ピルフェニドン、特発性肺線維症の肺機能低下の抑制効果が明らかに

提供元:ケアネット

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公開日:2011/06/02

 



ピルフェニドン(商品名:ピレスパ)は、特発性肺線維症患者の肺機能低下を抑制し、適切な治療選択肢であることを示唆するデータが、米国・デューク大学のPaul W Noble氏らが実施したCAPACITY試験で示された。特発性肺線維症は進行性、致死性の肺疾患で、肺機能の喪失は不可避的だという。抗線維化/抗炎症薬であるピルフェニドンは経口投与が可能な合成分子で、形質転換増殖因子(TGF)βや腫瘍壊死因子(TNF)αの活性を調整することがin vitroで示され、肺線維症の動物モデルでは線維芽細胞の増殖やコラーゲンの合成を阻害し、線維化の細胞組織学的マーカーを低下させることが明らかにされている。Lancet誌2011年5月21日号(オンライン版2011年5月14日号)掲載の報告。

ピルフェニドンの有効性を評価する2つの無作為化プラセボ対照第II相試験




CAPACITY試験の研究グループは、ピルフェニドンの特発性肺線維症における肺機能低下の抑制効果を検討する2つの無作為化プラセボ対照第II相試験(004、006)を行った。

004と006試験には、オーストラリア、ヨーロッパ、北米の13ヵ国110施設から40~80歳の特発性肺線維症患者が登録され、ピルフェニドン群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられ、72週以上の治療が行われた。

004試験ではピルフェニドン2,403mg/日、1,197mg/日、プラセボを投与する群に2:1:2の割合で、006試験ではピルフェニドン2,403mg/日、プラセボを投与する群に1:1の割合で患者が割り付けられた。2,403mg群は801mgを、1,197mg群は399mgを1日3回経口投与した。

主要評価項目は、72週における努力性肺活量(FVC)の変化率(%)とし、intention-to-treat解析を行った。

004試験で、FVCの低下が有意に抑制




004試験には435例が登録され、ピルフェニドン2,403mg群に174例が、1,197mg群に87例が、プラセボ群には174例が割り付けられた。006試験の344例のうち2,403mg群に171例が、プラセボ群には173例が割り付けられた。

004試験では、ピルフェニドンによる有意なFVCの改善効果が認められた(p=0.001)。すなわち、72週におけるFVCの平均変化率は2,403mg群が-8.0%、プラセボ群は-12.4%であり、ピルフェニドンにより4.4%のFVC低下の抑制効果が得られた。1,197mg群のFVCの平均変化率は、2,403mg群とプラセボ群の中間であった。

006試験では、両群で72週時のFVCの変化率に差を認めなかった(p=0.501)。すなわち、FVCの平均変化率は2,403mg群が-9.0%、プラセボ群は-9.6%であった。しかし、48週までは明らかなピルフェニドンによるFVC低下の抑制効果が認められた(p=0.005)。

ピルフェニドン2,403mg群では、プラセボ群に比べ悪心(36% vs. 17%)、消化不良(19% vs. 7%)、嘔吐(14% vs. 4%)、食欲不振(11% vs. 4%)、光過敏症(12% vs. 2%)、皮疹(32% vs. 12%)、眩暈(18% vs. 10%)の頻度が高かったが、全死亡(6% vs. 8%)および特発性肺線維症関連死(3% vs. 7%)は少なかった。

著者は、「ピルフェニドンはベネフィット/リスクのプロフィールが良好であり、特発性肺線維症の適切な治療選択肢と考えられる」と結論している。

(菅野守:医学ライター)