手術の有効性評価試験でプラセボ群は設定すべきか/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2014/06/02

 

 英国・オックスフォード大学のKarolina Wartolowska氏らはシステマティックレビューによる検討の結果、外科手術手技の有効性をプラセボ対照の試験で検討することは、効果的であり、実施可能であることを報告した。プラセボに関連した有害事象リスクはわずかであり、解析に組み込んだ53試験の約半分で、検討した手技の継続的使用を指示するエビデンスが提供されていたという。著者は、「プラセボ設定試験デザインを改善しなくても問題はない」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年5月21日号掲載の報告より。

システマティックレビューで53試験を分析
 外科手術手技の有効性の検討でプラセボを対照とした無作為化試験はまれである。そのような試験では有益性と同時に有害性が懸念されていることが背景にあるが、研究グループは、プラセボ対照を有効性の評価において用いるべきかについて、システマティックレビューにて検討した。

 2013年11月時点で、Medline、Embase、Cochrane Controlled Trials Registerをデータソースに、外科手術手技とプラセボを比較した無作為化試験を検索した。手術は、解剖学的構造の変化に及んだものや、皮膚切開を伴った侵襲的方法、内視鏡下の非侵襲的方法と手技を問わなかった。

 著者を含む3人のレビュワーがそれぞれ試験の選択と、試験の詳細、アウトカム、有害性に関するデータの抽出を行った。

 分析には53本の試験が組み込まれた。

半数の試験で、プラセボ群の効果が試験手技群と変わらず
 39本(74%)の試験で、プラセボ群でも改善効果が報告されていた。27本(51%)では、プラセボ群の効果が試験手技群と変わらなかった。

 26試験(49%)では、試験手技群のプラセボ群に対する優越性が示されたが、手技の効果の大きさはプラセボよりも上回っていたもののわずかであった。

 重大有害事象について、プラセボ群で報告されていたのは18試験(34%)、試験手技群で報告されていたのは22試験(41.5%)だった。なお4試験については、論文執筆者が、どちらの群で発生したのかを特定していなかった。

 一方で、多くの試験で有害事象は、介入手技とは無関係であったか、患者の重症度と関連していた。

 また、これまで検討されていたプラセボ対照試験は、開腹、開胸、開頭または広範囲な組織切開を含まない低侵襲の手技に限られていた。