
HDLの質に注目した新たなアプローチ ―脂質異常症患者における高純度EPA製剤の投与意義―(2015/07/10)
専門家はこう見る
EUCLID試験:クロピドグレルの先進性は驚異的(解説:後藤 信哉 氏)-615
コメンテーター : 後藤 信哉( ごとう しんや ) 氏
東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授
J-CLEAR理事