外傷性脳損傷に対するシチコリン、身体・認知機能改善に結びつかず/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2012/12/03

 

 外傷性脳損傷(TBI)に対するシチコリン(商品名:シチコリン、ニコリンほか)の投与は、プラセボと比較し90日時点で、身体機能および認知機能の改善に結びつかなかったことが示された。米国・ハーバードメディカルスクールのRoss D. Zafonte氏らによる無作為化試験の結果、報告された。TBIについては今のところ転帰を改善する治療法がない。シチコリンには、損傷神経修復の促進と同様の潜在的な神経保護作用があり、世界59ヵ国で承認されていた。JAMA誌2012年11月21日号掲載報告より。

1,213例の患者を対象に第3相二重盲検無作為化プラセボ対照試験
 研究グループは、軽度、中程度、重度のTBIを受けた人に対し、シチコリンが身体機能および認知機能にポジティブな影響をもたらすかを検討する第3相二重盲検無作為化プラセボ対照試験「Citicoline Brain Injury Treatment Trial(COBRIT)」を行った。2007年7月20日~2011年2月4日に、米国のレベル1外傷センター8施設で1,213例の患者を対象とした。

 被験者は、TBIの軽度、中等度、重度に分類され、シチコリン群(腸注もしくは経口で2,000mg/日を90日間)かプラセボを受ける群に無作為化された。

 主要評価項目は、身体機能・認知機能の状態で、90日時点でTBI Clinical Trials Network Core Batteryを用いて評価し、その9つのスケール(Glasgow Outcome Scale-Extendedなど)を解析に用いて全体の統計的検定を行った。

 副次評価項目は、身体機能・認知機能の改善で、30日、90日、180日時点で評価し、治療効果の長期的維持を調べた。

9つプラスαのスケールいずれでも、プラセボ群との有意差みられず
 Glasgow Outcome Scale-Extendedで良好な改善が認められたのは、シチコリン群35.4%、プラセボ群35.6%だった[オッズ比(OR):0.99]。他のスケール(California Verbal Learning Test、Processing Speed Indexなど8つ)もすべて、改善率はシチコリン群37.3~86.5%、プラセボ群42.7~84.0%だった。90日時点の評価は、両群で有意な差は認められなかった[全体オッズ比(OR):0.98、95%信頼区間(CI):0.83~1.15]。

 さらに、Model stratified by GCS scoreで評価した各重症度群の治療効果も有意な差は認められなかった(中等度/重症OR:1.14、95%CI:0.88~1.49、complicated軽症OR:0.89、0.72~1.49)。

 180日時点の評価でも、主要評価に関して両群で有意な差は認められなかった(全体OR:0.87、95%CI:0.72~1.04)。

(武藤まき:医療ライター)