日本人入院患者のせん妄、その特徴とリスク因子は?

提供元:ケアネット

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公開日:2026/09/08

 

 せん妄は、入院中に生じる重篤な精神神経症状であり、単なる急性イベントというよりは、背景にある神経認知機能の脆弱性が顕在化したものであると考えられる。日本では、入院患者を対象に、あらかじめ定められたリスク因子を評価する「せん妄リスクの早期スクリーニング」を病院全体で実施することが、国の医療政策として義務付けられている。奈良県立医科大学附属病院のMegumi Matsuda氏らは、専門医へのコンサルテーションを経て確定診断されたせん妄と独立して関連する、患者の属性および臨床的因子の特定を試みた。PCN Reports誌2026年7月30日号の報告。

 2022年6月~2023年11月、奈良県立医科大学附属病院に入院したすべての患者を対象に、除外基準を設けず、レトロスペクティブ観察研究を実施した。せん妄のリスク因子は、国の基準に基づく標準化されたチェックリストを用い、入院後3日以内に評価した。せん妄の診断は、専門医による診察を経て、国際疾病分類第10版(ICD-10)および精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5-TR)の基準に基づき実施した。専門医の診察により確定診断されたせん妄との独立した関連を特定するために、ロジスティック回帰分析を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・入院患者2万980例(平均年齢:67.1±17.0歳、男性の割合:55.0%)のうち、専門医の診察によりせん妄と診断されたのは209例(1.0%)であった。
・全体として、入院時にあらかじめ定められたリスク基準を1つ以上満たしていた患者の割合は78.8%であった。
・年齢および性別で調整した多変量解析では、認知症(オッズ比[OR]:3.995、95%信頼区間[CI]:2.647~6.029)、せん妄の既往(OR:3.649、95%CI:2.158~6.170)、多量飲酒(OR:1.648、95%CI:1.002~2.710)が、専門医の診察により確定診断されたせん妄と独立して関連していた。

 著者らは「全国共通のスクリーニングの枠組みに基づいて評価された本研究において、専門医の診察により確定診断されたせん妄は、単なる暦年齢よりも、ベースラインとなる神経認知機能の脆弱性(認知症およびせん妄の既往)や多量飲酒と独立して関連していた。この結果は、日常の臨床現場において、脆弱性に焦点を当てたリスク層別化を行うことの妥当性を裏付けるものである」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)