職場、公共スペースの禁煙後、着実に心筋梗塞入院患者が減少

提供元:ケアネット

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公開日:2010/07/02

 



イングランドでは2007年7月1日に、一部例外を除き、職場および公共スペースを全面禁煙とする法律が施行された。同国バース大学公衆衛生校のMichelle Sims氏らは、禁煙法導入による心筋梗塞入院患者に関する短期的な影響について調査を行った結果、「禁煙法は心筋梗塞を減らす」とのエビデンスを肉付けする結果が得られたという。BMJ誌2010年6月19日号(オンライン版2010年6月8日号)掲載より。

施行後-2.4%減少、施行1年で1,200件減少に等しい




Sims氏らは、イングランドの18歳以上で心筋梗塞と診断分類され緊急入院した、2002年7月~2008年9月分のデータ(禁煙法施行前5年分と施行後15ヵ月分)を、ポアソン回帰分析法を用いて解析した。データはルーチンに集められた断続的時系列な統計学的データだった。

主要評価項目は、週ごとの入院患者数。

信仰や季節的な傾向、母集団サイズを補正後の解析結果、わずかではあるが有意な心筋梗塞入院患者の減少が、禁煙法施行後に認められた(-2.4%、95%信頼区間:-4.06~-0.66、P=0.007)。

これは、法施行後1年間で1,200件(再入院を含むと1,600件)の心筋梗塞入院減少に等しかった。

男女とも60歳以上で有意な減少、60歳未満は男性のみ有意




入院減少が有意だったのは、60歳以上の男性(3.1%、P=0.001)および女性(3.8%、P=0.007)で、60歳未満では、男性は有意だったが(3.5%、P<0.01)、女性は有意ではなかった(2.5%、P=0.38)。

Sims氏は、「本研究により、禁煙法が心筋梗塞の減少につながるというエビデンスに肉付けがなされた」と結論。「そのような低下が、入院減少や潜在的交絡因子で調整しても認められるのは、以前からの取り組みによる。他の英国管区と比較してイングランドでの低下がかなり小さかったのは、研究デザインの側面もあるが、禁煙法以前にイングランドでは受動喫煙率が相対的に低かったことが反映していると思われる」と指摘している。