日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1138

2型糖尿病の強化血糖コントロールのベネフィットは10年間持続:UKPDS

英国糖尿病前向き研究(UKPDS)では、試験期間中に登録患者を従来の食事療法群と強化血糖療法群に割り付けた結果、強化療法群のほうが血糖値は改善されることが示された。この効果と差異が試験終了後も維持されるかどうか、長期間追跡調査し検証していたオックスフォード大学チャーチル病院の糖尿病研究班Rury R. Holman氏らは「血糖値の差異は1年で消失する。しかし微小血管のリスク低下は10年後も継続しており、心筋梗塞と全死因死亡のリスク低下をもたらしている」と報告した。NEJM誌2008年10月9日号(オンライン版2008年9月10日号)より。

2型糖尿病の血圧コントロールによるベネフィットは試験後2年で消失:UKPDS

英国糖尿病前向き研究(UKPDS)では、試験期間中に登録患者を厳格な血圧コントロールと緩やかな血圧コントロールに割り付けた結果、厳格コントロール群では合併症リスクが有意に低下することが示された。この差異が試験終了後も維持されるかどうか、登録患者を長期間追跡調査し検証していたオックスフォード大学チャーチル病院の糖尿病研究班Rury R. Holman氏らは「早期の血圧コントロール改善は、合併症のリスク低下をもたらすが、血圧コントロールをやめてから2年以内でそのベネフィットは消失していた」と報告した。NEJM誌2008年10月9日号(オンライン版2008年9月10日号)より。

適切な終末期の説明が患者と介護者のQOLを改善

患者と、死について話すのは難しいことだが、終末期に関して適切な説明を行えば、死の直前までの積極的治療を減らし、より早期のホスピス照会につながること。ホスピス滞在期間が長いほど、患者および介護者のQOLは良好であったとする、米国ボストンのダナ・ファーバー癌研究所のAlexi A. Wright氏らによる報告が、JAMA誌2008年10月8日号に掲載された。

下肢深部静脈血栓症検出は簡便な2ポイント超音波検査でも十分

 下肢深部静脈血栓症(DVT)が疑われる患者は通常、近位静脈超音波検査(2ポイント)か、全深部静脈システムのカラードップラー超音波検査(下肢全体)で評価されるが、イタリア・Conegliano市民病院のEnrico Bernardi氏らは「両者の診断能は変わらない」と報告した。JAMA誌2008年10月8日号より。  前者の診断法は簡便だが、後者は熟練したオペレーターが必要なため、主に就業時間内しか利用できない。しかしこれまで、両検査法の診断能を評価したエビデンスはなかった。本研究は、下肢DVT発現の疑いありと診断された外来患者2,465例を対象とした、前向き無作為多施設共同試験で、データは2003年1月1日から2006年12月21日にかけて、イタリア国内の14ヵ所の大学、私立病院の超音波検査室で集められた。患者は、2007年3月20日の検査完了まで3ヵ月間追跡され、初回診断から症候性静脈血栓塞栓症の発生率を主要評価項目とした。

ジェノトロピンに日本初のSGA性低身長症に対する効能が追加承認取得

 ファイザー株式会社は10月16日、ジェノトロピン5.3mg、ジェノトロピン注射用12mg、ジェノトロピンミニクイック皮下注用0.6mg、1.0mg、1.4mg(一般名:ソマトロピン)の、骨端線閉鎖を伴わないSGA(Small-for-Gestational Age:子宮内発育遅延)性低身長症に対する効能追加の承認を取得したと発表した。

日本の喘息治療に新たな期待? ブデソニド/ホルモテロール配合剤の日本人患者における試験結果が発表される

アストラゼネカ株式会社は10月14日、ドイツのベルリンにて4日~8日(現地時間)に開催された第18回欧州呼吸器学会(ERS)で、日本人の成人気管支喘息患者におけるブデソニド/ホルモテロール配合剤の有効性、安全性をブデソニドとテオフィリン徐放製剤の併用治療と比較した第III相比較試験結果、ならびに、日本人の成人気管支喘息患者におけるブデソニド/ホルモテロール配合剤の長期投与における安全性、有効性を検討した試験結果が報告されたと発表した。

2型糖尿病治療薬SYR-322 FDAの審査終了日延期

武田薬品工業株式会社の100%子会社である武田グローバル研究開発センター株式会社(以下、TGRD社)は、2008年10月8日(米国時間)、米国食品医薬品局(FDA)より、販売許可申請中の2型糖尿病治療薬SYR-322 (一般名:alogliptin)の審査について、審査終了目標日である10月27日までに完了しないため、これを延期する旨の通知を受けたと発表した。

ロスバスタチンは慢性心不全にも有効か?:GISSI-HF試験

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)であるロスバスタチンは、慢性心不全において安全に投与可能であるが、臨床的な予後改善効果はないことが、イタリアで実施されたGISSI-HF試験で明らかとなった。スタチンは慢性心不全にも有効な可能性があることが、大規模な観察試験、小規模なプロスペクティブ試験および無作為化試験の事後解析で示されていたが、これらの試験は方法論的に弱点があったという。Lancet誌2008年10月4日号(オンライン版8月31日号)掲載の報告。

n-3多価不飽和脂肪酸は慢性心不全にベネフィットをもたらすか?:GISSI-HF試験

慢性心不全に対する標準治療へのn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)の追加投与は、簡便かつ安全に施行可能であり、中等度のベネフィットをもたらすことが、イタリアで実施されたGISSI-HF試験で実証された。n-3 PUFAは不整脈などのアテローム血栓性心血管疾患に対して良好な効果を発揮することが、いくつかの疫学研究および実験的な研究で示されていた。Lancet誌2008年10月4日号(オンライン版2008年8月31日号)掲載の報告。

持続血糖モニタリングは成人患者の血糖管理を改善

1型糖尿病の血糖管理のために簡便な持続血糖モニタリング装置が開発されている。強化治療を受けている患者にとっての装置の有効性を検証していた米国の若年性糖尿病研究基金・持続血糖モニタリング研究グループ(The Juvenile Diabetes Research Foundation Continuous Glucose Monitoring Study Group)のWilliam V. Tamborlane氏らは、「成人患者の血糖管理は改善されたが、小児や青年患者にも有効かどうかは、さらに研究が必要」と報告した。NEJM誌2008年10月2日号(オンライン版2008年9月8日号)より。

maravirocは治療歴のあるR5 HIV-1患者のウイルスを抑制

CCケモカイン受容体5(CCR5)拮抗剤のmaravirocは、新しい抗レトロウイルス薬である。既存の抗レトロウイルス薬による治療歴のある患者を対象とした、maravirocと至適療法を比較する多国間二重盲検プラセボ試験(第3相)「MOTIVATE 1」(カナダ、米国)「MOTIVATE 2」(オーストラリア、ヨーロッパ、米国)が行われ、参加した米国・Weill-Cornell Medical College(ニューヨーク市)のRoy M. Gulick氏らは、「maravirocはHIV-1ウイルスを有意に抑制し、T細胞を増やす」と報告した。NEJM誌2008年10月2日号より。

医薬品研究をめぐる新聞報道に問題あり、一因に記者の無知

ニュースメディアは、患者はもちろん医師にとっても、医薬品研究に関する重要な情報源となっている。しかしニュース記事では、その研究が製薬企業の資金提供を受けて行われたものかどうか、あるいは、記事の中で医薬品の一般名とブランド名が用いられる頻度がどれくらいなのか、すなわち医薬品研究にありがちなバイアスについて、これまで明らかにされていなかった。ハーバード大学医学部のMichael Hochman氏らの研究グループが、医薬品研究に関するニュース記事について、製薬企業による資金提供の有無に関する情報提供、医薬品の一般名使用の頻度を評価するとともに、これらの問題に対する新聞編集者の考え方を調査検討した。JAMA誌2008年10月1日より。

炭疽菌ワクチン接種は筋注のほうが有益

BioThraxは、現在、米国で唯一公認の炭疽菌ワクチン(AVA)であり皮下注4回接種が公認療法となっている。このワクチンについて米国議会は1999年、米国疾病管理センター(CDC)に対して安全性と有効性に関する調査を行うよう指示した。調査にあたったCDC炭疽菌ワクチン調査プログラム専門調査委員会は、「筋注のほうが安全性が高く、免疫獲得もすみやか」とする報告を寄せた。JAMA誌2008年10月1日号より。