幼児期初期のレディネスが成人形成期に影響

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/11/26

 

 幼稚園に入園する前のレディネス(何かを学ぶために心身の発達や経験が整っていること)は、長期にわたり学業や健康面にベネフィットをもたらす。そんな研究結果が、サンタンヌ大学(カナダ)心理教育学部教授のCaroline Fitzpatrick氏らにより「Pediatrics」11月2日オンライン版に発表された。

 この研究は、Quebec Longitudinal Study of Child Development(QLSCD)の参加者のうち、出生(1997〜1998年)から高校の終わりまで追跡できた966人のデータを二次解析したものである。対象者は5歳のときに、足し算や引き算といった算数の能力と、受容語彙(読んだり聞いたりして理解できる単語)能力について評価された。また、毎春、幼稚園教諭たちは、園における活動への子どもたちの積極的な参加度合いを示すクラスルームエンゲージメントについて、3段階のリッカード尺度で評価し、報告した(高スコアほどエンゲージメントが高い)。さらに、対象者は17歳時に、自身の学業成績や、学校と生徒の結び付きの深さを表すスクール・コネクテッドネス、薬物やアルコールの使用、不安感受性、身体活動、身長と体重について、報告した。対象者の高校中退のリスクについては、対象者の成績や学校での活動状況と、留年の有無をもとに推定された。

 これらのデータを基に解析を行った結果、5歳時における算数の能力の高さは、高校終業時の成績の良さ、および高校中退リスクの低さと関連することが明らかになった。一方、受容語彙能力の高さは、17歳時の不安感受性の低さと関連していた。また、クラスルームエンゲージメントの高さは、17歳時の良好な成績、高校中退のリスクの低さ、スクール・コネクテッドネスの高さ、物質乱用リスクの低さ、身体活動量の多さと関連していた。また、クラスルームエンゲージメントが1ポイント上がるごとに、17歳時に過体重になる確率が65%低下することも判明した。

 こうした結果を受けてFitzpatrick氏は、「幼児期のレディネスが長期的にはより良い結果につながることは、過去の研究でも報告されていた。今回の研究により、幼児期に習得したスキルは、成人形成期に成功を収め、健康的なライフスタイルを身に付けるのに役立つということが確かになった。これは、社会全体にとって心強いことだ」と述べている。

 一方、この研究論文の上席著者で、モントリオール大学(カナダ)心理教育学部教授のLinda Pagani氏は、「多くの子どもは5歳時に学ぶための準備が整っていない」と指摘する。そして、「レディネスは、認知能力、社会的スキル、身体活動における運動スキルを身に付けていく上で必要なツールだ。それゆえ、入園前に学ぶ準備の整っていない子どもは、その後の学校での勉強に苦労し続ける可能性がある」と述べている。

 その上でPagani氏は、「高校中退は、後に生活面でさまざまなリスクを招くが、幼児期初期のレディネスの促進が、長期的にはそのようなリスク低減につながるものと思われる。子どもの好奇心を刺激するようなケアを提供したり、家族が抱えている逆境を軽減したりする政策は、幼児期の子どものスキルを伸ばし、維持するのに有効だ。政府はそのような政策戦略にこそ投資するべきではないだろうか」と述べている。

[2020年11月3日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら