日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1025

糖尿病有無別でみた低用量アスピリン服用と大出血リスクとの関連

アスピリン服用と大出血リスクとの関連について、人口ベースの大規模コホート研究の結果、アスピリン服用が胃腸や脳の大出血リスクと有意に関連することが示された。また、糖尿病患者と非糖尿病患者とで比較した結果、糖尿病の人は出血リスクが増大することが示されたが、アスピリン服用との独立した関連は認められなかったことが報告された。イタリア・Consorzio Mario Negri SudのGiorgia De Berardis氏らが、410万人のコホートについて行った試験で、JAMA誌2012年6月6日号で発表した。心血管イベント一次予防としての低用量アスピリン服用のベネフィットは、糖尿病有無による格差は比較的小さい。その差は出血リスクによって相殺されてしまう可能性があることから研究グループは、アスピリン服用と大出血リスクとの関連を糖尿病有無別で検討した。

電話によるうつ病の認知行動療法、対面療法よりも中断率は低いが……

大うつ病性障害に対する、電話による認知行動療法は、対面による同療法と比較して、治療アドヒアランスは改善されることが示された。一方で、両群18週治療後のフォローアップ6ヵ月時点の効果は同等であった。米国・ノースウエスタン大学のDavid C. Mohr氏らが、300人超について行った前向き無作為化比較試験の結果、報告したもので、JAMA誌2012年6月6日号で発表した。電話による認知行動療法の効果について、対面の場合との効果を比較した研究はほとんど行われていなかったという。

「症状出現」からの時間 と 「来院」からの時間。 臨床転帰に与える影響は?: CREDO-Kyoto

直接的経皮的冠動脈インターベンション(Primary PCI)は、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者の治療において中心的な役割を果たし、「症状出現」や「来院」からバルーン拡張までを短時間で行うことが米国や欧州のガイドラインで推奨されている。しかし、これまで、「来院」からの時間の短縮化に関しては、否定的な結果も報告されてきた。

CDR-SBとは軽度認知障害の診断・治療に有効な評価尺度

アルツハイマー型認知症(AD)の治療において早期の治療介入は有用であるが、早期診断を行う上で課題がある。Cedarbaum氏らは軽度ADや軽度認知障害 (MCI)の臨床試験に用いる評価尺度として臨床的認知症重症度判定尺度(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes:CDR-SB)が精神症状の測定に有用であるかをAlzheimer's Disease Neuroimaging Initiative (ADNI)のデータベースを使用し評価した。Alzheimers Dement誌オンライン版2012年5月31日掲載。

福島県南相馬市・大町病院から(7) 君死にたまう事なかれ

南相馬市大町病院佐藤 敏光2012年6月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 南相馬市大町病院の佐藤です。 入院患者数は59名となりました。6月から定床が70床から80床に増えました。全国から看護師さんたちが大町病院に来てくれるようになりました。遠くは大阪から来てくれた看護師さんもいて、関西弁?で明るい会話も聞かれるようになりました。

鍼灸の現状と問題(2) 保険外併用療養費の考察

 北海道鍼灸マッサージ柔整協同組合 理事 健保対策委員長NPO法人 全国鍼灸マッサージ協会 理事 広報/渉外局 健保推進担当渡邊 一哉 2012年6月15日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。  鍼灸が現状の健康保険法の87条、療養費の枠組みで健保の支払いが償還払いになって久しい。昭和の30年代には日本鍼灸師会が健保の推進を掲げて運動している事からそれ以前、戦後マッカーサーが鍼灸禁止の発令をしようと、日本の医療者と論議になっているのが昭和25年前後と思われる事から、それから数年で健康保険を使っての鍼灸が始まってる事になる。

DPP-4阻害薬か、基礎インスリンか? -メトホルミン難治性2型糖尿病-(Lancet 6月16日発表)

コロンビア ハベリアナ大学のPablo Aschner氏は、16日、メトホルミン血糖コントロール不十分で、インスリン投与経験のない2型糖尿病における追加併用薬は、DPP-4阻害薬(シタグリプチン)より持効型インスリン (インスリングラルギン)が効果の面で優れており、安全面でも大きな問題がないことをLancet誌に発表した。これは17ヵ国、96施設が参加して実施されたEASIE(Evaluation of Insulin Glargine versus Sitagliptin in Insulin-naive Patients)試験の結果。研究費提供元はサノフィ。

インスリングラルギンによる発がんリスクの増加は認められず

フランスのサノフィ社は11日、大規模な疫学プログラムの一環として、北欧諸国、南北カリフォルニアのカイザーパーマネンテ、およびノースカロライナ大学のそれぞれの独立した機関において行われた研究結果を発表した。ランタス(一般名:インスリングラルギン〔遺伝子組換え〕)による治療を受けている糖尿病患者は他のインスリン製剤による治療を受けている糖尿病患者に比べて発がんリスクの増加がみられないことがわかったという。このデータは、第72回米国糖尿病学会においても発表されている。日本国内には15日付でサノフィ・アベンティス株式会社が公表した。

高齢者の非小細胞肺がんに化学放射線療法は有益 日本臨床腫瘍研究グループ無作為化第III相試験の結果(JCOG0301)

化学放射線療法が、高齢者の局所進行非小細胞肺がんの全生存期間を改善するかは知られていない。Atagi氏らは、胸部放射線照射+低用量連日カルボプラチン併用療法が、放射線単独療法に比べ、高齢者の非小細胞肺がん患者の生存期間を延長するか評価している。結果の概要は昨年11月開催の第52回日本肺癌学会総会で発表されたが、その詳細がThe Lancet Oncology 2012年5月21日オンライン版に掲載された。

認知症患者の治療効果、物忘れクリニックvs.一般診療所

認知症患者の治療や介護の手配調整の有効性は、物忘れクリニックと一般診療所で差はないことが、オランダ・Radboud大学ナイメーヘン医療センターのEls J Meeuwsen氏らの検討で報告された。従来、物忘れクリニックは認知症の診断に重点を置いてきたが、特に抗認知症薬が臨床導入された1990年代以降、治療や介護手配への関与が急増している。しかし、物忘れクリニックによる認知症治療やフォローアップの有効性を直接的に示すエビデンスはない。英国は数年前、国による対認知症戦略を公表したが、集学的な物忘れ外来の全国的なネットワークの構築によってサービスやサポートへのアクセスのしやすさを提供することで、その目標を達成する意向だという。BMJ誌2012年6月2日号(オンライン版2012年5月15日号)掲載の報告。

心血管疾患リスク予測モデル、バイアスの影響が明らか

既存の心血管疾患リスク予測モデルは有用であり、これらモデルの直接比較はベネフィットをもたらすと考えられるが、比較試験の論文はアウトカムの選択バイアスや楽天主義バイアスの影響を受けていることが、ギリシャ・Ioannina大学のGeorge C M Siontis氏らの検討で示された。臨床での使用が推奨されている心血管疾患リスク予測モデルの中には、異なる集団やアウトカムに関して開発され、妥当性の検証が行われているものがある。最も一般的で広く普及しているリスクモデルでも、その識別、キャリブレーション、再分類に関する予測能はほとんど知られていないという。BMJ誌2012年6月2日号(オンライン版2012年5月24日号)掲載の報告。

貧困化と医療・介護

亀田総合病院小松 秀樹 2012年6月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 ●自己負担分が払えないので入院できない  2010年4月、私は、千葉県の房総半島南端の亀田総合病院に赴任した。以後、鴨川市の亀田総合病院と館山市の安房地域医療センターで診療を行っている。当地に来て、それまで勤務していた虎の門病院との違いに驚いたことがある。自己負担分のお金が用意できないので、入院できないという患者が珍しくないのである。

糖尿病予備群および早期糖尿病の患者を対象としたORIGINの結果を発表

フランスのサノフィ社は11日(現地時間)、ORIGIN試験(Outcome Reduction with Initial Glargine Intervention)の結果を報告し、ランタス(一般名:インスリングラルギン〔遺伝子組換え〕)は標準的治療に比べ、心血管系イベントの発生に対して統計的に悪影響を及ぼさないことを発表した。また同試験の結果より、インスリングラルギンは糖尿病予備群から2型糖尿病への進行を遅らせること、また同薬の投与と癌のリスク上昇との間に関連を認めないことが明らかにされた。サノフィ・アベンティスが14日に報告した。また試験結果は、第72回米国糖尿病学会において発表され、New England Journal of Medicine (NEJM)のオンライン版にも掲載された。

ベアメタルステント留置後の超遅発性ステント血栓症の原因は? :小倉記念病院

これまでベアメタルステント(BMS)留置後にvery late stent thrombosis(VLST)が発生する病態生理学的なメカニズムは明らかになっていなかった。小倉記念病院の山地氏らは、明らかなステント血栓症を有するBMS留置102例の解析により、留置後3年超のVLSTの原因として、ステント内新アテローム性動脈硬化の破裂が、重要な役割を果たしている可能性があることをCirc Cardiovasc Interv誌2012年2月号にて報告した。

統合失調症の病態にメラトニンが関与?!

統合失調症におけるメラトニンの関与はこれまであまり議論されていない。Anderson氏らはメラトニンと統合失調症の罹患、神経免疫や酸化性病態生理、睡眠障害を含む特異的な症状、サーカディアンリズム、遅発性ジスキネジアやメタボリックシンドロームを含む抗精神病薬の副作用との関係をレビューした。Metab Brain Dis誌2012年6月号掲載(オンライン版2012年4月25日号)。

亜鉛追加、乳児の重症細菌感染症に有効

重症細菌感染症が疑われる生後7~120日の乳児に対し、標準抗菌薬治療の補助療法として亜鉛を追加投与すると、治療不成功リスクが低減する可能性があることが、全インド医科学研究所(AIIMS)のShinjini Bhatnagar氏らの検討で明らかとなった。重症細菌感染症は開発途上国の乳児期早期の主要な死因である。標準的な抗菌薬治療に安価で入手しやすい介入法を追加することで、乳児死亡率の抑制が可能と考えられている。Lancet誌2012年6月2日号(オンライン版2012年3月31日号)掲載の報告。

頸動脈内膜中膜厚の年間増加率、心血管リスクを反映せず

頸動脈内膜中膜厚(cIMT)の年間増加率は一般人口の心血管リスクとは相関せず、臨床試験の代替指標としては使用できないことが、ドイツ・J W Goethe大学病院(フランクフルト)のMatthias W Lorenz氏らが実施したPROG-IMT試験で示された。cIMTは、早期のアテローム性動脈硬化の非侵襲的超音波検査の生物マーカーであり、一般集団において心血管イベントのリスクと正の相関を示す。すでに多くの臨床試験が、一般集団やリスク集団にみられるcIMTの変化は心血管イベントの発生リスクを反映するとの暗黙の前提の下で行われ、通常cIMTの年間増加率を指標に用いるが、これらの関連を検証した報告はほとんどないという。Lancet誌2012年6月2日号(オンライン版4月27日号)掲載の報告。

福島での意味

南相馬市立総合病院神経内科 小鷹 昌明 2012年6月13日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。  「MRICの記事を読みましたが、本当のご意見をお聞かせください」ということで、数回程度インタビューを受けた。それらは、医療系ジャーナリストやテレビ局ディレクター、写真家、新聞記者、難病患者支援団体、あるいは個人的な研究目的でやってきた人たちであった。