日本語でわかる最新の海外医学論文|page:599

急性期統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの代謝パラメータや体重増加への影響

 米国・フロリダ・アトランティック大学のJohn W. Newcomer氏らは、ブレクスピプラゾールの主要な2つの第III相試験と長期試験のデータより、成人の統合失調症患者における、代謝パラメータおよび体重に対するブレクスピプラゾールの影響について、患者のサブグループを含めて検討を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2018年7月9日号の報告。

50歳以上の帯状疱疹はワクチンで予防

 2018年7月19日から3日間、都内で日本ペインクリニック学会 第52回大会「あなたの想いが未来のペインクリニックを創る-専門性と多様性への挑戦-」が開催された。本稿では、7月20日のシンポジウム「帯状疱疹関連痛の治療、予防の未来を考える」から、木村 嘉之氏(獨協医科大学 麻酔科学講座 准教授)が発表した「帯状疱疹関連痛の疫学と予防」について、概要を紹介する。

血中ビタミンD濃度の低下で近視リスクが増加

 中国・香港中文大学のShu Min Tang氏らは、血中ビタミンD(25-ヒドロキシビタミンD:25(OH)D)濃度およびビタミンDパスウェイの遺伝子と、近視との関連についてシステマティックレビューとメタ解析を行い、血中25(OH)Dが低濃度の場合は近視のリスク増加と関連することを明らかにした。著者は、近視がビタミンDパスウェイの遺伝子と関連が認められなかったことから、「野外活動の代用としてビタミンDを利用するには遺伝子学上の関連が乏しい」とまとめている。British Journal of Ophthalmology誌オンライン版2018年7月17日号掲載の報告。

遺伝性血管性浮腫の発作予防、新規血漿カリクレイン阻害薬が有望/NEJM

 開発中の経口血漿カリクレイン阻害薬BCX7353は、プラセボに比べて遺伝性血管性浮腫の発作の発生率が低く、良好な予防効果を発揮することが、ドイツ・フランクフルト大学のEmel Aygoren-Pursun氏らが行ったAPeX-1試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年7月26日号に掲載された。遺伝性血管性浮腫は、生命を脅かす疾患であり、カリクレイン-ブラジキニンカスケードの過剰な活性化をもたらすC1インヒビター(C1エステラーゼインヒビターとも呼ばれる)をコードする遺伝子変異により発症する。BCX7353は、血漿カリクレインの強力な経口小分子阻害薬で、血管性浮腫の発作の予防に有効な可能性を示す薬物動態および薬力学プロファイルを有するという。

HIV関連結核の予後改善に、尿スクリーニング検査は有効か/Lancet

 HIV関連結核の診断は不十分であり、見逃しは院内死亡率を高めるという。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のAnkur Gupta-Wright氏らは、アフリカのHIV陽性入院患者において結核の迅速尿スクリーニング検査の有効性を検討し、全体の死亡率は抑制されないが、高リスク例ではベネフィットが得られる可能性があることを示した(STAMP試験)。研究の成果は、Lancet誌2018年7月28日号に掲載された。結核は、世界的にHIV患者の主要な死因であり、2016年には37万4,000例が死亡したと推定されている。HIV陽性入院患者では、結核の尿検査は診断率が良好であることが示唆されている。

高齢心房細動症例で心臓外科手術が行われる場合、外科的左心耳閉鎖術は有効か否か?(解説:今井靖氏)-896

心房細動患者において血栓塞栓症の発症リスクは約5倍と見積もられており、その塞栓症予防としてワルファリンが唯一の治療選択であったところに経口直接抗凝固薬(DOAC)が加わった。しかしながら抗凝固薬投与は出血傾向を生じるという負の側面があり、その点において主な塞栓源となる左心耳を閉塞することで抗凝固薬に並ぶ、あるいは抗凝固療法との併用効果について期待されるところである。

アスリートにおけるADHDに関連する神経認知障害のシステマティックレビュー

 注意欠如・多動症(ADHD)は一般的に小児の疾患であるが、若年成人においても頻繁に診断される。最近の研究では、ADHDと脳震盪との関連が示唆されている。米国・ワシントン大学のPoyrung Poysophon氏らは、ADHDを有するアスリートにおいて、脳震盪リスク、症状の報告、回復に関連する神経認知障害のリスクが高いかどうかについて、システマティックレビューを行った。Sports Health誌2018年7、8月号の報告。

日本紅斑熱とツツガムシ病、知っておきたい臨床・疫学的特徴

 日本紅斑熱とツツガムシ病は、ともにダニが媒介する感染症で、日本を含むアジアの特定の地域でみられる。治療が遅れると重症化し、死亡することもあるため早期の診断が重要だが、両者の臨床的・疫学的特徴とその違いについて正確なことは明らかになっていなかった。長崎大学熱帯医学研究所/亀田総合病院の山藤 栄一郎氏らは、この2つのリケッチア症が同時に流行している、世界的にもまれな地域の1つである千葉県南房総で、2004~15年の間に3つの医療機関を受診した患者のデータを分析した。Emerging Infectious Diseases誌2018年9月号掲載の報告。

高齢高血圧患者での起立性低血圧と認知症リスク

 起立性低血圧(OH)が認知症発症リスク増加と関連することが系統的レビューで示唆されたが、最も高リスクの超高齢高血圧患者ではデータが限られている。今回、オーストラリア・Neuroscience Research AustraliaのRuth Peters氏らが80歳以上の高血圧患者において調査した結果、OHは認知症や認知機能低下リスク増加と関連することが示された。European heart journal誌オンライン版2018年7月24日号に掲載。

都市部救急搬送中の出血性ショックの外傷患者、血漿輸血は有効か/Lancet

 出血性ショックの外傷患者を、都市部のレベル1外傷センターへ救急車で搬送中、病院到着前に血漿輸血を行っても生命予後は改善しなかった。米国・コロラド大学デンバー校のHunter B. Moore氏らが、救急車で搬送中の血漿輸血の有用性を検証したプラグマティック無作為化試験「COMBAT(Control of Major Bleeding After Trauma Trial)試験」の結果を報告した。血漿は外傷後の止血重視輸血法(haemostatic resuscitation)に不可欠であるが、投与のタイミングについては議論が続いていた。著者は、「血液製剤は、搬送時間が長くかかるような環境においては有益かもしれないが、外傷センターまでの距離が短い都市部においては経済的負担を考慮すると妥当とはいえないだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2018年7月19日号掲載の報告。

救急ヘリ搬送中の出血性ショックの外傷患者、血漿輸血は有効か/NEJM

 外傷による出血性ショックのリスクがある患者に対し、病院到着前に解凍した血漿輸血をすることで標準蘇生処置と比較し、安全性の問題を伴うことなく病院到着時のプロトロンビン時間比が改善し、30日死亡率も低下した。米国・ピッツバーグ大学医療センターのJason L. Sperry氏らが、救急搬送中の解凍血漿輸血の有効性と安全性を検証した第III相優越性試験「PAMPer(Prehospital Air Medical Plasma)試験」の結果を報告した。外傷患者では、病院到着前に標準的な蘇生処置に加え血漿を輸血することで、出血やショックによる合併症リスクを軽減できる可能性がある。しかし、これまで大規模臨床試験による検討は行われていなかった。NEJM誌2018年7月26日号掲載の報告。

brigatinib、ALK肺がん1次治療でPFSを有意に改善(ALTA-1L)/武田薬品工業

 武田薬品工業は2018年7月26日、ALK阻害薬未治療の局所進行または転移のあるALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象としたグローバル無作為化臨床第III相試験ALTA-1L(ALK in Lung Cancer Trial of AP26113 in 1st Line)の事前に設定された初回の中間解析において、brigatinib群がクリゾチニブ群と比較して統計学的に有意に無増悪生存期間(PFS)を改善し、主要評価項目を達成したと発表。brigatinibの安全性プロファイルは、全般的に既存の添付文書に記載されている情報と差はなかったとしている。

抗うつ薬治療が心血管イベントの長期的リスクを軽減/JAMA

 うつ病は急性冠症候群(ACS)の不良な転帰と関連しているが、抗うつ薬治療が長期的予後に良好な影響を及ぼすことが、韓国・全南大学校のJae-Min Kim氏らによる無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、示された。うつ病でACSを呈した患者において、24週間のエスシタロプラム治療を行った患者群ではプラセボ群と比べて、追跡期間中央値8.1年後のMACE発生リスクが有意に低かったという。これまで、抗うつ薬治療の長期的予後への影響について、ほとんどデータはなかったという。JAMA誌2018年7月24日号掲載の報告。

全身性エリテマトーデスに新たな経口薬登場か/Lancet

 標準治療ではコントロール不十分な全身性エリテマトーデス(SLE)の患者において、経口選択的JAK1/JAK2阻害薬であるバリシチニブ4mg投与は、徴候や症状を有意に改善したことが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のDaniel J. Wallace氏らによる第II相プラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果で、Lancet誌2018年7月21日号で報告している。安全性は、従来のバリシチニブ試験でみられたものと一致していた。現状ではSLE患者の医療的ニーズを十分に満たす治療法はない。著者は、「今回の結果は、SLEの経口治療薬として、JAK1/JAK2阻害薬バリシチニブの可能性について第III相試験の実施を支持するものであった」とまとめている。

新規糖尿病治療薬imeglimin、日本での第III相試験の患者登録完了

 代謝性疾患の革新的な治療薬の研究開発に取り組んでいるフランスのバイオ医薬品企業POXEL SA(以下Poxel社)は、開発中の2型糖尿病治療薬imegliminの日本における第III相試験であるTIMES 1試験の患者登録が2018年7月3日に完了したことを発表した。本剤に関して、今年6月の第78回米国糖尿病学会(ADA)のサイエンスセッションで、前臨床モデルにおけるimeglimin独自の作用機序に関連した新規知見が発表されている。

日本の心房細動患者に多い死亡原因

 わが国のコミュニティベースの心房細動(AF)コホートである伏見AFレジストリにおいて死因を調べたところ、悪性腫瘍や感染症などの非心血管死が全死亡の半分以上を占めていた。また、死亡に関連する臨床的因子をみると、心血管死では脳卒中より心不全に主に関連していたことを、国立病院機構京都医療センターの安 珍守氏らが報告した。European heart journal/Quality of care & clinical outcomes誌オンライン版2018年7月18日号に掲載。

初回エピソード統合失調症患者におけるアリピプラゾールとリスペリドンの抗炎症効果の比較

 抗精神病薬の抗炎症作用に関するエビデンスが増加している。しかし、リスペリドンとアリピプラゾールの免疫調整効果を比較した研究は、これまでに報告されていない。スペイン・カンタブリア大学のMaria Juncal-Ruiz氏らは、治療3ヵ月後の血清サイトカインの大規模アレイについて、リスペリドンとアリピプラゾールの抗炎症効果の比較を行った。Schizophrenia research誌オンライン版2018年6月22日号の報告。

アスピリンの効果、用量や体重で大きな差/Lancet

 アスピリンの血管イベントやがんの抑制効果には、用量や患者の体重によって大きな差があり、良好な効果を得るには、より個別化された治療戦略を要することが、英国・オックスフォード大学のPeter M. Rothwell氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年7月12日号に掲載された。全例に同一用量を一律に投与するone-dose-fits-allアプローチでは、アスピリンの長期的な心血管イベントの予防効果はわずかであり、標準的な用量は体が大きい患者には過少で、小さい患者には過剰であることが報告され、他のアウトカムについても同様である可能性が示唆されている。

ニボルマブ・イピリムマブ併用、MSI-H/dMMR大腸がんに迅速承認/BMS

 Bristol-Myers Squibb社は、2018年7月11日、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)3mg/kgとイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)1mg/kgの併用療法が、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンによる治療後に病勢進行したMSI-HまたはdMMRの転移を有する大腸がん(mCRC)患者(成人および12歳以上の小児)の治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表。