日本語でわかる最新の海外医学論文|page:25

進行扁平上皮NSCLCの1次治療、ivonescimab併用がICI併用と比較しPFS改善(HARMONi-6)/Lancet

 未治療の進行扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、ivonescimab+化学療法はチスレリズマブ+化学療法と比較して、PD-L1の発現状態を問わず無増悪生存期間(PFS)を有意に改善させ、安全性プロファイルは管理可能なものであった。中国・上海交通大学のZhiwei Chen氏らが、同国50病院で実施した第III相無作為化二重盲検比較試験「HARMONi-6試験」の結果で示された。扁平上皮NSCLCは非扁平上皮NSCLCと比べて臨床アウトカムが不良で、治療選択肢は限られている。今回の結果を踏まえて著者は、「本レジメンは扁平上皮NSCLC患者集団における1次治療として使用できる可能性がある」とまとめている。Lancet誌2025年11月1日号掲載の報告。

左心耳閉鎖手技(LAAO)の行く末を占う(OPTION試験)(解説:香坂俊氏)

このOPTION試験は、心房細動(AF)アブレーションを受け、かつCHA2DS2-VAScが高い患者を対象に、「その後もふつうに抗凝固薬を飲み続けるか」「左心耳閉鎖手技(LAAO)に切り替えるか」を1:1で比較した国際RCTとなります。1,600例を組み入れ、LAAO群はWATCHMANで閉鎖した後所定期間だけ抗血栓を行い、その後半年ほどで中止し、対照群はDOACを含む標準的な内服抗凝固薬を続けるという設計で行われました。結果として、主要安全エンドポイント(手技に直接関係しない大出血+臨床的に問題となる非大出血)は36ヵ月でLAAO 8.5%vs.OAC 18.1%でLAAO群に少なく(p<0.001)、主要有効性エンドポイント(全死亡・脳卒中・全身性塞栓の複合)は5.3%vs.5.8%で非劣性となりました。

HER2変異陽性NSCLCに対するゾンゲルチニブを発売/ベーリンガーインゲルハイム

 日本ベーリンガーインゲルハイムは「がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)」の適応で、厚生労働省より製造販売承認を取得したゾンゲルチニブ(商品名:ヘルネクシオス)を2025年11月12日に発売した。ゾンゲルチニブは、同適応症に対する分子標的薬として、国内初の経口薬となる。  HER2遺伝子変異は、NSCLC患者の約2~4%に認められるとされており、非喫煙者や女性、腺がんで多くみられる。また、HER2遺伝子変異陽性のNSCLCは予後不良であり、脳転移のリスクも高いことが知られている。

水分摂取量が日本人の認知症リスクに及ぼす影響

 適切な水分摂取は、高齢者の認知機能の維持に不可欠である。しかし、水分摂取量の促進を推奨する前に、解決しなければならない課題が残存している。まず、水分摂取量と認知機能の改善との関係は線形であるのか、そしてもう1つは、この関連性を媒介する根本的なメカニズムは何かという点である。これらの課題を解決するため、北海道・北斗病院の保子 英之氏らは、日本人高齢者を対象に、水分摂取量が認知症リスクに及ぼす影響を検討した。PloS One誌2025年10月6日号の報告。  対象は、高齢者向け介護施設に入所し、看護を受けている日本人高齢者33例。水分摂取量は、日常的な臨床診療の一環として記録した。認知機能は、入所期間中にミニメンタルステート検査日本語版(MMSE-J)を用いて2回評価した。さらに、超音波検査を用いて左右の総頸動脈の血流を測定し、約82.6±14.9日の間隔で評価した。除脂肪体重(LBM)当たりの水分摂取量、MMSE-Jスコアの変化、超音波検査パラメーター間の関係は、ノンパラメトリックブートストラップ法を用いたスピアマンの線形相関分析により解析した。

街路樹の多さは歩行者の転倒を防ぐ?

 街路樹は、木の成長に伴い根が隆起して歩道を押し上げ(いわゆる根上がり)、歩行者がつまずいて転倒する危険性を高める。そのため、訴訟リスクへの懸念から植樹運動に消極的な建物所有者もいる。しかし新たな研究で、街路樹が多い地域ほど歩行者の転倒事故が少なく、街路樹が転倒防止に役立つ可能性が示唆された。米コロンビア大学メイルマン公衆衛生大学院教授のAndrew Rundle氏らによるこの研究結果は、「American Journal of Epidemiology」に10月14日掲載された。  Rundle氏は、「歩道関連の負傷は、公衆衛生上の大きな負担となっている。屋内での転倒は個人の健康要因と関連付けられることが多いのに対し、屋外での転倒は環境条件に左右される。この研究結果は、樹木が周囲の気温を下げることで転倒リスクを軽減する可能性があることを示唆している」と同大学のニュースリリースの中で述べている。

野菜くずを捨ててはいけない――捨てる部分は思っている以上に役立つ可能性

 これまで食卓に上ることなく捨てられてきた、野菜の皮や芯などの「野菜くず」が、近い将来、食糧生産の助けになったり、人々の健康のサポートに使われたりする可能性のあることが、新たな研究で示された。米化学会(ACS)が発行する3種類の学術誌に掲載された4報の研究論文で科学者らは、テンサイのパルプからココナッツの繊維に至るまで、幅広い食品廃棄物を農業および栄養源の貴重な素材として利用する方法を提案している。  「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に9月15日に掲載された研究によると、テンサイ(サトウダイコン)のパルプ(砂糖を抽出した後に残る副産物)が、化学合成農薬の代替品として使える天然素材である可能性が示された。研究者らは、パルプに豊富に含まれているペクチンという繊維を、小麦の一般的な病気である「うどんこ病」に対する抵抗力を高める働きを持つ炭水化物に変えることに成功した。この方法を用いることで、合成農薬の散布量を減らすことができるという。

尿検査+SOFAスコアでコロナ重症化リスクを早期判定

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のオミクロン株の多くは軽症だが、重症化する一部の患者をどう見分けるかは医療現場の課題だ。今回、東京都内の病院に入院した842例を解析した研究で、尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)とSOFA(Sequential Organ Failure Assessment score)スコアを組み合わせた事前スクリーニングが、重症化リスク判定の精度を高めることが示された。研究は国立国際医療センター腎臓内科の寺川可那子氏、片桐大輔氏らによるもので、詳細は9月11日付けで「PLOS One」に掲載された。  世界保健機関(WHO)が2020年3月にCOVID-19のパンデミックを宣言して以来、ウイルスは世界中に広がり、変異株も多数出現した。現在はオミクロン株の亜系統が主流となっており、症状は多くが軽症にとどまる一方、一部の患者は酸素投与や入院を必要とし、死亡する例も報告されている。そのため、感染初期の段階で重症化リスクを予測する方法の確立が求められている。

手術・TEER非適応の僧帽弁逆流症、経カテーテル僧帽弁置換術が有効/Lancet

 米国・Mayo Clinic College of Medicine and ScienceのMayra E. Guerrero氏らENCIRCLE Trial Executive Committee and Study Investigatorsは、国際的なpivotal試験「ENCIRCLE試験」において、外科手術および経カテーテル的edge-to-edge修復術(TEER)の適応とならない僧帽弁逆流症患者では、SAPIEN M3システム(Edwards Lifesciences製)を用いた新規の経皮・経中隔的なカテーテル僧帽弁置換術(TMVR)により、僧帽弁逆流が効果的に軽減し、合併症や死亡の割合も低下することを示した。Lancet誌オンライン版2025年10月27日号掲載の報告。  ENCIRCLE試験は、6ヵ国(米国、カナダ、英国、オランダ、イスラエル、オーストラリア)の56施設で実施した前向き単群試験であり、2020年6月~2023年10月に、外科手術およびTEERが適応でない、症候性の中等度~重度、または重度の僧帽弁逆流症の成人(年齢18歳以上)患者を登録した(Edwards Lifesciencesの助成を受けた)。

がん研有明病院、病床数を削減し、外来機能を拡充

 公益財団法人がん研究会 有明病院(東京都江東区、病床数644床)は、「病院機能・フロア見直しプロジェクト」の第1弾として、5階西病棟の42床を閉鎖し、外来治療センターを移転・拡充した。2025年9月に新センターが稼働を開始し、10月20日には報道向け説明会・見学会が行われた。  説明会では渡邊 雅之副院長が登壇し、プロジェクトの背景を説明した。「診療報酬の伸び悩み、人件費・薬剤費の上昇などにより、2024年度は4分の3の病院が医業利益で赤字となっている。当院においてもコロナ禍から順調に収支を回復してきたものの、ここ数年の人件費、薬剤・材料費の高騰が大きく響き、2025年度は赤字の見込みとなっている」とした。

摂食障害を誘発する9つの薬剤を特定

 摂食障害の誘発因子としての薬剤の影響は、心理社会的影響に比べ、十分に認識されていないのが現状である。中国・南昌大学のLiyun Zheng氏らは、米国食品医薬品局の有害事象報告システム(FAERS)データベースを用いて、摂食障害と関連する可能性のある薬剤を特定するため、本研究を実施した。Eating Behaviors誌オンライン版2025年9月13日号の報告。  2004年1月~2024年12月にFAERSに報告された摂食障害に関連するデータを抽出した。不均衡なシグナルを検出するために報告オッズ比(ROR)を算出し、多重比較の調整にはフィッシャーの正確確率検定とボンフェローニ補正を適用した。

朝食とメタボ各要素の関連~メタ解析

 朝食を食べない人では、食べる人と比べてメタボリックシンドローム(MetS)、腹部肥満、高血圧症、高脂血症、高血糖のリスクが有意に高いことが、中国・Ningxia Medical UniversityのBowen Yang氏らによって報告された。Nutrients誌2025年10月3日号掲載の報告。  これまで多くの研究で特定の食品や食習慣とMetSとの関連が検討されてきたが、朝食など食事頻度に関するエビデンスは一貫していなかった。そこで研究グループは、一般集団を対象に、朝食を食べない人と食べる人との間でMetSおよびその構成要素(腹部肥満、高血圧症、高脂血症、高血糖など)の発生・有病リスクを比較するシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。

緑内障リスクがある患者の特定でAIが人間を上回る

 人工知能(AI)は、医師が緑内障のスクリーニングをより広く実施できるようにする手助けとなるかもしれない。新たな研究で、機械学習のアルゴリズムは、訓練された人間の評価者よりも緑内障のリスクがある患者を正確に特定できることが示された。英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン眼科学研究所教授のAnthony Khawaja氏らによるこの研究結果は、米国眼科学会議(AAO 2025、10月18〜20日、米オーランド)で発表された。  緑内障は、視神経の乳頭が障害を受けて視野に欠損(盲点の拡大)が生じ、最終的には失明に至る疾患で、多くの場合、眼圧の上昇が原因となる。緑内障は通常、眼圧を下げる点眼薬で治療されるが、手術が必要になることもある。

隠れ肥満は心筋梗塞や脳卒中リスクを高める

 たとえ健康的な体重であっても、腹部や肝臓の奥深くに脂肪が蓄積すると、脳卒中や心筋梗塞のリスクが静かに高まる可能性があるようだ。内臓脂肪(visceral adipose tissue;VAT)と、VATほどではないが肝脂肪(hepatic fat;HF)は、頸動脈のアテローム性硬化リスクを高める可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。マクマスター大学(カナダ)保健科学部のSonia Anand氏らによるこの研究結果は、「Communications Medicine」に10月17日掲載された。  BMIが正常範囲内の人でも、このような隠れ肥満である可能性はある。Anand氏は、「見た目だけで必ずしもVATまたはHFの有無を判断できるわけではない」とマクマスター大学のニュースリリースの中で述べている。同氏は、「VATやHFは代謝的に活発で危険だ。太り気味でないことが明らかな人でも、この種の脂肪は炎症や動脈損傷と関連している。だからこそ、肥満と心血管リスクの評価方法を見直すことが非常に重要なのだ」と付け加えている。

都市と地方で違う?高齢者の健康に影響する「歩きやすさ」

 「歩きやすい街」は高齢者に優しいのか?今回、日本全国の高齢者を対象にした調査で、都市と地方でその効果に違いがあることが分かった。地域の歩きやすさ(ウォーカビリティ)は都市部では歩行の増加に寄与する一方、地方部ではウォーカビリティが必ずしも健康にプラスの影響を与えないことがあるという。研究は千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門の河口謙二郎氏らによるもので、詳細は9月21日付けで「Health & Place」に掲載された。  高齢化社会では、日常生活空間の環境が高齢者の健康や生活の質に大きな影響を与えることが注目されている。特にウォーカビリティは、歩道や交差点、施設へのアクセスなど複数の要素を含み、身体的活動や心理・社会的健康に関係するとされる。しかし、ウォーカビリティが都市・地方に与える影響の違いや、身体・心理・社会面から総合的に評価した研究は限られる。そうした背景を踏まえ、著者らは、日本の65歳以上の高齢者を対象に、ウォーカビリティと健康・生活関連アウトカムの長期的関連を都市・地方別に分析し、その包括的影響を明らかにすることを目的とした。

高リスク筋層非浸潤性膀胱がん、デュルバルマブ併用でDFS改善(POTOMAC)/Lancet

 BCG未治療の高リスク筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)患者において、BCG導入・維持療法+1年間のデュルバルマブ(抗PD-L1抗体)の併用は標準治療であるBCG導入・維持療法単独と比較して、無病生存期間(DFS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善をもたらし、安全性プロファイルは管理可能であることが、ドイツ・Charite Universitatsmedizin BerlinのMaria De Santis氏らPOTOMAC Investigatorsが行った第III相試験「POTOMAC試験」の結果で示された。研究の成果は、Lancet誌2025年11月8日号に掲載された。  POTOMAC試験は、日本を含む12ヵ国116施設で実施した非盲検無作為化試験であり、2018年6月~2020年10月に参加者の適格性を評価した(AstraZenecaの助成を受けた)。

抗肥満薬としての経口セマグルチド25mgの可能性(解説:住谷哲氏)

わが国で承認されている抗肥満薬には経口薬としてマジンドール(商品名:サノレックス)、注射薬としてセマグルチド(商品名:ウゴービ)およびチルゼパチド(商品名:ゼップバウンド)がある。しかしマジンドールはほとんど使用されていないので実際は2種類の注射薬しかないのが現状である。当然注射薬よりも経口薬のほうがより多くの患者に投与できるので、製薬会社としては抗肥満薬としての経口セマグルチドの承認を目指している。しかし経口セマグルチドの問題点はその吸収に個人差がかなりあることで、その結果として注射薬と比べて有効血中濃度にかなりのばらつきがあることが報告されている。

小細胞肺がん2次治療、タルラタマブの安全性(DeLLphi-304)/ESMO2025

 DLL3を標的とするBiTE製剤タルラタマブの小細胞肺がん(SCLC)2次治療DeLLphi-304試験における、有害事象(AE)の追加分析結果が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表された。 ・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験 ・対象:プラチナ製剤を含む化学療法±抗PD-1/PD-L1抗体薬による1次治療を受けたSCLC患者(無症候性の脳転移は治療歴を問わず許容) ・試験群(タルラタマブ群):タルラタマブ(1日目に1mg、8、15日目に10mgを点滴静注し、以降は2週間間隔で10mgを点滴静注) 254例 ・対照群(化学療法群):化学療法(トポテカン、アムルビシン、lurbinectedinのいずれか)※ 255例 ・評価項目: [主要評価項目]OS [主要な副次評価項目]PFS、患者報告アウトカム [副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など ※:日本はアムルビシン

心房細動患者における脳梗塞リスクを示すバイオマーカーを同定

 抗凝固療法を受けている心房細動(AF)患者においても、既知の脳梗塞リスクのバイオマーカーは脳梗塞リスクと正の関連を示し、そのうち2種類のバイオマーカーがAF患者の脳卒中発症の予測精度を改善する可能性があるとする2報の研究結果が、「Journal of Thrombosis and Haemostasis」に8月6日掲載された。  米バーモント大学のSamuel A.P. Short氏らは、抗凝固療法を受けているAF患者におけるバイオマーカーと脳梗塞リスクの関連を検討するために、登録時に45歳以上であった黒人および白人の成人3万239人を対象とし、前向きコホート研究を実施した。ベースライン時に、対象者の9種類のバイオマーカーが測定された。解析の結果、ワルファリンを内服していたAF患者713人のうち67人(9%)が、12年間の追跡期間中に初発の脳梗塞を発症していた。交絡因子を調整した後も、標準偏差1単位の上昇ごとに、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)、血液凝固第VIII因子、D-ダイマー、成長分化因子-15(GDF-15)は、いずれも新規脳卒中発症と正の関連を示した。ハザード比は、NT-proBNPで1.49(95%信頼区間1.11〜2.02)、GDF-15で1.28(同0.92〜1.77)であった。ただし、D-ダイマーとGDF-15の関連は、統計学的に有意とはならなかった。

友人に対する支援は高齢者のポジティブな気分を高める

 高齢者にとって、友情は最高の薬となるかもしれない。親しい友人を車で送ったり手伝ったりするなどの実際的な支援の提供は、高齢者のポジティブな気分を高める可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。一方で、感情的支援の提供の場合には性差が見られ、女性ではポジティブな気分に影響しなかったのに対し、男性ではポジティブな気分が低下する傾向が認められたという。米ミシガン大学調査研究センターのYee To Ng氏らによるこの研究結果は、「Research on Aging」に9月26日掲載された。