HCVに1日1回IFNフリーレジメンが有用/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/08/13

 

 C型肝炎ウイルス(HCV)感染のインターフェロン(IFN)フリー治療として、シメプレビル+ソホスブビル併用療法は肝線維化の程度にかかわらず高い効果を発揮し、忍容性も良好であることが、米国・テキサス大学健康科学センターのEric Lawitz氏らが行ったCOSMOS試験で示された。HCV遺伝子型1型感染の治療は、従来のペグインターフェロン+リバビリン療法から直接作用型抗ウイルス薬を含むIFNフリーのレジメンへと進化している。シメプレビルは1日1回経口投与のNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、ソホスブビルは1日1回経口投与のヌクレオチドアナログNS5Bポリメラーゼ阻害薬であり、いずれも未治療および既治療の遺伝子型1型感染患者の第III相試験で良好な持続的ウイルス消失(SVR)率を達成している。Lancet誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告。

IFNフリーの併用レジメンの有用性を無作為化試験で評価
 COSMOS試験は、慢性HCV感染患者に対するシメプレビル(SIM)+ソホスブビル(SOF)±リバビリン(RBV)併用療法の有用性を検討する非盲検無作為化試験。対象は、年齢18歳以上、血漿HCV RNA量>10,000IU/mL、HIV血清反応陰性で、代償性肝疾患がみられ、ペグインターフェロン+リバビリン療法が無効または未治療のHCV遺伝子型1型感染患者であった。

 被験者は、SIM 150mg/日+SOF 400mg/日+RBV 1,000~1,200mg/日(24週)、SIM 150mg/日+SOF 400mg/日(24週)およびそれぞれを12週投与する4つの治療群に無作為に割り付けられた。さらに、肝線維化の指標であるMETAVIRスコア(F0[線維化なし]~F4[肝硬変])で2つのコホートに分けられた(コホート1[F0~F2]:前治療無効例、コホート2[F3~F4]:前治療無効例、未治療例)。

 主要評価項目は、治療終了後12週時のSVR(HCV RNA量<25IU/mL、SVR12)の達成とした。安全性の解析はコホート1と2を合わせて行った。

全体のSVR 12達成率は92%、RVR達成率は81%
 2011年11月2日~2014年1月29日までに米国の23施設から168例が登録され、167例(コホート1:80例、コホート2:87例)が実際に治療を受けた。全体の年齢中央値は57歳、男性が64%、白人が81%、遺伝子型は1a型が78%、1b型が22%であった。

 全体のSVR12達成率は92%(154/167例)であり、コホート1は90%(72/80例)、コホート2は94%(82/87例)であった。RBVの有無別のSVR12達成率は、RBV併用例が91%(98/108例)、RBV非併用例は95%(56/59例)であった。

 未治療例のSVR12達成率は95%(38/40例)、前治療無効例は91%(116/127例)であった。また、12週治療例のSVR12達成率は94%(77/82例)、24週治療例は91%(77/85例)だった。

 SVR12達成例は全例が治療終了後4週時のSVR(SVR4)をも達成しており、全体のSVR4達成率は91%以上であった。また、全体の迅速ウイルス消失(RVR、治療開始から4週以内のHCV RNA検出不能)の達成率は81%であった。治療期間中にウイルス再燃(viral breakthrough)を含むウイルス学的治療不成功を来した患者はいなかったが、治療終了後に6例でウイルスの再燃がみられた。

重篤な有害事象、死亡は治療と関連しない
 全体で最も高頻度にみられた有害事象は、疲労(31%[52/167例])、頭痛(20%[33/167例])、悪心(16%[26/167例])であった。

 Grade 4の有害事象は、SIM+SOF+RBV(24週)群で1例(2%)、SIM+SOF+RBV(12週)群で1例(2%)、SIM+SOF(24週)群で3例(10%)に認められた。全体で発現率が5%を超えるGrade 3~4の有害事象は、血中アミラーゼ値上昇のみであった。血中アミラーゼ値上昇例は治療を継続したが、臨床的に膵炎を発症した患者はいなかった。

 重篤な有害事象は、SIM+SOF+RBV(24週)群で3例(6%)、SIM+SOF(24週)群で1例(3%)に認められ、いずれもコホート2の患者であった。試験期間中に2例が死亡した(治療期間中は1例)。これら重篤な有害事象と死亡はいずれも治療とは関連しないと判定された。

 有害事象による治療中止は4例(2%)みられた。いずれも24週治療の患者であったが、3例は12週以前に中止となった。

 これらの結果に基づき、現在、リバビリンを使用しないシメプレビル+ソホスブビルの2剤併用療法の有効性と安全性を評価する第III相試験(OPTIMIST試験)が進行中だという。

(菅野守:医学ライター)