急性期うつ病に対する21種類の抗うつ薬の比較~ネットワークメタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2026/09/01

 

 うつ病は、成人の精神疾患において世界的に頻度が高く、負担が大きく、かつ多大なコストを要する疾患の1つである。うつ病の治療では薬物療法と非薬物療法の両方が利用可能である。しかし、リソースが不十分であるため、心理的介入よりも抗うつ薬が頻繁に使用されている。これらの抗うつ薬の処方は、利用可能な最良の科学的根拠に基づいて行われるべきである。英国・オックスフォード大学のAndrea Cipriani氏らは、成人単極性うつ病患者に対する急性期治療薬としての抗うつ薬を比較、順位付けしたこれまでの研究を更新、拡張することを目的とし、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Focus(American Psychiatric Publishing)誌2026年4月号の報告。

 Cochrane Central Register of Controlled Trials、CINAHL、Embase、LILACSデータベース、MEDLINE、MEDLINE In-Process、PsycINFO、規制当局のウェブサイト、国際的な臨床試験登録データベースを検索した。各データベースの開始時から2016年1月8日までの期間における、公表済みおよび未公表の二重盲検ランダム化比較試験(RCT)を対象とした。標準的な操作的診断基準に基づきうつ病と診断された18歳以上の成人うつ病患者の急性期治療に用いられる抗うつ薬21種類について、プラセボ対照試験および薬剤間直接比較試験を解析対象に含めた。準ランダム化試験、不完全な試験、あるいは双極症、精神病性うつ病、治療抵抗性うつ病の参加者が20%以上含まれる試験および重篤な身体合併症を有する患者を含む試験は解析対象から除外した。事前に定めた優先順位に従い、データを抽出した。ネットワークメタ解析においては、群レベルのデータを使用した。介入に関するシステマティックレビューのコクランハンドブックに基づき各研究のバイアスリスクを評価した。また、エビデンスの確実性は、GRADEを用いて評価した。主要アウトカムは、有効性(治療反応率)および受容性(すべての原因による治療中止)とした。ランダム効果モデルを用いたペアワイズメタ解析およびネットワークメタ解析により、統合オッズ比(OR)を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・2万8,552件の文献を特定した。そのうち522件(11万6,477例)の試験を解析対象とした。
・有効性に関しては、すべての抗うつ薬がプラセボよりも高い効果を示した。ORの範囲は、アミトリプチリンの2.13(95%信用区間[CrI]:1.89~2.41)からreboxetineの1.37(95%CrI:1.16~1.63)であった。
・受容性に関しては、プラセボと比較して脱落が少なかったのはagomelatine(OR:0.84、95%CrI:0.72~0.97)とfluoxetine(OR:0.88、95%CrI:0.80~0.96)のみであり、クロミプラミンはプラセボよりも不良であった(OR:1.30、95%CrI:1.01~1.68)。
・すべての試験を考慮した場合、抗うつ薬間のORの差は、有効性については1.15~1.55、受容性については0.64~0.83の範囲であったが、多くの比較分析においてCrIは広範囲に及んでいた。
・直接比較試験において、agomelatine、アミトリプチリン、エスシタロプラム、ミルタザピン、パロキセチン、ベンラファキシン、ボルチオキセチンは、他の抗うつ薬よりも高い有効性を示した(ORの範囲:1.19~1.96)。一方、fluoxetine、フルボキサミン、reboxetine、トラゾドンは有効性が低かった(ORの範囲:0.51~0.84)。
・受容性に関しては、agomelatine、citalopram、エスシタロプラム、fluoxetine、セルトラリン、ボルチオキセチンが、他の抗うつ薬よりも良好であった(ORの範囲:0.43~0.77)。一方、アミトリプチリン、クロミプラミン、デュロキセチン、フルボキサミン、reboxetine、トラゾドン、ベンラファキシンは、脱落率が高かった(ORの範囲:1.30~2.32)。
・バイアスリスクは、522件の試験のうち46件(9%)が「高」、380件(73%)が「中」、96件(18%)が「低」であった。
・エビデンスの確実性は「中」から「きわめて低い」の範囲であった。

 著者らは「成人うつ病において、すべての抗うつ薬はプラセボよりも高い有効性を示した。プラセボ対照試験を解析に含めた場合、実薬同士の比較では薬剤間の差は小さくなったが、直接比較試験では、有効性や受容性に大きなばらつきが認められた。これらの結果は、エビデンスに基づく診療に役立つとともに、患者、医師、ガイドライン策定者、政策立案者に対し、各抗うつ薬の相対的な利点に関する情報を提供するものである」としている。

(鷹野 敦夫)