オピオイド使用がん患者へのナルデメジン、便秘予防にも有用~日本のRCTで評価/JCO

提供元:ケアネット

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公開日:2025/07/04

 

 オピオイドは、がん患者の疼痛管理に重要な役割を果たしているが、オピオイド誘発性便秘症を引き起こすことが多い。オピオイド誘発性便秘症に対し、ナルデメジンが有効であることが示されているが、オピオイド誘発性便秘症の予防方法は確立されていない。そこで、濵野 淳氏(筑波大学医学医療系 緩和医療学・総合診療医学 講師)らの研究グループは、ナルデメジンのオピオイド誘発性便秘症の予防効果を検討した。その結果、ナルデメジンはオピオイド誘発性便秘症に対する予防効果を示し、QOLの向上や悪心・嘔吐の予防効果もみられた。本研究結果は、Journal of Clinical Oncology誌2024年12月号に掲載された。

試験デザイン:国内多施設共同二重盲検無作為化比較試験
対象:初めて強オピオイドを使用するがん患者99例
試験群:ナルデメジン(0.2mg、1日1回)を朝食後14日間内服(ナルデメジン群、49例)
対照群:プラセボを朝食後14日間内服(プラセボ群、50例)
評価項目:
[主要評価項目]14日目におけるBowel Function Index(BFI)28.8未満の患者割合
[副次評価項目]自発排便(SBM)の頻度、QOL(EORTC QLQ-C15-PAL、PAC-QOL、PAC-SYM)、オピオイド誘発性悪心・嘔吐(OINV)の頻度など
※:排便の困難さ、残便感、便秘の個人的評価について、VAS(0~100)で評価。28.8未満を便秘なしとする。

 主な結果は以下のとおり。

・ナルデメジン群、プラセボ群の年齢中央値はそれぞれ67.8歳、66.4歳であり、女性の割合はそれぞれ51.0%、68.0%であった。
・がん種の内訳は、肝がん・胆道がん・膵がん(35例)、消化管がん(18例)、婦人科がん(10例)、乳がん(8例)、泌尿器がん(8例)、肺がん(7例)などであった。
・主要評価項目の14日目におけるBFI 28.8未満の患者割合は、ナルデメジン群64.6%、プラセボ群17.0%であり、ナルデメジン群が有意に良好であった(p<0.0001)。
・14日目における1週間当たりのSBM回数が3回以上の割合は、ナルデメジン群87.5%、プラセボ群53.2%であり、ナルデメジン群が有意に多かった(p=0.0002)。14日目における1週間当たりの完全自発排便回数が3回以上の割合は、それぞれ70.8%、36.2%であり、ナルデメジン群が有意に多かった(p=0.0007)。
・14日目におけるQOLは、いずれの指標もナルデメジン群が有意に良好であった。
・3日目までの制吐薬の使用割合は、ナルデメジン群10.6%、プラセボ群51.1%であり、ナルデメジン群が有意に少なかった(p<0.0001)。
・1~3日目の悪心・嘔吐の発現は、いずれの日においてもナルデメジン群が有意に少なかった(いずれの日もp<0.0001)。
・有害事象の発現割合はナルデメジン群29.2%、プラセボ群61.7%であった。嘔吐の発現割合はナルデメジン群12.5%、プラセボ群40.4%であり、ナルデメジン群が有意に少なかった(p=0.0072)。

(ケアネット 佐藤 亮)