大腸がんは肥満・高血圧・糖尿病と関連

提供元:ケアネット

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公開日:2016/02/10

 

 大腸新生物とアテローム性動脈硬化はどちらも内臓脂肪蓄積によって生じうる。しかし、進行期大腸がんと心血管/脳血管疾患との関連は不明である。東京大学の山地 裕氏らは、わが国における入院患者の全国データベースを用いて、肥満・代謝性疾患との関連からみた大腸がんと血管疾患との関連性を、非心臓性の胃がん患者(肥満・代謝性疾患に関連がないと考えられる)を基準として検討した。その結果、肥満と代謝性疾患は、胃がんと比べて大腸がんとの関連が強かったが、冠動脈疾患は大腸がんと逆相関していた。Digestive Diseases and Sciences誌オンライン版2016年2月1日号に掲載。

 著者らは、DPC(Diagnosis Procedure Combination)データから大腸がん5万4,591例、胃がん1万9,565例の患者を同定した。本データは、性別、年齢、BMI、喫煙状況、併存疾患、薬物治療データ(高血圧、糖尿病、高脂血症、冠動脈疾患、脳卒中)を含んでおり、これらの横断的なデータを多変量解析により比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・女性、BMI高値、高血圧(オッズ比[OR] 1.11、95%CI:1.07~1.15、p<0.0001)、糖尿病(OR 1.17、95%CI:1.12~1.23、p<0.0001)は、胃がんに比べて大腸がんとの関連が強いことが、多変量ロジスティック回帰分析で示された。

・喫煙、アスピリン使用(OR 0.85、95%CI:0.79~0.92、p<0.0001)、冠動脈疾患(OR 0.90、95%CI:0.86~0.95、p=0.0001)は、大腸がんと逆相関していた。

(ケアネット 金沢 浩子)