虚血性脳卒中の既往歴を持つ患者は、脳卒中再発およびその他の主要心血管イベント(MACE)リスクが高い。米国・ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のVictorien Monguillon氏らが、FOURIER試験のデータを用いて行った2次分析の結果、LDL-C値が40mg/dL未満まで低下すると、出血性脳卒中リスクを明らかに増加させることなく、脳卒中再発を含むMACEのリスクが低下することが示された。Circulation誌オンライン版2025年11月3日号掲載の報告より。
著者らは、安定しているアテローム動脈硬化性心血管疾患患者を対象にエボロクマブを評価したプラセボ対照無作為化比較試験FOURIER(追跡期間中央値:2.2年)およびその延長試験FOURIER-OLE(追加追跡期間中央値:5年)における虚血性脳卒中既往患者を対象に解析を実施。到達LDL-C値と、主要エンドポイント(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、不安定狭心症による入院または冠動脈血行再建の複合)の発生率、ならびに脳卒中関連アウトカムとの関連を検討した。
主な結果は以下のとおり。
・虚血性脳卒中の既往歴(発症から4週間超経過)を有する5,291例が解析に含まれた。
・到達LDL-C値は<20mg/dLが666例(12.6%)、20~<40mg/dLが1,410例(26.6%)、40~<55mg/dLが586例(11.1%)、55~<70mg/dLが508例(9.6%)、≧70mg/dLが2,121例(40.1%)であった。
・到達LDL-C値が低いほど、主要評価項目、全脳卒中および虚血性脳卒中の発生率は単調減少した(それぞれ傾向のp<0.001、<0.002、<0.002)。
・到達LDL-C値が≧70mg/dLの患者と比較した、<40mg/dLの患者における発生率比(IRR)は、主要評価項目0.69(95%信頼区間:0.57~0.84)、全脳卒中0.73(0.53~0.99)、および虚血性脳卒中0.75(0.54~1.05)であった。
・出血性脳卒中はまれであり、到達LDL-C値との関連は認められなかった(傾向のp=0.85)。
著者らは、虚血性脳卒中の既往歴を有する患者に対して、より強力なLDL-C低下療法が必要であることを支持する結果とし、最適なLDL-C目標値を確立するためには無作為化比較試験が必要とまとめている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)