不眠症に対する認知療法、行動療法、認知行動療法の長期有効性比較

不眠症を軽減するためには、長期的な治療が重要である。米国・カリフォルニア大学バークレー校のLaurel D. Sarfan氏らは、不眠症治療に対する認知療法(CT)、行動療法(BT)、認知行動療法(CBT)の長期的な有効性について、相対的に評価した。その結果、セラピストによるCBT、BT、CTの提供は、長期にわたり不眠症による夜間および日中の症状を改善させる可能性が示唆された。Journal of Consulting and Clinical Psychology誌オンライン版2023年2月23日号の報告。
対象は、不眠症患者188例(女性:62.2%、白人:81.1%、ヒスパニックまたはラテン系:6.5%、平均年齢:47.4歳)。対象患者を、不眠症に対するCT、BTまたはCBTの8つのセッションにランダムに割り付けた。不眠症の重症度、不眠症に対する治療反応/寛解、睡眠日誌のパラメータ、日中の機能を、治療前および12ヵ月間のフォローアップ期間に測定し評価を行った。
主な結果は以下のとおり。
・いずれかの治療を行った患者で、不眠症の重症度、入眠潜時、中途覚醒、総睡眠時間、睡眠効率、仕事や社会への適応、メンタルヘルスの改善が認められた(各々、p<0.05)。
・各治療群において、実質的な割合で寛解や治療反応の達成が確認された。
・CBTは、CTと比較し不眠症の重症度を大きく改善し、CTおよびBTと比較し、より一層の寛解や身体的健康の改善が認められた(各々、p<0.05)。
・精神疾患を合併している患者では、CBTはCTと比較し、仕事や社会への適応、メンタルヘルスを大きく改善した(各々、p<0.05)。
・CTには、就寝時間の変化との関連が認められず、日中の疲労の変化に関連する治療条件もみられなかった(各々、p>0.05)。
・セラピストによるCBT、BT、CTの提供は、長期にわたり不眠症による夜間および日中の症状を改善させる可能性が示唆された。
(鷹野 敦夫)
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