米国では、性行為感染症(STDs)やうつ病は、毎年100万人に大きな影響を与え、直接医療費は410億ドルを超える。性行為感染症とうつ病は相互の影響がほとんど理解されておらず、それぞれが歴史的に別々に対処されてきたが、プライマリケアにおける対処が増えている。米国・南イリノイ大学のWiley D Jenkins氏らは、うつ病と性行為感染症との関連を検討した。Preventive medicine誌オンライン版2016年4月4日号の報告。
うつ病歴のある人は性行為感染症のリスクが高い
著者らは、過去1年間にSTD(STDy)と診断された米国における12歳以上の施設非入所者について、全米を対象とした横断的調査である住民サーベイ2014National Survey of Drug Use and Health(NSDUH)より、18~25歳のデータを分析した。独立変数には、人口統計、生涯のうつ病エピソード(MDE)診断、STDリスクに関連する行動、精神疾患治療に関連する(臨床的に観察された)診療データが含まれた。
うつ病と性行為感染症との関連を検討した主な結果は以下のとおり。
・1万8,142人中、うつ病エピソード有病率は15.3%、性行為感染症有病率は2.4%であり、それぞれ性別や人種により有意な差が認められた。
・うつ病エピソードと関連する性行為感染症リスクの増加は、女性(OR:1.61、95%CI:1.18~2.20)、男性(OR:2.23、95%CI:1.15~4.70)、白人(OR:3.02、95%CI:2.02~4.53)、低所得水準・保険の状態で認められた。
・単変数モデリングでは、メンタルヘルス治療を受けていること、マリファナ、アルコール、違法薬物の使用が、それぞれSTDyの有意な増加と関連していた。
・多変量ロジスティック回帰分析では、メンタルヘルス治療を受けることがSTDyの予防につながることが示された(調整OR:0.55、95%CI:0.32~0.95)。
結果を踏まえ、著者らは「うつ病歴のある人は、性行為感染症のリスクが高く、このリスク要因はプライマリケアでも確認できる」とし、「うつ病治療をもっとプライマリケアに組み込むことが、より効果的な介入手段となりうる」としている。
(鷹野 敦夫)