内側側頭葉(MTL)病変は薬剤抵抗性てんかんの主な原因の一つであり、MTL切除が転帰を改善し得る。しかし実臨床では、外科治療が提案されないまま複数の抗てんかん薬(AED)により長年治療されている患者が少なくなく、より強固なエビデンスの提示が求められている。これを背景に、アル=アズハル大学(エジプト)のSameh M. Salama氏らは、前向きコホート研究によりMTL切除術の有用性を検討。「Cureus」に3月6日論文が掲載された。
この研究は、2022~2024年に薬剤抵抗性側頭葉てんかんのため同大学病院に入院した3~50歳の患者20人を対象に行われた。薬剤抵抗性は2剤以上のAEDで発作をコントロールできない、または副作用のためAEDを使用できないことで定義した。MTL以外に病変を有する患者は除外された。術前の所見に合わせて患者ごとに、選択的扁桃体海馬切除を行うか否かなどが決定された。
術後の追跡期間は平均1.49±0.48年で、最終追跡調査におけるEngel分類による評価は、クラスI(発作の完全な消失)が15人(75%)、クラスII(機能障害を来さない発作がまれに発生)が5人(25%)だった。
20人のうち5人は、術後の行動の変化、対側片麻痺、残存病変などが合併症として報告された。合併症あり群となし群の病変を比較すると、多形神経膠芽腫(GBM)の存在のみ有意差があり、合併症あり群に多かった(60対0%、P=0.001)。術後のEngel分類は、合併症なし群はクラスIが86.7%、クラスIIが13.3%であるのに対して、合併症あり群は同順に40.0%、60.0%であって、群間差が有意だった(P=0.037)。これらから、GBMを有していることが合併症の発生に関連すること、転帰改善には病変の完全切除が重要であることが示唆された。
このほか、サブグループ解析から、女性および右側病変は転帰良好と、経シルビウス裂アプローチは転帰不良と関連していた。
Salama氏らは、「われわれの研究結果は、AEDによる管理が困難なてんかんでは外科的治療が治療選択肢として欠かせないことを支持するものであり、手術適応を早期に評価することの重要性を浮き彫りにしている」と結論付けた上で、「患者選択基準の明確化と最適なアプローチの確立のため、さらなる研究が必要」と付け加えている。
[2025年4月14日/HealthDayNews]Copyright (c) 2025 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら