強化LDL-C低下療法の心血管イベント抑制効果:約17万例のメタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2010/11/25

 



スタチンによる強化LDLコレステロール(LDL-C)低下療法は安全に施行可能で、1.0mmol/L(38.7mg/dL)低下で重篤な血管イベントの年間発生率を5分の1以下にまで抑制することが、Cholesterol Treatment Trialists’(CTT)共同研究グループによるメタ解析で明らかとなった。標準的スタチン療法によるLDL-C低下療法は、広範な心血管疾患において閉塞性血管イベントのリスクを低減することが示されている。また、観察研究ではコレステロール値が低いほど冠動脈疾患のリスクが低下することも示されており、LDL-Cをさらに低下させることで、より大きなリスクの低下が得られる可能性が示唆されていた。Lancet誌2010年11月13日号(オンライン版11月9日号)掲載の報告。

26試験を対象に強化スタチン療法の平均リスク低下率を評価




CTT共同研究グループは、スタチンを用いた強化LDL-C低下療法の安全性および有効性を評価する目的で、26の無作為化試験に参加した約17万例の個々のデータに基づくメタ解析を行った。

解析の対象は、参加者1,000例以上、治療期間2年以上の無作為化試験で、高用量と低用量の強化スタチン群を比較した試験(5試験、3万9,612例、フォローアップ期間中央値5.1年)および標準的スタチン群と対照群とを比較した試験(21試験、12万9,526例、フォローアップ期間中央値4.8年)であった。

それぞれのタイプの試験群ごとに、1年後における平均リスク低下率とともにLDL-Cの1.0mmol/L(38.7mg/dL)低下による平均リスク低下率を算出した。

LDL-Cの閾値はなく、低下させるほど予後が良好な可能性




2種類の用量の強化スタチン療法の比較試験では、1年後のLDL-C値は、高用量群が低用量群に比べ0.51mmol/L低下していた。

低用量強化スタチン群に比べ、高用量強化スタチン群では重篤な血管イベントのリスクが15%低下し、有意な差が認められた(95%信頼区間:11~18%、p<0.0001)。なかでも、冠動脈死/非致死的心筋梗塞のリスクが13%(同:7~19%、p<0.0001)、冠動脈血行再建術のリスクは19%(同:15~24%、p<0.0001)、虚血性脳卒中リスクは16%(同:5~26%、p=0.005)低下した。

2種類の用量の強化スタチン療法の比較試験におけるLDL-C 1.0mmol/L低下によるリスク低下は、標準的スタチンと対照の比較試験の場合と同等であった。二つのタイプの試験を合わせると、LDL-C 1.0mmol/L低下による重篤な血管イベントの低下率はあらゆるタイプの症例で類似しており、低用量強化スタチン群や対照群よりも高用量強化スタチン群や標準的スタチン群で有意に低下していた[発生率比(RR):0.78、95%信頼区間:0.76~0.80、p<0.0001]。

全26試験を合わせると、低用量強化スタチン群や対照群に比べ高用量強化スタチン群や標準的スタチン群で、LDL-C 1.0mmol/L低下による全死因死亡率が10%低下し(RR:0.90、95%信頼区間:0.87~0.93、p<0.0001)、特に冠動脈心疾患死(同:0.80、99%信頼区間:0.74~0.87、p<0.0001)や他の心臓に起因する死亡(同:0.89、同:0.81~0.98、p=0.002)の有意な低下の影響が大きく、脳卒中死(同:0.96、95%信頼区間:0.84~1.09、p=0.5)や他の血管に起因する死亡(同:0.98、99%信頼区間0.81~1.18、p=0.8)の影響は認めなかった。

LDL-C低値の場合でも、高用量強化スタチン群や標準的スタチン群と低用量強化スタチン群や対照群の間で、がんや他の非血管系の原因による死亡(RR:0.97、95%信頼区間:0.92~1.03、p=0.3)、発がん率(同:1.00、同:0.96~1.04、p=0.9)には有意な差は認められなかった。

著者は、「スタチンによる強化LDL-C低下療法は安全に施行可能で、心臓発作、血行再建術、虚血性脳卒中の発生率のさらなる低減効果をもたらし、1.0mmol/L低下による重篤な血管イベントの年間発生率を5分の1以下にまで抑制する」と結論し、「LDL-Cの閾値のエビデンスはないが、2~3mmol/Lを低下させることで約40~50%のリスク低下が得られる可能性がある」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)