虫垂炎疑いへの低線量CT、標準量CTと比べて非劣性

提供元:ケアネット

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公開日:2012/05/16

 



虫垂炎が疑われる患者に対し、低線量CTによる診断は標準量CTに対して非劣性であることが明らかにされた。韓国・国立ソウル大学のKyuseok Kim氏らが行った15~44歳の若年成人891例を対象とする単施設単盲検非劣性試験の結果による。成人では、虫垂炎診断ではCT検査が優勢を占めるようになってきているが、子どもや若者では、CT放射線被曝についての不安がある。Kim氏らは、低線量CTと標準量CTとによる診断結果に基づく不必要な虫垂炎手術の実施割合について評価を行った。NEJM誌2012年4月26号掲載報告より。

低線量CT群116mGy・cm、標準量CT群は521mGy・cm




試験は虫垂炎が疑われ緊急救命室を受診した891例を、低線量CT群(444例)と標準量CT群(447例)に無作為化して行われた。

平均被曝線量は、低線量CT群が116mGy・cm、標準量CT群は521 mGy・cmだった。

主要エンドポイントは、非偶発性の虫垂炎全例に占める陰性(不必要な)虫垂炎手術の割合とした。非劣性マージンは5.5ポイントとした。また、副次エンドポイントとして、虫垂穿孔率、さらなる画像検査を必要とした患者の割合などとした。
不必要な虫垂炎手術の実施割合、低線量CT群は標準量CT群に非劣性




結果、陰性虫垂炎手術の割合は、低線量CT群で3.5%(6/172例)、標準量CT群では3.2%(6/186例)で、格差は0.3ポイント(95%信頼区間:-3.8~4.6)だった。

両群間の虫垂穿孔率についても有意差は認められなかった。低用量CT群26.5%、標準量CT群23.3%だった(P=0.46)。

また、さらなる画像検査を必要とした患者の割合についても有意差は認められなかった(それぞれ3.2%と1.6%、P=0.09)。
(武藤まき:医療ライター)