IBD患者の大腸がん発生、家族歴でどこまで増える?

提供元:ケアネット

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公開日:2026/09/09

 

炎症性腸疾患(IBD)では大腸がん(CRC)リスクが高いことが知られており、CRC家族歴も重要なリスク因子とされる。一方、IBD患者においてCRC家族歴がCRC発生に及ぼす影響を検討した研究は少ない。そこで、スウェーデン・カロリンスカ研究所のAsa H. Everhov氏らは、IBD患者とマッチさせた一般人口対照を対象に、CRC家族歴別のCRC発生率と発生率差、およびIBDとCRC家族歴の相互作用を検討した。その結果、CRC家族歴はIBD患者と一般人口対照のいずれにおいても絶対尺度では同程度にCRC発生を増加させ、増加幅はCRC罹患者が複数いる場合に最も大きかった。本研究結果は、Gastroenterology誌オンライン版2026年9月3日号に掲載された。


本研究は、1996~2023年の全国レジストリを用いたコホート研究であった。対象はIBD患者12万4,387例(IBD群)と、年齢、性別、居住地域、暦年でマッチさせた一般人口対照121万3,641例(対照群)とした。曝露因子はCRC家族歴とし、第1度近親者(親、兄弟姉妹、子)のCRC罹患者数、およびその診断年齢(50歳未満または50歳以上)で定義した。推定した項目は、CRC家族歴別のCRC発生率、発生率差、およびIBDとCRC家族歴の相互作用であった。


主な結果は以下のとおり。


・追跡期間中央値は11年で、CRCイベントはIBD群で1,882件、対照群で1万4,177件発生した。
・CRC発生率は、IBD群で1,000人年当たり1.17件(95%信頼区間[CI]:1.12~1.23)、対照群で1,000人年当たり0.88件(95%CI:0.86~0.89)であった。
・IBD群において、CRC発生の増加が最も大きかったのはCRCに罹患した第1度近親者が2人以上いる集団で、CRC家族歴がない集団と比較した追加発生は1,000人年当たり2.69件(95%CI:0.60~4.78)であった。
・IBD群における早発CRC家族歴によるリスク増加は限定的で、CRC家族歴がない集団と比較した追加発生は1,000人年当たり0.42件(95%CI:-0.47~1.31)であった。
・CRC家族歴が同じIBD群と対照群を比較すると、CRC発生率はおおむね同程度であった。
・例外として、CRC家族歴がない集団では、対照群と比較してIBD群のCRC発生率が高かった。
・CRC家族歴の相対的な影響は、ベースラインのCRCリスクがすでに高いIBD群では、対照群より弱かった。
・絶対尺度では、CRC家族歴によるCRC発生の増加はIBD群と対照群で同程度であり、罹患した第1度近親者が複数いる場合に増加幅が最大であった。

著者らは、CRC家族歴はIBD患者と対照群のいずれにおいても同程度にCRC発生を増加させ、増加幅はCRCに罹患した近親者が複数いる場合に最大であったとまとめた。また、ガイドラインでは早発CRC家族歴を有する患者に特別な注意を払うよう助言しているが、複数の罹患親族がいる患者をサーベイランス戦略で優先すべきかという問いを提起している。

(ケアネット 杉崎 真名)