日本語でわかる最新の海外医学論文|page:669

乳製品摂取増と高血圧リスク低下は関連せず/BMJ

 乳製品の1日摂取量と収縮期血圧・高血圧症リスクについて、逆相関の関連は認められないことが、遺伝子レベルで検討した無作為化試験の結果、示された。これまでの観察研究で、乳製品の摂取量と収縮期血圧や高血圧症リスクの低下との関連が示されていたが、その因果関係については不明だった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のMing Ding氏らによる検討で、BMJ誌2017年3月16日号で発表された。

親の精神疾患を子供はどう思っているか

 重度の精神疾患リスクを有する無症候性の人(臨床ステージ0)に対する潜在的な介入研究は、遺伝子カウンセリングや確立された疾患を有する成人患者に焦点が当てられてきた。英国・NTW NHS TrustのJo Davison氏らは、双極性障害(BD)リスクを有する青年を対象にインタビューを行った。Early intervention in psychiatry誌オンライン版2017年2月11日号の報告。

認知機能低下が懸念されるスタチン、運動併用が有効か

 スタチン使用と認知機能低下との関連が懸念されている。熊本大学循環器内科の研究グループでは、既に軽度の認知機能低下のある冠動脈疾患(CAD)患者におけるパイロット研究から、スタチンと定期的な運動の併用が認知機能障害の改善に役立つ可能性を報告した。Internal medicine誌オンライン版2017年3月17日号に掲載。

糖尿病網膜症の白内障手術後、ネパフェナクが有用

 糖尿病網膜症を有する患者における白内障手術後のネパフェナク0.3%点眼投与は、予期せぬ安全性に関わるイベントの発生を伴うことなく、術後黄斑浮腫のリスクを低下し、視力改善にも寄与することが示された。米国・クリーブランドクリニックのRishi P Singh氏らが、2件の第III相無作為化臨床試験の結果を分析し報告した。「試験の結果は、同患者の白内障手術後のネパフェナク0.3%点眼投与について、臨床的ベネフィットがあることを示すものであった」と報告している。Ophthalmology誌オンライン版2017年3月4日号掲載の報告。

中国2億人の調査が示すPM10の死亡への影響/BMJ

 中国における粒子状大気汚染の死亡への影響を調べた大規模調査の報告が、中国疾病予防センター(CCDC)のPeng Yin氏らにより発表された。38の大都市の人口2億人超について調べたもので、疾患別死亡でみると、呼吸器・循環器疾患の死亡への影響が他の疾患死への影響と比べてより大きく、60歳未満と比べて60歳以上のほうが粒子状大気汚染の死亡への影響を強く受けていることが示された。また、そうした影響は都市間でばらつきがみられ、人口規模の大きな都市のほうが影響は小さく、南部にある都市と比べると北部にある都市のほうが均等に影響を受けていることも明らかにされた。これまで中国では大気汚染の影響への関心は高かったが、複数都市を対象とした分析調査はほとんど行われていなかったという。BMJ誌2017年3月14日号掲載の報告。

臨床試験の品質をCONSORT声明などできちんと見極めよう(解説:折笠 秀樹 氏)-656

2012年12月~2013年11月に出版された、RCT(ランダム化比較試験)1,122件を対象とした調査が行われた。臨床試験の事前登録は2005年頃から開始されたが、事前登録されたRCTは593件、事前登録されなかったRCTは529件とほぼ半々であった。事前登録の有無については、WHO ICTRP、EU CT、NIH、ISRCTNサイトで確認された。事前登録をしていない臨床試験では、不当にポジティブな(良い)結果を得ているのではないかと仮説を立てた。その傾向はみられたものの、それほど顕著ではなかった。

境界性パーソナリティ障害併発、自殺に対する影響は

 最近の研究によると、精神病的体験と自殺行動との間には強い関連があることが報告されている。しかし、境界性パーソナリティ障害(BPD)は一般的な精神疾患と頻繁に併発し、再発の自殺行動や精神病的体験に関連しているにもかかわらず、この関係におけるBPDの役割について研究したデータはない。アイルランド王立外科医学院のI Kelleher氏らは、BPDや一般的な精神疾患との相互関係を含む、精神病的体験と自殺企図との関連を調査した。Acta psychiatrica Scandinavica誌2017年3月号の報告。

抗血小板薬シロスタゾール、認知症リスク低下の可能性

 抗血小板薬が、認知機能に対する予防効果を有するかはよくわかっていない。台湾・高雄医学大学のShu-Yu Tai氏らは、アジア人における、cAMPホスホジエステラーゼ3阻害薬である抗血小板薬シロスタゾールの使用と認知症リスクとの潜在的な関連を検討した。Neurotherapeutics誌オンライン版2017年2月13日号の報告。

チョコレート好きな人は脳卒中になりにくい!?

 チョコレート摂取は心臓血管に有益な効果をもたらす可能性があるが、前向きコホート研究でのエビデンスは少ない。今回、わが国の大規模コホート研究であるJPHC study(主任研究者:国立がん研究センター 津金昌一郎氏)において、チョコレート摂取と脳卒中リスクの関連を前向きに調査したところ、女性でのみ有意な逆相関を支持する結果が報告された。Atherosclerosis誌オンライン版2017年3月4日号に掲載。

夜間高血圧に対するARB/CCB併用の効果をICTモニタリングで証明~日本循環器学会

 夜間血圧の上昇は心血管イベントの増加につながることから、近年、夜間血圧が注目されている。自治医科大学の星出 聡氏は、2017年3月17~19日に行われた第81回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Clinical Trialセッションにおいて、情報通信技術(ICT)による夜間血圧モニタリングによって、コントロール不能な夜間高血圧症に対する2パターンのアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)併用療法を評価したNOCTURNE試験の結果を報告した。この結果は、Circulation Journal誌に同時掲載された。

オピオイドとベンゾジアゼピンの併用はリスクか?/BMJ

 米国・スタンフォード大学のEric C Sun氏らは、民間医療保険の支払いデータから、オピオイドとベンゾジアゼピン系薬の併用使用の傾向、および併用使用とオピオイド過剰摂取との関連を調べるレトロスペクティブな分析を行った。その結果、2001~13年の間に両薬の併用は1.8倍に急増しており、併用がオピオイド過剰摂取の全リスクに有意に関与していることが明らかになったと報告した。多くの国で、処方オピオイドの使用増大と、その結果としてオピオイド中毒や過剰摂取が起きている可能性が公衆衛生上の懸念として増している。米国では、オピオイドの致死的過剰摂取の30%でベンゾジアゼピン系薬の併用が認められており、同併用の増大がオピオイド関連死の増大を招いているのではないかと懸念されている。しかし、これまでに行われたオピオイドとベンゾジアゼピン系薬の併用に関する試験は退役軍人を対象としたもので、一般集団である民間保険加入者の使用傾向や影響については明らかにされていなかったという。BMJ誌2017年3月14日号掲載の報告。

オランザピンの心血管副作用、メラトニンの保護可能

 第2世代抗精神病薬(SGA)は、患者の早期死亡の起因となる有害な心血管代謝系副作用と関連している。これら心血管代謝系副作用を引き起こすメカニズムは十分にわかっていないが、最近、3つの独立した研究において、メラトニンがSGA治療患者の心血管代謝リスクを防御していることが示された。循環するメラトニンの主要標的領域の1つである視交叉上核(SCN)が、SGA誘発性の早期心血管系効果に関連しているかを、メキシコ国立自治大学のFrancisco Romo-Nava氏らは、Wistarラットを用いて検討を行った。Journal of pineal research誌オンライン版2017年2月22日号の報告。

ペムブロリズマブ、難治性の古典的ホジキンリンパ腫に承認:FDA

 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は2017年3月14日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)について、難治性またはこれまでに3回以上治療を受け再発した成人および小児古典的ホジキンリンパ腫(cHL)患者に対する治療薬として米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表した。

リバーロキサバン、国内最大規模のリアルワールドエビデンス~日本循環器学会

 日本におけるリバーロキサバン(商品名:イグザレルト、バイエル薬品株式会社)の特定使用成績調査であるXAPASSの解析結果が、3月17~19日に金沢市で開催された第81回日本循環器学会学術集会にて発表された。本調査では脳卒中または全身性塞栓症の発症抑制を目的にリバーロキサバンを投与された非弁膜症性心房細動患者、1万例超が2012年4月から約2年間に登録された。

冠動脈疾患と脳卒中における危険因子の違い

 冠動脈疾患(CHD)と脳卒中には共通のリスク因子があるが、CHDと脳卒中との関連の大きさや向きが異なる因子がある。藤田保健衛生大学の松永 眞章氏らは、アジア人におけるCHDと脳卒中による死亡において、各リスク因子による影響が異なるかどうかを、日本人の大規模コホート研究であるJACC(Japan Collaborative Cohort)Studyで検討した。その結果、高血圧との関連は一致したが、喫煙や糖尿病など他のリスク因子については一致しなかった。Atherosclerosis誌オンライン版2017年3月6日号に掲載。

人工膝関節全置換術後の入院リハビリは必要か/JAMA

 人工膝関節全置換術(TKA)後に入院リハビリテーションを行っても、最初から在宅プログラムを開始した場合に比べ、26週後のモビリティは改善しないことが、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のMark A Buhagiar氏らが実施したHIHO試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年3月14日号に掲載された。入院プログラムなどの形式化されたリハビリテーションプログラムは、TKAを受けた患者の至適な回復法と見なされることが多いが、外来や自宅でのプログラムとの比較は行われていないという。

脳卒中発症AF患者の8割強、適切な抗凝固療法を受けず/JAMA

 抗血栓療法は心房細動患者の脳卒中を予防するが、地域診療では十分に活用されていないことも多いという。米国・デューク大学医療センターのYing Xian氏らPROSPER試験の研究グループは、急性虚血性脳卒中を発症した心房細動患者約9万5,000例を調査し、脳卒中発症前に適切な経口抗凝固療法を受けていたのは16%に過ぎず、30%は抗血栓療法をまったく受けていない実態を明らかにした。JAMA誌2017年3月14日号掲載の報告。

日本人の心房細動患者に適した脳梗塞リスク評価~日本循環器学会

 日本人の非弁膜症性心房細動(AF)患者の心原性脳塞栓症リスク評価において、脳卒中の既往、高齢、高血圧、持続性心房細動、低BMIの5つの因子による層別化が、従来のCHADS2スコアやCHA2DS2-VAScスコアによる層別化よりリスク予測能が高いことが報告された。本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の支援による、層別化指標の確立を目的とした共同研究であり、第81回日本循環器学会学術集会(3月17~19日、金沢市)のLate Breaking Cohort Studiesセッションで弘前大学の奥村 謙氏が発表した。