日本語でわかる最新の海外医学論文|page:218

医療者の燃え尽き、カギはトレーニングよりも看護師人数

新型コロナウイルス感染症流行下では、世界中で多くの医療者が燃え尽き症候群に直面し、多くの離職者が出た。そして、日本では2024年4月から医師の働き方改革がスタートし、時間外労働への規制が厳しくなる。この状況において、パンデミックの経験から学ぶべきことは何か。 米国ペンシルベニア大学のLinda H. Aiken氏らは、医師と看護師の健康状態と離職率を測定し、有害な転帰、患者の安全性、介入に対する好みと関連する実行可能な要因を特定することを目的とした調査を行った。

クリスマスケーキが健康増進に寄与?/BMJ

 デザートは、何世紀にもわたってクリスマスのお祝いで重要な役割を担っているが、中世イングランドのプディングがかなり健康的なものだったのに比べ、最近は不健康な食材を含むレシピが多くなり、死亡や疾病のリスクに関して懸念が示されている。米国・エモリー大学のJoshua D. Wallach氏らは、英国のテレビ料理番組「ブリティッシュ・ベイクオフ(The Great British Bake Off)」の、クリスマスデザートのレシピに使用されている食材の健康への影響を調査した。その結果、死亡や疾病のリスク増加と関連する食材よりも、むしろリスク減少と関連のある食材のほうが多いことが明らかになったという。BMJ誌2023年12月20日号クリスマス特集号「CHAMPAGNE PROBLEMS」掲載の報告。

妊娠中の大麻使用、有害な妊娠アウトカムが増加/JAMA

 妊娠期間中の継続的な大麻使用により、胎盤機能不全に関連する有害な妊娠アウトカムが増加し、とくに在胎不当過小児が多くなることが、米国・University of Utah HealthのTorri D. Metz氏らが実施した「NuMoM2b試験」の補助的解析で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年12月12日号に掲載された。  NuMoM2b試験は、米国の8つの医療センターで実施したコホート研究であり、2010~13年に参加者を募集し、今回の補助的解析は2020年6月~2023年4月に行った(米国国立薬物乱用研究所[NIDA]の助成を受けた)。

高齢者RSV感染における予防ワクチンの意義(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

2023年夏以降、急性呼吸器感染症として新型コロナに加え、季節性インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス(RSV:respiratory syncytial virus)の3種類のウイルス感染に注意すべき新時代に突入した。興味深い事実として、新型コロナが世界に播種した2020年度にはインフルエンザ、RSVの感染は低く抑えられていたが、2021年度以降、両ウイルス感染は2019年以前のレベルに戻りつつある。この場合、インフルエンザは11月~1月、RSVは7月~8月に感染ピークを呈した。本邦にあっては、RSVは主として幼児/小児の感染症として位置付けられており、ウイルス感染症の有意な危険因子である高齢者に対する配慮が不十分であった。

統合失調症の神経認知プロファイルに対するアリピプラゾールとオランザピンの有効性比較

 統合失調症は、重篤な神経認知障害を引き起こす疾患である。統合失調症に対する抗精神病薬治療は、精神病理および神経認知機能の改善をもたらすことが期待される。インド・Government Medical College and HospitalのSanya Sharma氏らは、統合失調症患者の神経認知プロファイルに対するアリピプラゾールとオランザピンの有効性を比較するため、プロスペクティブ介入比較研究を行った。その結果、アリピプラゾールとオランザピンは、神経認知プロファイルの改善に有効であり、それぞれ特定の領域に対してより有効であることが示唆された。Indian Journal of Psychiatry誌オンライン版2023年10月号の報告。

乳がん脳転移例、全脳照射前のBEEPで脳特異的PFS改善

 脳転移を有する乳がん患者において、ERBB2(HER2)サブタイプにかかわらず、ベバシズマブ+エトポシド+シスプラチン(BEEP)導入療法を行ってから放射線の全脳照射を行った場合、全脳照射のみの場合よりも脳特異的無増悪生存期間(PFS)が有意に改善したことを、国立台湾大学病院のTom Wei-Wu Chen氏らが明らかにした。JAMA Oncology誌オンライン版2023年12月21日号掲載の報告。  近年、乳がんに対する薬物療法は目覚ましい進歩を遂げており、術後再発や遠隔転移のコントロールが良好になっている。しかし、脳転移に奏効する薬剤は乏しく、治療の評価は確立していない。そこで研究グループは、BEEP導入療法を追加することで、全脳照射後の脳特異的PFSが改善するかどうかを検討するため、多施設共同無作為化非盲検試験を実施した。

コロナ外来患者への高用量フルボキサミン、症状期間を短縮せず/JAMA

 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者において、高用量フルボキサミン(100mgを1日2回投与)を12日間投与しても、プラセボと比較してCOVID-19症状期間を短縮しなかった。米国・バージニア大学のThomas G. Stewart氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照プラットフォーム試験「ACTIV(Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines)-6試験」の結果を報告した。JAMA誌2023年12月26日号掲載の報告。  ACTIV-6試験は、軽症~中等症のCOVID-19外来患者における既存治療転用を評価するようデザインされた分散型臨床試験である。

既往帝王切開、多面的介入で周産期合併症が減少/Lancet

 帝王切開分娩歴が1回の女性において、分娩方法の選択を支援しベストプラクティスを促進する多面的な介入により、帝王切開分娩や子宮破裂の発生率が増加することなく、主要な周産期合併症および妊産婦合併症の罹患率が有意に減少した。カナダ・ラヴァル大学のNils Chaillet氏らが、多施設共同クラスター無作為化非盲検比較試験「PRISMA試験」の結果を報告した。帝王切開分娩歴のある女性は、次の妊娠で難しい選択に直面し、再度帝王切開分娩を行うにしても経膣分娩を試みるにしても、いずれも母体および周産期合併症のリスクがあった。Lancet誌2024年1月6日号掲載の報告。

レボチロキシンの静注投与は不安定な脳死患者の心臓提供率を向上させるか?(解説:小野稔氏)

脳死による脳圧亢進が起こると、カテコラミンをはじめとしたさまざまなメディエータが放出されることが知られている。脳死後によく遭遇する不安定な血行動態や心機能の障害に甲状腺ホルモンを主体とした神経内分泌障害が寄与しているという理論があり、それを予防あるいは改善する目的で欧米では古くから経験的に脳死ドナーの前処置として甲状腺ホルモンが投与されてきた。補充療法の妥当性についてはいくつかの大規模な観察研究が行われ、有効性が示唆されてきた。しかし、無作為化試験は少数例を対象にドナーの血行動態を評価するに限られ、臓器利用率の向上を評価するには不十分であった。

デキサメタゾン製剤、アセタゾラミドなどに「重大な副作用」追加/厚労省

 厚生労働省は1月10日、アセタゾラミドやデキサメタゾン製剤などの添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。炭酸脱水酵素阻害薬のアセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウム(商品名:ダイアモックス)には重大な副作用として「急性呼吸窮迫症候群、肺水腫」が、デキサメタゾン製剤(経口剤および注射剤)や副腎皮質ホルモン製剤(経口剤および注射剤)のうちリンパ系腫瘍の効能を有する製剤には重大な副作用として「腫瘍崩壊症候群」が追加された。  急性呼吸窮迫症候群および肺水腫関連の症例を評価した結果、アセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウムと急性呼吸窮迫症候群および肺水腫との因果関係が否定できない症例(国内11例のうち9例、海外6例のうち4例。死亡例は国内3例、海外1例)が集積したため。

尿が黄色くなるメカニズムが明らかに

 尿中の黄色色素としてウロビリンが同定されているが、この発見から125年以上の間、ウロビリンの産生に関与する酵素は不明とされていた。しかし、米国・メリーランド大学のBrantley Hall氏らの研究グループが腸内細菌叢由来のビリルビン還元酵素(BilR)を同定し、この分子がビリルビンをウロビリノーゲンに還元し、ウロビリノーゲンが自然に分解されることで尿中の黄色色素ウロビリンが産生されることを明らかにした。また、BilRは健康成人ではほぼ全員に存在していたが、新生児・乳児や炎症性腸疾患(IBD)患者で欠損が多く認められた。本研究結果は、Nature Microbiology誌2024年1月3日号で報告された。

炎症性乳がんへのNAC、1ラインvs.2~3ラインで転帰の差は

 多くのStageIII炎症性乳がん患者は、第1選択治療として術前化学療法(NAC)を受け、十分な反応を示し手術可能となるが、追加のNACが必要となるケースもある。米国・ハーバード大学医学大学院のFaina Nakhlis氏らは、1ラインvs.2~3ラインのNACを受けた患者における臨床転帰を評価した。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2023年12月28日号への報告。  2施設において、1ラインまたは2~3ラインのNACを受けたStageIII炎症性乳がん患者が特定された。ホルモン受容体とHER2の状態、グレード、および病理学的完全奏効(pCR)が評価され、乳がんのない生存期間(BCFS)および全生存期間(OS)はKaplan-Meier法により評価された。多変数Coxモデルを用いてハザード比(HR)が推定された。

双極性障害患者の原因別死亡率と併存する神経発達障害

 双極性障害患者の早期死亡に関するこれまで研究は、サンプルサイズが小さいため、限界があった。台湾・長庚記念病院のWei-Min Cho氏らは、台湾の人口の約99%を対象に、双極性障害患者の早期死亡および併存する神経発達障害、重度の双極性障害との関係を調査した。その結果、精神科入院頻度の高い双極性障害患者は、自殺死亡リスクが最も高く、自閉スペクトラム症の併存は自然死や偶発的な死亡のリスク増加と関連していることが示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2023年12月6日号の報告。

緊急避妊薬、新年直後に販売数が増加/BMJ

 米国のドラッグストアや量販店で、レボノルゲストレル緊急避妊薬の販売数について調べたところ、新年の祝日後に顕著に増加することが、米国・テキサス工科大学のBrandon Wagner氏らが行った時系列分析で示された。そのほか、バレンタインデー、セントパトリックスデー、米国の独立記念日の後にも、新年の祝日後ほどではないが増加が認められたという。結果を踏まえて著者は、「新年の祝日後の緊急避妊薬の売上増加は、この時期が他の休日と比べて、無防備な膣性交のリスクが高いことを示唆している」と述べ、「行動リスクをターゲットとした性暴力を軽減するための予防戦略と、休日前後の避妊薬へのアクセスを改善することで、無防備な膣性交のリスクを制限できる可能性がある」とまとめている。BMJ誌2023年12月20日号クリスマス特集号「ANNUAL LEAVE」掲載の報告。

重症小児の全身酸素化、SpO2目標低めがアウトカム良好/Lancet

 小児集中治療室(PICU)に緊急入室し侵襲的換気療法を受ける小児において、制限的目標酸素投与(conservative oxygenation target)は、非制限的目標酸素投与(liberal oxygenation target)と比較して、30日時点の臓器支持期間または死亡について、良好なアウトカムを得られる可能性が、わずかではあるが有意に高いことが示された。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMark J. Peters氏らが、2,040例の小児を対象に行った多施設共同非盲検並行群間比較無作為化試験「Oxy-PICU試験」の結果を報告した。重症小児患者における最適な目標酸素投与量は明らかになっていない。非制限的酸素投与は広く行われているが、小児患者では害を与えるとされていた。結果を踏まえて著者は、「制限的な酸素飽和度目標値(SpO2:88~92%)を広く取り入れることは、PICUに入室する重症小児患者のアウトカム改善およびコスト削減に役立つだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年12月1日号掲載の報告。

teplizumabの登場で1型糖尿病治療は新たなステージへ(解説:住谷哲氏)

膵島関連自己抗体が陽性の1型糖尿病は正常耐糖能であるステージ1、耐糖能異常はあるが糖尿病を発症していないステージ2、そして糖尿病を発症してインスリン投与が必要となるステージ3に進行する。抗CD3抗体であるteplizumabはステージ2からステージ3への進行を抑制することから、8歳以上のステージ2の1型糖尿病患者への投与が2022年FDAで承認された。しかし、現実にはステージ2の1型糖尿病患者がすべて診断・管理されているわけではなく、臨床的に1型糖尿病を発症したステージ3の患者が多数を占めている。

大腸がん、FTD/TPI+ベバシズマブ隔週療法の臨床試験開始。がん領域初のプラグマティック試験で/愛知県がんセンター

 愛知県がんセンターは、大腸がんを対象としたトリフルリジン・チピラシル(FTD/TPI)・ベバシズマブ併用の従来法と隔週法を比較する無作為化第III相試験(PRABITAS試験)を開始した。  FTD/TP+ベバシズマブは大腸がんの標準治療として世界中で広く用いられている。従来の投与方法は5日間内服後2日間休薬を2回行い、その後2週間休薬する28日サイクルである。この投与法は、標準療法として用いられる一方、有害事象(白血球減少や好中球減少)が比較的多くみられるため、5日間内服後に9日間休薬する14日サイクル(隔週法)が提案されている。隔週法では、小規模臨床試験で副作用軽減が示されているが、その有効性と安全性について、十分に検証されているとはいえない。

効果的なFreeStyleリブレのスキャン回数が明らかに/京都医療センターほか

 糖尿病の血糖管理において、先進糖尿病デバイスとして持続血糖モニター(CGM)が活用されている。CGMには間歇スキャン式(isCGM)とリアルタイムCGMの2方式がある。間歇スキャン式では、上腕の後ろに装着されたセンサーをワイヤレスでスキャンすることでグルコース値が測定でき、リーダーやスマートフォンを使用する手軽さが魅力的だ。海外の先行研究では、スキャンの頻度が増すほど、HbA1cやTIR(time in range)などの血糖管理指標が改善すると報告されている。そのエビデンスに基づいて、これまでは「できるだけ多くスキャンするように」という指導がされてきたが、70~180mg/dLのTIR70%超を達成する最適なスキャン回数は明らかではなかった。

不眠症の診断治療に関する最新情報~欧州不眠症ガイドライン2023

 2017年以降の不眠症分野の進歩に伴い、欧州不眠症ガイドラインの更新が必要となった。ドイツ・フライブルク大学のDieter Riemann氏らは、改訂されたガイドラインのポイントについて、最新情報を報告した。Journal of Sleep Research誌2023年12月号の報告。  主なポイントは以下のとおり。 ・不眠症とその併存疾患の診断手順に関する推奨事項は、臨床面接(睡眠状態、病歴)、睡眠アンケートおよび睡眠日誌(身体検査、必要に応じ追加検査)【推奨度A】。 ・アクチグラフ検査は、不眠症の日常的な評価には推奨されないが【推奨度C】、鑑別診断には役立つ可能性がある【推奨度A】。 ・睡眠ポリグラフ検査は、他の睡眠障害(周期性四肢運動障害、睡眠関連呼吸障害など)が疑われる場合、治療抵抗性不眠症【推奨度A】およびその他の適応【推奨度B】を評価するために使用する必要がある。 ・不眠症に対する認知行動療法は、年齢を問わず成人(併存疾患を有する患者も含む)の慢性不眠症の第1選択治療として、対面またはデジタルにて実施されることが推奨される【推奨度A】。 ・不眠症に対する認知行動療法で十分な効果が得られない場合、薬理学的介入を検討する【推奨度A】。