HR+/HER2-転移・再発乳がん患者において、1次治療として内分泌療法とCDK4/6阻害薬の併用療法が推奨されている。一方で、1次治療の期間は長期にわたるため、CDK4/6阻害薬特有の有害事象や経済毒性は無視できない課題となっている。CDK4/6阻害薬の1次治療使用群と2次治療使用群を比較した第III相無作為化比較試験(SONIA試験)では、2次治療での使用の妥当性が示された。東京医科大学の石川 孝氏らは、パルボシクリブ治療に関する日本における大規模多施設共同前向き観察研究を実施。その結果、SONIA試験の知見をリアルワールドデータで支持する結果が得られ、パルボシクリブを2次治療で導入する治療戦略の妥当性が示された。Breast Cancer Research誌オンライン版2026年5月29日号掲載の報告。
本研究では、1次、2次、または3次治療としてパルボシクリブを使用する閉経後HR+/HER2-転移・再発乳がん患者を対象に、その有効性と安全性を検証した。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS:パルボシクリブ投与開始から疾患進行または死亡まで)、副次評価項目は、PFS2(1次治療群ではパルボシクリブ投与開始から次治療で病勢進行が認められるまで、2次治療群では前治療のホルモン療法開始からパルボシクリブ投与後病勢進行が認められるまで)および有害事象などであった。
主な結果は以下のとおり。
・2019年4月~2023年1月に593例(1次治療群246例、2次治療群282例、3次治療群65例)が組み入れられた。
・年齢中央値は1次治療群、2次治療群、3次治療群でそれぞれ68歳、66歳、68歳であった。術前または術後化学療法はそれぞれ25.6%、55.0%、46.2%で実施されていた。内臓転移を有する患者はそれぞれ38.3%、58.9%、58.1%、骨病変のみを有する患者は1.7%、8.1%、4.7%であった。
・PFS中央値は1次治療群、2次治療群、3次治療群でそれぞれ25.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:21.4~未到達)、18.0ヵ月(95%CI:14.0~22.7)、および12.0ヵ月(95%CI:7.7~17.4)であった。
・PFS2中央値は1次治療群、2次治療群でそれぞれ36.9ヵ月(95%CI:27.7~未到達)および57.9ヵ月(95%CI:43.4~65.3)であった。
・2次治療群のPFS2中央値が1次治療群を大きく上回った要因として、2次治療群では内分泌療法単独で治療開始後、急速な病勢進行のため化学療法が選択されるなどの理由で、パルボシクリブ療法に移行できなかった症例が除外されているためと考えられた。そのため、SONIA試験のデータを参考に、そのような症例を補正した感度解析を実施した結果、1次治療群と2次治療群のPFS2は近似した。
・Grade3以上の好中球減少症が70%で発現し、80%超でパルボシクリブ減量が行われていた。
現在、副次評価項目の1つである全生存期間(OS)の追跡調査が行われており、患者報告アウトカム(PRO)の解析結果と合わせて、今後報告される予定となっている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)