日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1047

腹部大動脈瘤の血管内治療 vs. 非介入:動脈瘤関連死亡率は低下も全死因死亡率は同等

腹部大動脈瘤に対する血管内治療は、その技術開発意図だった「開腹手術が身体的に不適応な患者」に対しても長期的にはリスクを高め、コスト高の治療となっていることが、明らかになった。英国血管内治療(EVAR)試験研究グループの報告によるもので、NEJM誌2010年5月20日号(オンライン版2010年4月11日号)で発表された。開腹手術不適応な患者への血管内治療についてこれまで、介入によって死亡率が低下するかどうか非介入群との比較を行った試験データは、ほとんどなかった。

腹部大動脈瘤の血管内治療 vs. 開腹手術:長期転帰に有意差なし

腹部大動脈瘤に対する血管内治療 vs. 開腹手術の長期転帰を比較した大規模無作為化試験の結果、血管内治療の方が手術死亡率は低いが、長期全死亡率、動脈瘤関連死亡率は両群で有意差がないこと、長期的には血管内治療群の方がコスト高であることが明らかになった。英国血管内治療(EVAR)試験研究グループの報告によるもので、NEJM誌2010年5月20日号(オンライン版2010年4月11日号)で発表された。開腹手術は1951年以降、血管内治療は1986年以降行われるようになり、その後両群比較の30日手術死亡率の結果をエビデンスに血管内治療の有益性が支持されてきたが、長期転帰について比較を行った試験データはこれまで、ほとんどなかった。

外傷性脳障害後の1年間、患者の半分以上が大うつ病性障害を発症

外傷性脳障害を負った人の半数以上が、その後1年間に大うつ病性障害(MDD)を発症していることがわかった。なかでも、障害を負った時点やそれ以前にMDD歴のある人が、障害後の発症リスクが高かった。米国ワシントン大学リハビリテーション部門のCharles H. Bombardier氏らが、外傷性脳障害を負った500人超について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年5月19日号で発表した。

不安障害の治療、認知行動療法や薬物療法の柔軟な選択で寛解率など有意に改善

不安障害の治療について、認知行動療法や薬物療法、または両者の選択を可能にして柔軟に対応することで、1年後の治療反応率や寛解率は、従来の治療法に比べて有意に改善することがわかった。米国ワシントン大学精神科・行動科学部門のPeter Roy-Byrne氏らが、1,000人超の不安障害の患者を対象に行った無作為化対照試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2010年5月19日号で発表した。

【お知らせ】緩和ケア市民フォーラム「がんとともに生きる知恵と勇気」を6月19日に開催

来る6月19日(土)、東京国際フォーラム(ホールC)にて、第15回日本緩和医療学会学術大会 緩和ケア市民公開フォーラム「がんとともに生きる知恵と勇気」が開催されます。 ●開催趣旨 医療の現場では、医療の専門家(医師、看護師などの医療従事者)と患者や家族の間で持っている知識や情報の量・質ともに大きな違い、格差があり、コミュニケーションをとるうえでお互いの障壁になっています。具体的には専門用語の問題やコミュニケーション技術の問題が挙げられており、問題解決の努力が始まっています。しかし、医療従事者と患者や家族の間の障壁(ギャップ)はそれらにとどまりません。 このシンポジウムでは、まずそれぞれの立場と役割で感じているギャップについて述べていただき、つぎに、それぞれの立場を離れて「コミュニケーション・ギャップ」解決の糸口を探りたいと思います。多くの人ががんにかかり、3人に1人はがんで亡くなる時代にがんとともに生きる知恵と勇気を持ちたいと思います。 ●日時・場所 2010年6月19日(土)18:00~19:20 東京国際フォーラム「ホールC」 ●司会 志真 泰夫 先生 筑波メディカルセンター病院緩和医療科 内布 敦子 先生 兵庫県立大学看護学部 ●演者 上野 創 氏  朝日新聞記者 松本陽子 氏  NPO法人愛媛がんサポートおれんじの会 佐藤 温 氏  昭和大学付属病院腫瘍内科 高橋美賀子 氏 聖路加国際病院がん専門看護師 ●参加費は無料 ●問合せ 第15回日本緩和医療学会学術大会運営事務局 TEL:06-6350-7163 FAX:06-6350-7164 〒532-0003 大阪市淀川区宮原4-4-63 新大阪干代田ビル別館9階 株式会社エー・イー企画大阪オフィス内 e-mail kanwa2010@aeplan.co.jp ●詳細はこちらhttp://www.kanwacare.net/news/newsdetail.php?fl=php%2Fnews%2Ftxt%2Fnews1273134591_31369.txt

【お知らせ】特別授業「iのある医学教育=iMedicine」を6月11日に開催! 医療現場・医学教育にiPad,iPhoneはどのような可能性があるのか?

5月28日にiPadが日本でも発売され、大いに盛り上がりを見せておりますが、iPhone、iPadという新しいデバイスが医療現場や医学教育でどのような可能性を秘めているのか、様々な検討が行われています。こうしたなか、6月11日(金)に特別授業「iのある医学教育=iMedicine」が開催されます。ケアネットが進める新しい臨床研修の教育ツール「Resi-Share Pyramid」をはじめ、「i」の可能性についての講演が行われます。是非ご参加下さい。

「職業上の非行」を犯した医師の学生時代

英国で近年、Dr.ハロルド・シップマン事件やブリストル王立病院小児心臓外科事件など、メディアの関心と人々の懸念を高める医師の犯罪や事件が相次いでいることを背景に、学生時代のリスク因子を見いだすことを目的とした研究が、英国ノッティンガム医科大学Queen’s Medical Centre医学教育部門のJanet Yates氏らにより行われた。BMJ誌2010年5月15日号(オンライン版2010年4月27日号)掲載より。

インセンティブという“はしご”を外すと?

クリニカル・インディケーター(臨床評価指標)に対するインセンティブを外してしまうと、その指標の医療パフォーマンスは低下することが、英国NIHR School for Primary Care ResearchのHelen Lester氏らにより報告された。米国のHMO(健康維持機構)の一つ、カイザーパーマネントにおける、4つの指標をめぐる10年間の動向を分析した結果で、BMJ誌2010年5月15日号(オンライン版2010年5月11日号)で掲載されている。同氏は「医療政策担当者および臨床医は、この事実を認識しなければならない」としている。

成人の生存率、最高国、最低国はどこか?

2010年度の15~59歳の成人生存率が最も高い国は男性がアイスランド、女性はキプロスであることが、アメリカWashington大学のJulie Knoll Rajaratnam氏らによる解析で明らかとなった。成人の死亡は世界の医療における最優先課題であり、成人の死因はミレニアム開発目標5(MDG 5、2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の水準の4分の1にまで低下させる)およびMDG 6(HIV/エイズの蔓延を2015年までに食い止め、その後減少させる)の重要な構成要素である。しかし、成人の死亡率には政策的な関心がほとんど払われず、医療資源の配分やモニタリングの努力もなされていないという。Lancet誌2010年5月15日号(オンライン版2010年4月30日号)掲載の報告。

脳卒中に対するrt-PA静注、発症後3時間が過ぎても開始すべきか?

脳卒中発症後4.5時間までに遺伝子組み換え組織プラスミノーゲンアクチベーター(rt-PA)であるアルテプラーゼ(商品名:アクチバシン、グルトパ)静注投与を開始すれば臨床予後の改善が得られるが、それ以上治療開始が遅れるとリスクがベネフィットを上回ることが、イギリスGlasgow大学のKennedy R Lees氏らによるプール解析で示された。虚血性脳卒中発症後早期にrt-PAの静注投与を開始すれば予後の改善が得られるが、ベネフィットは時間の経過とともに低下することが報告されている。以前の個々の患者データの統合解析では、現在承認されている「発症後3時間以内」を超えても予後の改善効果が得られる可能性が示唆されているという。Lancet誌2010年5月15日号掲載の報告。

カルピス酸乳の摂取で記憶障害予防・記憶力向上効果を確認

カルピス株式会社 健康・機能性食品開発研究所は、Lactobacillius helveticus発酵乳の摂取が、「記憶障害の予防」と「記憶力の向上」に有用であることを、静岡県立大学 食品栄養科学部 横越英彦教授との共同研究で確認したと報告した。この研究結果を2010年5月22日の第64回日本栄養・食糧学会大会で発表したという。