フォーリーカテーテルの陣痛誘発効果は、プロスタグランジンE2ゲルと同等

提供元:ケアネット

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公開日:2012/01/12

 



分娩時に子宮頸管の熟化不全がみられる妊婦では、フォーリーカテーテルによる陣痛誘発の効果は、膣内プロスタグランジンE2ゲルと同等だが母子の有害事象は少ない傾向にあることが、オランダ・Groene Hart病院のMarta Jozwiak氏らが行ったPROBAAT試験で示された。現在、欧米では分娩の20~30%で陣痛の誘発が行われている。陣痛誘発妊婦の多くは誘発開始時に子宮頸管熟化不全がみられ、これらの女性は帝王切開のリスクが高い。子宮頸管の熟化には、機械的方法としてフォーリーカテーテルが、薬物療法としてプロスタグランジンE1やE2製剤が使用されるが、有効性や安全性の違いは明らかにされていないという。Lancet誌2011年12月17日号(オンライン版2011年10月25日号)掲載の報告。

フォーリーカテーテルの有用性を評価する無作為化対照比較試験




PROBAAT試験の研究グループは、陣痛誘発におけるフォーリーカテーテルと膣内プロスタグランジンE2ゲルの有効性および安全性を評価する非盲検無作為化対照比較試験を実施した。

2009年2月10日~2010年5月17日までに、オランダの12施設から頭位の単胎妊娠、未破水、子宮頸管熟化不全がみられ、陣痛誘発の適応とされ、帝王切開の既往歴のない女性が登録された。これらの妊婦が、フォーリーカテーテルあるいは膣内プロスタグランジンE2ゲルで陣痛を誘発する群に無作為に割り付けられた。

主要評価項目は帝王切開の施行率、副次的評価項目は母子の罹病率、介入から出産までの時間とした。今回の試験を含めたメタ解析も行った。
帝王切開施行率は低下させないが、有害事象が少ない傾向




824人の妊婦が登録され、フォーリーカテーテル群に412人、プロスタグランジンE2ゲル群にも412人が割り付けられた。

帝王切開の施行率は、フォーリーカテーテル群が23%、プロスタグランジンE2ゲル群は20%であり、両群で同等であった(リスク比:1.13、95%信頼区間:0.87~1.47)。本試験の結果を含むメタ解析では、フォーリーカテーテルは帝王切開施行率を低下させないことが確認された。

陣痛中の妊婦の38℃以上の発熱はフォーリーカテーテル群が3%、プロスタグランジンE2ゲル群は4%(p=0.26)、分娩中の感染の疑いはそれぞれ1%、3%(p=0.0353)、分娩後妊婦感染は1%、2%(p=0.39)、分娩後出血(≧1,000mL)は6%、9%(p=0.11)であった。プロスタグランジンE2ゲル群で、2人の妊婦に重篤な有害事象が認められた(子宮穿孔、子宮破裂が1人ずつ)。

著者は、「分娩時に子宮頸管の熟化不全がみられた妊婦では、フォーリーカテーテルによる陣痛誘発の効果はプロスタグランジンE2ゲルと同等であり、母子の有害事象は少なかった」と結論し、「プロスタグランジンE2製剤は1980年代に検出能が不十分な無作為化試験の結果を根拠に臨床導入されているため、子宮頸管熟化不全の妊婦には有害事象の少ないフォーリーカテーテルを考慮すべき」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)