人工透析患者の死亡リスクは8倍強、心血管疾患死以外も増加の傾向

提供元:ケアネット

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公開日:2009/11/10

 


人工透析患者の死亡リスクは、心血管疾患死に限らず、透析を受けていない人の8倍強に上ることが明らかにされた。オランダLeiden大学のDinanda J. de Jager氏らが、12万人超の透析患者について調べた結果で、JAMA誌2009年10月28日号で発表した。これまで、人工透析を受けている患者は心血管疾患死のリスクが、10~20倍に増大することは報告されていたが、それ以外の死亡リスクの増大については明らかではなかった。

総死亡率は一般12人/1,000人・年に対し、透析患者は192人/1,000人・年




Jager氏らは、1994年1月1日~2007年1月1日に、ヨーロッパで透析を受けていた成人患者12万3407人について、平均1.8年(標準偏差1.1年)追跡調査(ERA-EDTA)を行い、その死亡率について、ヨーロッパ一般人口集団(Eurostat)の統計と比較した。

その結果、総死亡率は一般群12.055人/1,000人・年(95%信頼区間:12.05~12.06)だったのに対し、透析患者群では192人/1,000人・年(同:190~193)と大幅に高かった。

死亡原因が明らかだったのは、一般群99%、透析患者群で90%だった。原因別に死亡率を比較すると、一般群ではその40%が心血管疾患死で、58%が非心血管疾患死だった。一方透析患者群では、同率はそれぞれ39%と51%だった。

心血管疾患以外の死亡原因による死亡率も増加




透析患者群の心血管疾患による死亡率は、一般群に比べ38.1人/1,000人・年(95%信頼区間:37.2~39.0)高く、非心血管疾患による死亡率は50.1人/1,000人・年(同:48.9~51.2)高かった。

透析患者群の心血管疾患による標準化死亡率は、一般群に比べ約8.8倍(95%信頼区間:8.6~9.0)、非心血管疾患の同率は約8.1倍(同:7.9~8.3)だった。

透析患者群の死亡率増加に関して、その原因が心血管疾患の場合、非心血管疾患の場合に対しての割合は、1.09(同:1.06~1.12)だった。ただしこの割合は、死亡原因が不明だった被験者について、死亡原因を心血管疾患と仮定した場合は0.90に、非心血管疾患と仮定した場合には1.39と変化した。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)