降圧薬、アドヒアランス不良でCVD死亡リスク1.6倍以上

提供元:ケアネット

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公開日:2016/03/22

 

 降圧薬のアドヒアランス不良は、心血管疾患(虚血性心疾患・脳出血・脳梗塞)による死亡および入院リスクの上昇と有意な関連が認められることが、韓国・Korea Cancer Center HospitalのSoyeun Kim氏らによる研究で明らかになった。著者らは、実臨床における服薬アドヒアランス改善と監視システムの重要性を強調した。Hypertension誌2016年3月号の報告。

 心血管疾患予防において、降圧薬の服薬アドヒアランスが重要であるかは十分に解明されていない。そのため、本研究では、降圧薬の服薬アドヒアランスが特定の心血管疾患(虚血性心疾患・脳出血・脳梗塞)の死亡率に及ぼす影響について検討した。

 韓国の国民健康保険の登録者からランダムに抽出した3%のサンプルコホートのデータを使用した。調査対象は、2003~04年に降圧薬治療を新規に開始した20歳以上の高血圧患者であった。降圧薬の服薬アドヒアランスは、累積服薬順守率から推定した。対象を、アドヒアランス良好群(累積服薬順守率80%以上)、アドヒアランス中間群(同50~80%)、アドヒアランス不良群(同50%未満)に分類し、時間依存Cox比例ハザードモデルを用いて、服薬順守率と予後との関連を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・3万3,728例の適格者のうち、670例(1.99%)がフォローアップ中に冠動脈疾患、あるいは脳卒中で死亡した。
・アドヒアランス不良群は、良好群よりも心血管疾患による死亡リスクが有意に高い傾向が認められた。
虚血性心疾患(ハザード比[HR] 1.64、95%CI:1.16~2.31、p for trend=0.005)
脳出血(HR 2.19、95%CI:1.28~3.77、p for trend=0.004)
脳梗塞(HR 1.92、95%CI:1.25~2.96、p for trend=0.003)
・心血管疾患による入院の推定ハザード比は、死亡のエンドポイントと一致した。

(ケアネット 武田 真貴子)