腎細胞がんへのアテゾリズマブ術後補助療法の成績(IMmotion010)/ESMO2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/10/04

 

 腎細胞がん(RCC)に対するアテゾリズマブの術後療法の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で英国・The Royal Free London NHS Foundation TrustのAxel Bex氏から発表された。

 これは、日本も参加した国際共同のプラセボ対照第III相のIMmotion010試験の結果である。

・対象:完全切除術を受けた中間/高リスクの腎細胞がん
・試験群:アテゾリズマブ1,200mg/日(Atz群:390例)
・対照群:プラセボ(Pla群:388例)
両群共に3週ごと16サイクルまたは1年間投与
・評価項目
[主要評価項目]主治医判定による無病生存期間(DFS)
[副次評価項目]全生存期間(OS)、PD-L1状況別のDFS、無イベント生存期間(EFS)、安全性など

 主な結果は以下のとおり。

・対象は、T2 Grade4、T3a Grade3/4、T3b/c、T4、TXN+、M1などの再発リスクが中間以上の症例であった。淡明細胞型RCCで肉腫成分ありも対象であった。
・症例背景に偏りはなく、PS0が約80%、T2/3aが64%、M1が14%で、PD-L1発現あり(IC1/2/3)が、60%であった。
・データカットオフ(2022年5月)時の観察期間中央値は44.7ヵ月であった。
・DFS中央値は、Atz群で57.2ヵ月、Pla群で49.5ヵ月、ハザード比(HR)は0.93(95%信頼区間[CI]:0.75~1.15)、p=0.4950と、両群間に有意差は認められなかった。24ヵ月DFS率は67%と65%だった。
・事前に規定されたサブグループの解析では、女性と肉腫成分ありグループではAtz群が良好であった。
・OS中央値は、両群共に未到達でHRは0.97(95%CI:0.67~1.42)であった。
・PD-L1の発現状況別にDFSを検討したところ、IC0(免疫細胞における染色性が1%未満)ではHRが1.09(95%CI:0.77~1.53)、IC1(染色性1~5%)ではHRが0.92(95%CI:0.68~1.25)、IC2/3(染色性5%以上)ではHRが0.57(95%CI:0.29~1.15)と、発現が強いほどAtz群の効果は良好な傾向であった。
・Atz群の主な有害事象はすべて既知のものであり、関節痛、皮膚障害、甲状腺機能低下、発熱などであった。治療関連のGrade3以上の有害事象はAtz群で14.1%にPla群で4.7%に発現し、有害事象による治療中止はAtz群で11.5%、Pla群で2.6%であった。両群共に治療関連死はなかった。

(ケアネット)

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