潰瘍性大腸炎、クローン病に対する待機的結腸切除術の症例選定基準は高すぎる

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イングランドでは、炎症性腸疾患[潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)]対し年間約2,000件の結腸切除術が実施されている。結腸切除術や緊急結腸切除術を要する重篤な炎症性腸疾患患者には、手術によって重大なリスクがもたらされる。これに対し、待機的結腸切除術後の死亡率は短期的には低いことが示されているが、長期的なフォローアップデータはない。
 Stephen E. Roberts氏(イギリス、スウォンジ大学医学部)らは、現行の待機的結腸切除術の症例選定基準の適否について評価するために、広範な地域集団において炎症性腸疾患入院患者の手術施行状況別の3年後の死亡率を比較した。BMJ誌10月30日付オンライン版、11月17日付本誌掲載の報告。

炎症性腸疾患で3日以上入院した2万3,464例の記録を照合




本研究は、1968~1999年のオックスフォード地区および1998~2003年のイングランドにおける記録照合試験(record linkage study)である。炎症性腸疾患で3日以上入院した2万3,464例の記録を照合し、解析を行った。

結腸切除術は5,480例に施行されていた。待機的結腸切除術群、結腸切除術非施行群、緊急結腸切除術群の3年後の死亡率を調査した。

イングランドでは、3年後の死亡率は待機的手術が有意に優れる




オックスフォード地区では、炎症性腸疾患の3年後の死亡率は待機的手術が非手術および緊急手術よりも低かったが、有意差は認めなかった。

イングランドでは、UCおよびCDに対する待機的手術施行後3年の死亡率(UC:3.7%、CD:3.3%)は、非手術(UC:13.6%、p<0.001、CD:10.1%、p<0.001)および緊急手術(UC:13.2%、p<0.001、CD:9.9%、p<0.01)よりも有意に低かった。

非手術と緊急手術の3年後の死亡リスクは同等であった。また、3年以上が経過すると、待機的手術の死亡率は一般集団と同等になった。併存疾患で補正しても、これらの知見に影響はみられなかった。

待機的手術の症例選定基準および至適施行時期の確立を




Roberts氏は、「これらの知見は、イングランドでは待機的結腸切除術の症例選定基準が高すぎることを強く示唆する」と結論している。

また、同氏は「コントロールが不良な炎症性腸疾患に対する待機的結腸切除術の症例選定基準および至適な施行時期を確立するにはさらなる研究を要する」と指摘している。

(菅野 守:医学ライター)

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