JIA患者に対するエタネルセプト、より早期使用ほど治療反応良好

提供元:ケアネット

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公開日:2011/12/20

 



若年性特発性関節炎(JIA)患児に対するエタネルセプト(商品名:エンブレル)の治療反応が良好なのは、治療開始時点での障害スコアが低く、抗リウマチ薬(DMARD)の使用量が少なく、発症年齢が若い傾向があることが明らかになった。一方で反応不良は、全身性JIAや女児に認められたという。オランダ・エラスムスメディカルセンター・ソフィア小児病院のMarieke H. Otten氏らが、JIA患者262人について行った前向き観察研究の結果、報告したもので、JAMA誌2011年12月7日号(オンライン版2011年11月6日号)で発表した。

服用後15ヵ月の治療反応性を3段階評価




研究グループは、生物学的製剤による治療が可能となって以降、JIAに対する薬学的アプローチが大きく変化したことを踏まえ、エタネルセプトの治療反応性について、基線因子との関連を明らかとすることを目的に試験を行った。

対象は、オランダに住むJIA患者で、2009年10月以前にエタネルセプトの服用を開始した262人について2011年1月まで追跡を行った。被験児は、エタネルセプト服用前には生物学的製剤は服用していなかった。被験児のうち185人(71%)は女児、46人(18%)が全身型JIAで、エタネルセプト服用開始時の年齢中央値は12.4歳(範囲:9.3~14.9)だった。

主評評価項目は、服用開始後15ヵ月時点におけるエタネルセプトへの治療反応性で、良好な反応(疾患非活動期、寛解により早期に服用中止となった)、中等度の反応(服用開始時点よりの症状改善50%超、だが疾患非活性は認められず)、反応不良(服用開始時点よりの症状改善50%未満か、無効もしくは不耐性により早期に服用中止)の3段階で評価した。

治療開始後15ヵ月で3分の1が良好な反応




その結果、治療開始15ヵ月時点で、反応が良好と評価されたのは85人(32%)、中等度は92人(36%)、反応不良は85人(32%)と、それぞれ3分の1ずつに評価が分かれた。

良好群では、それ以外の群に比べ、治療開始時点での障害スコア(スコア0~3で0がベストスコア)が低く[補正後オッズ比(OR):0.49、95%信頼区間:0.33~0.74]、服用前のDMARD(メトトレキサート含む)の使用量が少なく(OR:0.64、0.43~0.95)、発症時の年齢が低かった(OR:0.92、0.84~0.99)。

一方で、反応不良群では、その他の群に比べ、全身性JIA(vs. 非全身性のOR:2.92、1.26~6.80)や女児(vs. 男児のOR:2.16、1.12~4.18)が多かった。

追跡平均35.6ヵ月で37~49%が疾患非活動期を達成




15ヵ月の治療期間中、119人が1つ以上の感染・非感染あるいは重大な有害事象を有した(内訳は反応良好群37人、中等度群36人、反応不良群46人)。また、治療中止となったのは61例だった(同4人、0人、57人)。

被験者262人を対象にした、エタネルセプト服用後期間の中央値35.6ヵ月における2次解析では、37~49%が疾患非活動期を達した。

エタネルセプトに対するアドヒアランス(平均値)は、反応良好群49.2ヵ月(95%信頼区間:46.4~52.0)、中等度群47.5ヵ月(同:44.9~50.1)、反応不良群17.4ヵ月(同:13.6~21.2)だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)