出生前母体ステロイド投与、在胎23~25週の早産児の死亡・神経発達障害リスクを低減

提供元:ケアネット

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公開日:2011/12/20

 

 在胎23~25週の早産児について、出生前副腎皮質ステロイド投与により、生後18~22ヵ月の死亡または神経発達障害の発生リスクを低下することが明らかにされた。1995年に発表された最新ガイドラインでは、在胎24~34週での早期分娩に関して母体への出産前ステロイド投与が推奨されているが、24週以前の早産についてはデータが不足していた。一方でそれら早産児の多くが集中治療を受けていた。米国・アラバマ大学のWaldemar A. Carlo氏らが、早産児約1万児について追跡し明らかにしたもので、JAMA誌2011年12月7日号で発表した。

6年間、全米23ヵ所から被験児を登録し検討

 研究グループは、出生前ステロイド投与の効果について、在胎22~23週出生児について検討することを目的とした。1993年1月1日~2009年12月31日にかけて、全米23ヵ所の大学付属周産期医療センターで、在胎22~25週で生まれ、出生時体重が401~1000gだった1万541児について、前向きコホート試験を行った。

 出生前の母体副腎皮質ステロイド投与と、生後18~22ヵ月の死亡率や神経発達障害との関連について調べた。

 神経発達障害に関する評価は、1993~2008年に生まれ、生後18~22ヵ月時点まで生存した5,691児のうち4,924児(86.5%)について行われた。なお評価者には、被験者の母体副腎皮質ステロイド投与の有無に関する情報は知らされなかった。

在胎22週では、死亡・神経発達障害発生の有意な低下は認められず

 その結果、生後18~22ヵ月時点における、死亡または神経発達障害の発生率は、在胎23週児でステロイド群が83.4%、非ステロイド群が90.5%と、ステロイド群で低かった(補正後オッズ比:0.58)。在胎24週児でもステロイド群68.4%、非ステロイド群80.3%(補正後オッズ比:0.62)、在胎25週児でも同52.7%、67.9%(補正後オッズ比:0.61)と、いずれもステロイド群で低かった。

 しかし、在胎22週児では、両群で有意差は認められなかった。

 在胎23~25週児では、母体への副腎皮質ステロイド投与によって、生後18~22ヵ月までの死亡や、院内死亡、死亡・脳室内出血・脳室周囲白質軟化症、死亡または壊死性全腸炎、のいずれの発生リスクも有意に低下した。

 一方で在胎22週児では、母体への副腎皮質ステロイド投与により、死亡または壊死性全腸炎リスクについてのみステロイド群での有意な低下が認められた(ステロイド群73.5%対非ステロイド群84.5%、補正後オッズ比:0.54、95%信頼区間:0.30~0.97)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)