IPFに対するnerandomilast、第III相試験のアップデート解析(FIBRONEER-IPF)/ERS2025 最終更新:2025/10/07 医療一般 ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害薬nerandomilastは、特発性肺線維症(IPF)患者を対象とした国際共同第III相試験「FIBRONEER-IPF試験」、進行性肺線維症(PPF)患者を対象とした「FIBRONEER-ILD試験」において、主要評価項目の努力肺活量(FVC)の低下を有意に抑制したことが報告されている。欧州呼吸器学会(ERS Congress 2025)において、FIBRONEER-IPF試験のデータ最終固定時の解析結果をJustin M. Oldham氏(米国・ミシガン大学)が報告した。本解析において、FVCの低下抑制効果は76週時まで維持された。また、主要な副次評価項目に有意差はみられなかったものの、nerandomilast高用量群では死亡リスクの数値的な低下がみられた。
低用量経口セマグルチド、過体重/肥満者で優れた減量効果/NEJM 最終更新:2025/10/06 ジャーナル四天王 低用量(25mg)の経口セマグルチド(GLP-1受容体作動薬)は、高用量(50mg)や皮下注射薬(2.4mg)に代わる肥満者の新たな治療選択肢となる可能性が指摘されている。カナダ・トロント大学のSean Wharton氏らOASIS 4 Study Groupは、過体重または肥満者では、プラセボと比較して低用量セマグルチドの1日1回経口投与は、減量効果が有意に優れ、体重が生活の質(QOL)に及ぼす影響も有意に改善することを示した。研究の成果は、NEJM誌2025年9月18日号に掲載された。
てんかん患者の突然死、発作期無呼吸がリスクマーカーに/Lancet 最終更新:2025/10/06 ジャーナル四天王 「てんかんにおける予期せぬ突然死(sudden unexpected death in epilepsy:SUDEP)」はてんかん関連死の主要な原因であり、後ろ向き研究によってそのリスク因子は、全般けいれん発作(とくに夜間)、罹患期間の長いてんかん、独居が知られている。米国・University of Texas Health Science Center at HoustonのManuela Ochoa-Urrea氏らは、これらのリスク因子を支持するエビデンスと共に、発作に伴う無呼吸がSUDEPリスクの指標となる可能性を示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2025年9月17日号で発表された。
ICD患者のK値はいくつにすべきか―4.0mEq/Lでは低すぎる(解説:高月誠司氏) 最終更新:2025/10/06 CLEAR!ジャーナル四天王 血清Na濃度は140mEq/Lに対して、細胞内Na濃度は15mEq/L、相補的に血清K濃度は4~5mEq/Lに対して、細胞内K濃度は140mEq/Lと濃度は逆転している。心筋の静止膜電位は-90mVだが、Naチャネルが開口し、一気に細胞内にNaイオンが流入することにより、膜電位は脱分極し、心筋の活動電位が発生する。活動電位においてKは細胞外に放出され、再分極を担う。細胞外K濃度が変化すると、静止膜電位に影響する。K濃度が上昇すると、静止膜電位は脱分極し、Naチャネルの抑制方向に働く。高K血症は伝導速度の低下や伝導ブロックにつながる。一方でK濃度が低下すると静止膜電位は過分極するが、それよりもKチャネルのconductanceの低下による細胞外へのKの放出の抑制が影響する。
内視鏡鎮静に新たな選択肢、レミマゾラムが覚醒時間を半減/ムンディファーマ 最終更新:2025/10/06 医療一般 2025年6月、短時間作用型ベンゾジアゼピン系鎮静薬レミマゾラムベシル(一般名:レミマゾラム、商品名:アネレム)の新規格である20mg製剤が消化器内視鏡診療時の鎮静を効能・効果として新規に承認され、既存の50mg製剤も追加承認を取得した。50mg製剤は2020年に全身麻酔の導入・維持を適応として承認されていたが、今回の承認により、消化管内視鏡時の鎮静用途において、国内初のベンゾジアゼピン系薬剤として保険適用を取得した。これを受け、ムンディファーマは9月19日、「消化器内視鏡診療における鎮静の重要性について」と題したメディアセミナーを開催した。北里大学病院 内視鏡センター長の池原 久朝氏が登壇し、内視鏡検査の現状と新薬の臨床的意義について講演した。
家事をしない人は認知症リスクが高い?米国65歳以上の10年間調査 最終更新:2025/10/06 医療一般 身体活動レベルは、アルツハイマー病およびその他の認知症発症リスクに影響を及ぼす。米国・カリフォルニア大学のNan Wang氏らは、65歳以上の米国人を対象に、家事頻度の変化が認知機能に及ぼす影響を評価するため、10年間にわたる家事頻度の変化と認知機能との相関を調査した。The Permanente Journal誌オンライン版2025年9月10日号の報告。 Health and Retirement Studyに参加した65歳以上の米国人8,141例のデータを分析した。2008~10年の家事頻度の変化を「一貫して高い」「低から高へ変化」「高から低へ変化」「一貫して低い」の4つに分類し、評価した。認知機能は、2010~18年に複合スコア(範囲:0~35)を用いて測定し、混合効果線形回帰モデルを用いて評価した。
PS不良の小細胞肺がん、デュルバルマブ+化学療法の有用性は?(NEJ045A)/ERS2025 最終更新:2025/10/06 医療一般 『肺癌診療ガイドライン2024年版』において、PS0~1の進展型小細胞肺がん(ED-SCLC)の標準治療は、プラチナ製剤/エトポシド併用療法+PD-L1阻害薬であるが、PS不良例での有効性・安全性は明らかになっていない。そのため、PS2ではプラチナ製剤+エトポシドまたはイリノテカン併用療法、PS3ではカルボプラチン+エトポシド療法またはsplit PE療法が標準治療とされている。そこで、PS2~3のED-SCLC患者を対象に、デュルバルマブ+カルボプラチン+エトポシドの有効性・安全性を検討する国内第II相単群試験「NEJ045A試験」が実施された。その結果、PSに応じて用量調節を行うことで、半数以上が導入療法を完遂し、良好な治療成績が得られた。欧州呼吸器学会(ERS Congress 2025)において、渡部 聡氏(新潟⼤学医⻭学総合病院 呼吸器・感染症内科)が本試験の結果を報告した。なお、本結果はLancet Respiratory Medicine誌オンライン版2025年9月28日号に同時掲載された。
ネット上の血圧測定の写真の多くが間違った測り方を示している 最終更新:2025/10/06 医療一般 家庭血圧を測定しようとする人の中には、インターネットの画像検索で測定方法を知ろうとしている人がいるかもしれないが、新たな研究によると、その調べ方は要注意なようだ。ネット上に存在する血圧測定シーンの写真の大半が、正しい測定方法を示していないとする論文が、「Hypertension」に9月8日掲載された。 この研究は、ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)のAletta Schutte氏らによるもので、ネット上にある血圧測定写真のうち、正しい測り方を示した写真は7枚中1枚に過ぎないことが明らかになった。論文の上席著者である同氏は、「半分程度は正確な測定法を示しているだろうと考えていたが、結果は予想よりも悪かった。人々は、文章の説明よりも画像の方をよく覚えている傾向がある。これは画像優位性効果と呼ばれるものだ。ネット上の誤った血圧測定画像は、この効果を介して、公衆衛生に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と語っている。
献血前のカフェイン摂取が赤血球の質に影響か 最終更新:2025/10/06 医療一般 コーヒーの摂取は献血された血液の質に悪影響を与える可能性のあることが、新たな研究で示された。献血された血液に高濃度のカフェインが含まれていると、赤血球は保存中に損傷を受けやすくなることや、カフェインを多く含んだ血液を輸血すると、輸血後のヘモグロビン濃度の増加が抑制されることが明らかになったという。ヘモグロビンは赤血球内のタンパク質で、酸素を運び二酸化炭素を除去する役割を担っている。米コロラド大学医学部のAngelo D’Alessandro氏らによるこの研究結果は、「Haemotologica」に9月4日掲載された。
2型糖尿病合併HFpEF、セマグルチドとチルゼパチドが入院・死亡リスクを低減/JAMA 最終更新:2025/10/03 ジャーナル四天王 心代謝性(2型糖尿病合併)の左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)患者において、セマグルチドとチルゼパチドはいずれもプラセボと比較し、心不全による入院または全死亡の複合リスクを40%以上減少させたが、チルゼパチドとセマグルチドとの間に有意差は示されなかった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のNils Kruger氏らが、5件のコホート研究から得られた結果を報告した。HFpEFは、肥満や2型糖尿病などの心代謝合併症を有する患者に多くみられ、入院の主な原因となっている。セマグルチドとチルゼパチドの初期試験では、これらの患者における症状改善に有望な結果が示されたが、これらの知見は臨床イベント数が少なく、治療の推奨は確実とはいえないままであった。JAMA誌オンライン版2025年8月31日号掲載の報告。
小児・青年期の医用画像による被曝、血液がんリスクへの影響は?/NEJM 最終更新:2025/10/03 ジャーナル四天王 小児・青年期における医用画像診断による放射線曝露は、わずかではあるが血液がんのリスク増加と有意に関連していることが、米国・カリフォルニア大学のRebecca Smith-Bindman氏らによる後ろ向きコホート研究「Risk of Pediatric and Adolescent Cancer Associated with Medical Imaging retrospective cohort study:RICコホート研究」で示された。小児・青年期における医用画像診断による放射線誘発性血液がんのリスクを評価することは、画像検査の実施に関する意思決定を支援することにつながる。NEJM誌2025年9月17日号掲載の報告。
TAVR用デバイス「Evolut FX+」発売/メドトロニック 最終更新:2025/10/03 医療一般 日本メドトロニックは、重度の大動脈弁狭窄症患者を対象とした経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)に用いられる「Evolut FX+(エボリュート エフエックスプラス)」(以下、Evolut FX+)を10月1日に発売した。
喘息合併の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎、デュピルマブvs.オマリズマブ(EVEREST)/ERS2025 最終更新:2025/10/03 医療一般 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎と喘息は、病態の中心に2型炎症が存在することが多く、両者の合併も多い。また、合併例は重症例が多く全身性ステロイド薬による治療が必要となる場合もある。そこで、喘息を合併する鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者を対象に、デュピルマブとオマリズマブ(本邦で鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎への適応を有するのはデュピルマブのみ)を比較する海外第IV相無作為化二重盲検比較試験「EVEREST試験」が実施された。その結果、デュピルマブがオマリズマブと比較して鼻茸スコア(NPS)や嗅覚障害などを改善した。欧州呼吸器学会(ERS Congress 2025)において、Enrico Marco Heffler氏(イタリア・IRCCS Humanitas Research Hospital)が本試験の結果を報告した。
10月24日開催『第7回ヘルスケアベンチャー大賞』最終審査会【ご案内】 最終更新:2025/10/03 医療一般 日本抗加齢協会は2025年10月24日(金)、医療・ヘルスケア分野で革新的な挑戦を続けるスタートアップを応援する「第7回ヘルスケアベンチャー大賞」最終審査会を日本橋ライフサイエンスハブにて開催する。 本アワードは、医療・学術界と産業界をつなぎ、新しい価値を創出するヘルスケアスタートアップを発掘・支援することを目的に2017年から開催しており、毎回大きな注目を集めている。過去の受賞者には、世界的イノベーションコンペティション「XPRIZE」のセミファイナリストが輩出されるなど、国内外から高く評価される企業も生まれており、本アワードはグローバルに羽ばたく登竜門としての役割を担っている。
肺炎は認知症リスクを高めるか~メタ解析 最終更新:2025/10/03 医療一般 肺炎が認知症や認知機能低下のリスクの上昇と関連するかいまだ不明である。今回、中国・Hangzhou Geriatric HospitalのZhen Yan氏らが系統的レビューとメタ解析で検討した結果、肺炎と認知症リスクの関連が示唆され、高齢者でより顕著であった。Annals of Medicine誌2025年12月号に掲載。
アルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性 最終更新:2025/10/03 医療一般 米国・Ohio State University Wexner Medical CenterのJared Stroud氏らは、アルツハイマー型認知症患者に伴うアジテーションの治療に対するブレクスピプラゾールの有効性および安全性を検討するため、2つの臨床試験を統合し、事後解析を実施した。Current Medical Research and Opinion誌2025年9月5日号の報告。 軽度から重度の認知機能低下およびアジテーションを有するアルツハイマー病患者を対象とした2つの国際共同無作為化二重盲検試験において、ブレクスピプラゾール(2mg/日または3mg/日)およびプラセボによる治療のデータを統合した。12週間にわたるアジテーション頻度の変化は、Cohen-Mansfield Agitation Inventory(CMAI)を用いて測定した。安全性評価には、治療中に発現した有害事象(TEAE)を含めた。本事後解析では、ケア環境(施設入所、非施設入所)、認知機能低下の重症度(軽度/中等度、重度)、併発する行動症状(精神病、うつ病、不安症、易刺激性、睡眠障害)、認知症治療薬(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、メマンチン)、精神疾患治療薬(抗うつ薬、ベンゾジアゼピン系薬剤)の併用の有無に基づき、臨床的に関連する13のサブグループについて調査した。
チルゼパチド、血糖コントロール不良の若年2型糖尿病患者に有効/Lancet 最終更新:2025/10/02 ジャーナル四天王 メトホルミンや基礎インスリンで血糖コントロール不十分の若年発症2型糖尿病患者において、GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドの週1回投与はプラセボと比較し、血糖コントロールおよびBMIを有意に改善し、その効果は1年間持続した。米国・Indiana University School of MedicineのTamara S. Hannon氏らがオーストラリア、ブラジル、インド、イスラエル、イタリア、メキシコ、英国および米国の39施設で実施した、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「SURPASS-PEDS試験」の結果で示された。若年発症2型糖尿病に対する治療選択肢は限られており、成人発症2型糖尿病と比較し血糖降下作用が低いことが知られている。
60歳以上への2価RSVワクチン、全心肺疾患による入院も抑制/JAMA 最終更新:2025/10/02 ジャーナル四天王 60歳以上の高齢者における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症に対する2価RSV融合前Fタンパク(RSVpreF)ワクチン接種は、同ワクチンを接種しなかった場合と比較し、全心肺疾患による入院を有意に減少させた。デンマーク・Copenhagen University Hospital-Herlev and GentofteのMats C. Hojbjerg Lassen氏らが、DAN-RSV試験の事前に規定された2次解析の結果を報告した。RSV感染は、とくに心血管疾患(CVD)の既往を有する患者で心血管リスクの上昇と関連している。最近、RSVpreFワクチンがRSV関連下気道疾患の予防として承認されたが、心血管アウトカムに対する有効性を評価した無作為化試験はなかった。著者は、「今回の結果は、全CVDによる入院に対する効果は有意ではなかったものの、RSVワクチン接種が心肺疾患に対しても有用である可能性を示唆している」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年8月30日号掲載の報告。
さまざまなリスクの左室駆出率の低下した心不全へのベルイシグアトの効果―VICTORIA・VICTOR試験統合解析より(解説:加藤貴雄氏) 最終更新:2025/10/02 CLEAR!ジャーナル四天王 VICTORIA試験は、直近の心不全増悪があった左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)患者に対する試験であり、2025年8月の欧州心臓病学会で発表されたVICTOR試験は、6ヵ月以内の入院歴や3ヵ月以内の外来での利尿薬静注の「最近増悪した症例」を除外し、NT-proBNP 600~6,000pg/mL(心房細動は900~6,000pg/mL)を組み入れ基準とした試験で、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬であるベルイシグアトの二重盲検ランダム化比較試験である。
HER2変異陽性肺がんにゾンゲルチニブ承認/ベーリンガーインゲルハイム 最終更新:2025/10/02 医療一般 日本ベーリンガーインゲルハイムは、2025年9月19日、ゾンゲルチニブ(商品名:ヘルネクシオス)について、「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を適応として、日本国内における製造販売承認を取得した。 本剤は、同適応症に対する分子標的薬として国内初の経口薬となる。今回の承認は、活性型HER2遺伝子変異陽性の切除不能または転移のある固形腫瘍患者を対象に、ゾンゲルチニブの単剤療法を評価した第I相非盲検用量漸増試験Beamion-LUNG-1の結果に基づくもの。