日本における肥満症の薬物療法適応基準を満たす集団において、チルゼパチドはセマグルチドと比較して72週時点での体重変化率が有意に大きく、体重、BMI、腹囲のいずれにおいても減少幅が有意に大きいことが示された。千葉大学大学院医学研究院の北本 匠氏らによるこの研究成果は、Current Medical Research and Opinion誌2026年7月11日号に掲載された。
本研究は、国際共同試験であるSURMOUNT-5のサブ解析として実施された。日本における肥満症の薬物療法適応基準を満たす参加者(BMI 27~34.9、高血圧、脂質異常症のいずれかを有し、さらに肥満関連健康障害[ORHD]を2つ以上有する、またはBMI≧35かつORHDを 1つ以上有する)を対象とした。評価期間はベースラインから72週とし、体重変化率、減量目標達成率、腹囲・BMI・心代謝リスク因子の変化、有害事象を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・組み入れられた750例のうち383例が基準を満たし、チルゼパチド群(15 mgまたは最大耐用量)190例、セマグルチド群(2.4 mgまたは最大耐用量)193例に割り付けられた。
・72週時点での体重変化率の最小二乗平均値(LSM)は、チルゼパチド群で-20.1%(標準誤差:0.76%)、セマグルチド群で-12.9%(同0.74%)であり、LSM差は-7.2%(95%信頼区間:-9.3%〜-5.1%、p<0.001)とチルゼパチド群で有意に大きかった。
・減量目標達成率でも、≧10%、≧15%、≧20%、≧25%、≧30%のいずれの閾値においても、チルゼパチド群においてより多くの参加者が達成した。腹囲の減少はベースラインから4週目以降、BMIの減少は12週目以降にチルゼパチド群で有意に大きな差が認められ、いずれも72週を通じて維持された。
・安全性プロファイルはSURMOUNT-5試験の全体集団と概ね一致しており、消化器系の事象が最も多く認められた。
本サブ解析は、日本における肥満症の薬物療法適応基準となる集団において、チルゼパチドがセマグルチドと比較して体重、BMI、腹囲のいずれにおいても有意に大きな減少をもたらすことを示した。
著者らは「日本では肥満症の定義がBMI≧25と国際基準よりも低く設定されており、本解析はその基準に即した実臨床に近い集団での比較データを提供するものである。消化器系有害事象を中心とした安全性プロファイルは全体集団と一致しており、忍容性に大きな差異は認められなかった。今後は日本人集団を対象とした長期的な心血管アウトカムや体重減少の維持に関するさらなる検討が求められる」としている。
(ケアネット 杉崎 真名)