COVID-19への喫煙の影響~71研究の系統的レビュー

提供元:ケアネット

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公開日:2020/04/14

 

 喫煙者は、過去に流行した中東呼吸器症候群(MERS)の死亡率が高かったー。それを踏まえ、今回、米国・ハーバード大学のConstantine I Vardavas氏らは、喫煙情報を含むCOVID-19に関する研究についてシステマティックレビューを実施した。その結果、喫煙はCOVID-19の負の進行と有害転帰にもっとも関連している可能性が高いことが示された。Tabacco induced diseases誌オンライン版3月20日号掲載の報告。

喫煙者がCOVID-19の重篤な症状を示す可能性は1.4倍高かった

 研究者らは2020年3月17日、2つのデータベース(PubMed、ScienceDirect)を使用して2019年と2020年に公開された研究から文献検索を実施した。評価項目は、疾患の重症度、人工呼吸器の必要性、集中治療室(ICU)入室と死亡、喫煙とCOVID-19の転帰の関係性であった。

 喫煙情報を含むCOVID-19に関する研究についてシステマティックレビューを実施した主な結果は以下のとおり。

・検索により合計71研究を抽出、うち66件が除外された。残った5研究はすべて中国(4件は武漢、1件は中国本土全体)で実施されていた。
・5研究の母集団はCOVID-19患者で、サンプルサイズは41〜1,099人だった。
・重症度を評価し、5研究の中で最も大きな研究によると、ICUのサポート、人工呼吸器を必要とする患者、または死亡患者には喫煙歴を有する者(禁煙者、現在喫煙中の両方含む)の割合が高く、重症例でも喫煙者の割合が高かった。
・非喫煙者と比較して、喫煙者がCOVID-19の重篤な症状を示す可能性は1.4倍高かった(リスク比[RR]=1.4、95%信頼区間[95%CI]:0.98〜2.00)。
・また、非喫煙者と比較して、喫煙者のCOVID-19によるICU入室の可能性、機械的換気の必要や死亡率は約2.4倍高かった。(RR=2.4、95%CI:1.43~4.04)。

(ケアネット 土井 舞子)