統合失調症に対する電気けいれん療法後の再発率〜メタ解析

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/11/14

 

 統合失調症患者における急性期電気けいれん療法(ECT)後の再発リスクに関するエビデンスは、うつ病患者の場合と比較し、再発率に関する明確なコンセンサスが得られていない。関西医科大学の青木 宣篤氏らは、統合失調症における急性期ECT後の再発に関する縦断的な情報を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2024年10月4日号の報告。

 統合失調症および関連疾患に対する急性期ECT後の再発や再入院に関するランダム化比較試験(RCT)、観察研究をシステマティックレビューおよびメタ解析に含めた。主要アウトカムは、ECT後3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、24ヵ月時点における再発統合推定値とし、ランダム効果モデルを用いて算出した。サブグループ解析では、維持療法の種類別にECT後の再発率を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・6,413件中29研究(3,876例)が適確基準を満たした。
・バイアスリスクは、すべてのRCT(4件)では一貫して低く、観察研究(25件)では低〜高の範囲であった。
・急性期ECTで治療反応が認められた統合失調症患者の再発統合推定値は、次のとおりであった。
【3ヵ月時点】24%(95%信頼区間[CI]:15〜35)
【6ヵ月時点】37%(95%CI:27〜47)
【12ヵ月時点】41%(95%CI:34〜49)
【24ヵ月時点】55%(95%CI:40〜69)
・急性期ECT後、継続/維持ECTに抗精神病薬を追加した場合、6ヵ月後の再発率は20%(95%CI:11〜32)であった。

 著者らは「統合失調症に対する急性期ECTは、6ヵ月以内の再発が多く、とくに最初の3ヵ月以内に起こる可能性が高かった。再発率は、6ヵ月には横ばいとなったが、約半数は2年以内に再発すると予想される。統合失調症患者に対する急性期ECT後の治療戦略を最適化するためには、さらに質の高い研究が求められる」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)