大腸がんリスクの低下に役立つ食品や薬は?

特定の栄養素や食品、薬剤が大腸がんの予防に役立つ可能性があることを示した研究結果がこのほど報告された。栄養素に関しては葉酸やマグネシウム、食品に関しては乳製品や果物、および野菜など、薬剤に関してはアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が大腸がんリスクの低下に関連していたという。ディジョン・ブルゴーニュ大学病院(フランス)のMarc Bardou氏が率いる国際共同研究グループによるこの研究結果は、「Gut」9月28日オンライン版に掲載された。
Bardou氏らは今回、食事や薬剤が大腸がんリスクに与える影響について検討したシステマティックレビューおよびメタ解析のうち、1980年9月~2019年6月に発表された80件のデータを分析した。
その結果、大腸がんリスクは、NSAIDを最長5年間服用した場合に26~43%低下することが明らかになった。NSAIDの一種であるアスピリンを1日75~325mg服用することで、14~29%のリスク低下につながることも示された。また、マグネシウムの積極的な摂取は最大22%のリスク低下に関連し、効果を得るために必要なマグネシウムの最低用量は1日当たり255mgであることが判明した。さらに、葉酸(ビタミンB9)の積極的な摂取も最大15%のリスク低下と関連したが、効果が得られる必要な最低用量は不明だった。
乳製品にも、リスク低下に必要な量は不明ながら、大腸がんリスクを13~19%低下させる可能性が示された。このほか、食物繊維の摂取により22~43%、果物や野菜の摂取により8~52%のリスク低下が認められた。
一方、ビタミンEおよびC、マルチビタミン、βカロテン、セレニウムについては、大腸がん予防に有効であることを裏付けるエビデンスはなかった。
また、茶、ニンニク、タマネギ、ビタミンD(単独またはカルシウムとの併用)、コーヒーおよびカフェイン、魚およびオメガ3の摂取による大腸がんの予防効果に関しても、エビデンスが弱いか不確実であり、ビタミンAおよびビタミンB群(葉酸を除く)に関しては、一貫性のある結果が得られなかった。
カルシウムの積極的な摂取や脂質低下薬であるスタチン系薬剤と大腸がんリスクとの関係については、相反するデータが報告されていた。また、赤肉や加工肉を主体とする肉の摂取は12~21%のリスク上昇に関連していた。さらに、アルコール摂取も有意な大腸がんリスクの上昇に関連しており、1日の摂取量が1~2杯でもリスク上昇につながり、飲酒量が増えるほどリスクは高まることが明らかになった。
なお、Bardou氏らは「栄養素や食品、薬剤による大腸がんの予防効果は小さいか、極めて小さい場合がほとんどだ」と説明している。ただ、大腸がんリスクを低下させるための最適な食事について、医師が患者に助言する際に、今回の研究結果が参考になり得ると指摘。また、この結果は今後、研究を進めていく上での指針にもなるのではないかとの見解を示している。
[2020年9月30日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
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