プライマリ・ケアにおける高リスク色素性皮膚病変の診断、新規診断法の追加は有効か?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/08/03

 

プライマリ・ケアにおける色素性皮膚病変の診断では、現行のbest practiceにコンピュータ化された新規診断法を追加しても、専門医への適切な紹介は改善されないことが、英国ケンブリッジ大学のFiona M Walter氏らの検討で示された。皮膚がんは英国における重大な死亡原因であり、発生率は年ごとに増加しており、予後の改善には早期の発見と管理が重要とされる。課題は、メラノーマ(悪性黒色腫)の、他の色素性皮膚病変との鑑別であり、プライマリ・ケアへの新たな診断技術の導入が診断能を改善し、高リスク色素性皮膚病変の専門医への適切な紹介につながる可能性があるという。BMJ誌2012年7月21日号(オンライン版2012年7月4日号)掲載の報告。

新たな診断法追加の効果を無作為化対照比較試験で評価
研究グループは、プライマリ・ケアにおける現行のbest practice(病歴、肉眼的検査、7項目のチェックリスト)に、新たにコンピュータ化された診断法(MoleMateシステム)を加えることで、色素性病変が疑われる患者の2次医療への紹介がより適切に行われるかを検討し、医師および患者に及ぼす影響を評価する無作為化対照比較試験を実施した。

イングランド東部の15のプライマリ・ケア施設が参加し、即座に良性病変とは診断されなかった色素性皮膚病変患者1,297例が登録された。これらの患者が、best practiceのみの群(対照群)あるいはbest practiceにMoleMateシステムによる診断を加える群(介入群)に無作為に割り付けられた。

主要評価項目は「紹介の妥当性(紹介した病変のうち生検またはモニタリングが実施された病変の割合)」とし、副次的評価項目には医師関連(診断能、信頼性、学習効果)、患者関連(満足度、不安)の項目も含めた。

紹介の妥当性:介入群56.8%、対照群64.5%
1,297例の1,580病変が解析の対象となり、介入群に643例の788病変が、対照群には654例の792病変が割り付けられた。

紹介の妥当性は、介入群が56.8%(130/229病変)、対照群は64.5%(111/172病変)で有意な差を認めなかった(群間差:-8.1%、95%信頼区間:-18.0~1.8%)。

プライマリ・ケアで適切に管理された良性病変の割合は介入群99.6%、対照群99.2%(p=0.46)、専門医による生検、モニタリングの決定との一致率はそれぞれ98.5%、95.7%(p=0.26)で、いずれも有意な差はなかった。専門医による良性病変の判定との一致率は、介入群が84.4%と、対照群の90.6%に比し有意に低かった(p<0.001)。

試験期間中に36病変が組織学的にメラノーマと確定診断された(介入群18病変、対照群18病変)。介入群の18病変はすべて適切に紹介されていたが、対照群では1病変が専門医に紹介されていなかった。

プライマリ・ケア医の信頼性は両群ともに高かったが、学習効果のエビデンスは認めなかった。対照群に比べ介入群の患者は、医師によるコンサルテーションを「完全性」と「安心感のあるケア」の点で高く評価していたが、不安スコアは両群で同等だった。

著者は、「MoleMateシステムは色素性皮膚病変の紹介の妥当性を改善しなかった」と結論し、「現行のbest practiceのガイドラインの系統的な適用を、プライマリ・ケアにおける皮膚病変管理の模範とすべき」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)