歩く速さとCOVID-19重症化や死亡リスクが関連

提供元:HealthDay News

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公開日:2021/04/27

 

 ふだんの歩く速さと、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患時の重症化リスクや死亡リスクとの間に、有意な関連があるとするデータが報告された。英レスター大学のThomas Yates氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Obesity」に2月26日掲載された。

 この研究は、英国で行われている中高年者対象の大規模前向きコホート研究「UK Biobank」のデータを解析したもの。論文の筆頭著者であるYates氏は、「これは、歩行速度が遅い人はCOVID-19罹患時に重篤になりやすいことを示した初の研究だ」と述べている。

 解析対象は、2020年3月16日~8月24日のUK Biobank登録データ41万2,596人(年齢中央値68歳、普通体重33.7%、過体重42.9%、肥満23.9%)。2020年8月24日までに、COVID-19重症患者1,001人と、COVID-19により死亡した患者336人が記録されていた。年齢、性別、民族、併存疾患数などで調整後、肥満カテゴリー別、歩行速度別にCOVID-19重症化リスクと死亡リスクを検討した。

 まず、体重カテゴリーで比較した結果を見ると、普通体重群を基準とする過体重群のCOVID-19重症化オッズ比(OR)は1.26(95%信頼区間1.07~1.48)、肥満群はOR1.49(同1.25~1.79)だった。またCOVID-19による死亡率は、同順にOR1.19(同0.88~1.61)、OR1.82(同1.33~2.49)であった。

 次に、研究登録時の自己申告による歩行速度で3群に分け比較。最も歩行速度の速い群〔4マイル/時(約6.4km/時)以上〕を基準とすると、歩行速度が中等度の群〔3~4マイル/時(約4.8~6.4km/時)〕のCOVID-19重症化ORは1.13(同0.98~1.31)であり、歩行速度が最も遅い群〔3マイル/時(約4.8km/時)未満〕はOR1.88(同1.53~2.31)だった。COVID-19による死亡率については、同順にOR1.44(同1.10~1.90)、OR1.83(同1.26~2.65)だった。

 体重カテゴリーと歩行速度カテゴリーとで合計9群に分けて比較すると、体重よりも歩行速度の方がCOVID-19重症化や死亡率と強く関連していた。例えば、普通体重で歩行速度が速い群と比較して、普通体重で歩行速度が遅い群のCOVID-19重症化のORは2.42(同1.53~3.84)、死亡率のORは3.75(同1.61~8.70)だった。また歩行速度の遅い群は、どの体重カテゴリーでも、重症化と死亡率のORが有意に高かった。

 Yates氏は、「COVID-19パンデミックが、医療の現場と社会にこれまでにない負荷をかけ続けている状況下で、最大のリスクに曝されているグループを見つけ出し、その人たちを保護するための予防措置を講じることが重要だ」と、レスター大学のニュースリリースの中で発言している。

 また今回の研究結果について同氏は、「歩行速度が速い人は一般的に心臓が健康であり、ウイルスを含むストレスに対する耐性が強い可能性がある」としている。ただし、この考え方はまだ仮説の域を出ていないという。今後、この関連の機序を明らかにするために、「公衆衛生に関する疫学研究では、BMIや体脂肪率に加え、潜在的なリスク因子として、自己申告による歩行速度などの簡便な体力関連指標を組み入れることを検討すべきだろう」と述べている。

[2021年3月17日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら