日本語でわかる最新の海外医学論文|page:989

HPVワクチン接種を受けた少女、その後の性交渉に変化はみられるのか?

HPVワクチン接種を受けた少女と受けなかった少女について、その後3年間の性交渉に関連した受診動向について後ろ向きに比較した結果、接種群の複合アウトカムリスク(妊娠/性感染症の検査または診断、避妊カウンセリング)の増大は、認められなかったことが報告された。米国のHMOカイザーパーマネント南東部ヘルスリサーチセンターのBednarczyk RA氏らによる報告で、これまでHPVワクチン接種後の性交渉の変化について自己申告に基づくサーベイ調査はあったが、臨床的指標を用いた調査はこれが初めてだという。Pediatrics誌オンライン版2012年10月15日号の掲載報告。

仕事上でストレスを感じていると、冠動脈疾患を発症しやすいのか?

「仕事上でストレスを感じていると、冠動脈疾患を発症しやすいのでしょうか?」 このような患者さんからの質問にどのように回答するか? これまで職場でのストレスが冠動脈疾患の発症リスクを高めるかについては、出版バイアスや因果の逆転等によって異なる結果が発表されてきた。英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのKivimäki氏らはメタアナリシスの結果、仕事上のストレスを感じている人では冠動脈疾患の発症率が高くなることを明らかにした。Lancet誌2012年10月27日号の掲載報告。

抗うつ薬だけじゃない!うつ病寛解を目指す「共同ケア」の効果は?

 うつ病に対する共同ケア(collaborative care)の有効性について評価した結果、抑うつおよび不安アウトカムが、通常ケアと比べて改善することが、英国・マンチェスター大学のArcher氏らによるシステマティックレビューの結果より示された。著者は、「抑うつ・不安症状を呈する成人患者の臨床治療に有用であることが示された」と結論している。Cochrane Database Syst Rev2012年10月17日号の報告。

小学生の日焼け止め塗布量、中央値0.48mg/cm2で大人と同程度

オーストラリア・クイーンズランド工科大学公衆衛生校のDiaz A氏らは、小学生の日焼け止めの塗布量と年齢、および容器との関連についてクロスオーバー試験を行った。その結果、塗布量は製品推奨では2.00mg/cm2だが中央値0.48mg/cm2未満であり、ポンプ入りの日焼け止め利用者が最も厚塗りだったが、それでも1.00mg/cm2未満で大人と同程度であったことが明らかになった。Arch Dermatol誌2012年5月号の掲載報告。

妊娠17週未満の胎児心エコーの評価は?

アメリカのMoon-Grady氏らによって、胎児心エコー(FE)について、妊娠早期(17週未満)と妊娠中期(17~23週)の正確性について比較が実施された。妊娠17週未満の胎児心エコー図はカリフォルニア大学で入手し、5年以上にわたって後ろ向きに解析された。FEは解剖学的に細部が評価できるかどうか、カラーパルスドプラ評価が実証できるかどうかで検証された。J Am Soc Echocardiogr 誌オンライン版10月16日号掲載報告。

【ポール・ヤンセン賞受賞】夜間における抗精神病薬関連のQT延長リスク

 2012年10月18~20日に第22回日本臨床精神神経薬理学会・第42回日本神経精神薬理学会合同年会が宇都宮で開催された。同学会において、日本臨床精神神経薬理学会2012年ポール・ヤンセン賞が発表され、新潟大学 渡邉氏の「夜間における抗精神病薬に関連したQT間隔延長リスクの増加―24時間ホルター心電図記録を用いた研究から―」と、名古屋市立大学 渡辺氏の「うつ病に対するミルタザピンと他の抗うつ薬の比較―コクランレビュ―」が受賞した。今回は、新潟大学 渡邉氏らの報告を紹介する。

複数部位筋骨格痛の鑑別は主要な痛点をベースに

複数部位の筋骨格痛を訴えるケースは多いが、南デンマーク大学のHartvigsen J氏らはそれらの特異的パターンの定義を行った。その結果、「特異的パターンは、主要な痛点をベースに判定することが可能である。疼痛の主訴が脊椎にある人のほうが四肢にある人と比べて複数のパターンがみられる」ことを報告した。複数部位に起こる疼痛はネガティブな予後を予感させるが、これまで特異的な疼痛パターンに関する情報は十分ではなかった。

冠動脈疾患発症予防薬が、心房細動患者の死亡に与えるインパクトは?

心房細動が脳卒中のリスクであることは有名であるが、冠動脈疾患予防薬が心房細動患者に及ぼす影響については情報が限られていた。このたび、Wandell氏らは、冠動脈疾患予防薬が心房細動患者の全死亡に与える影響について解析した結果を発表した。Eur J Clin Pharmacol誌オンライン版2012年9月19日号掲載の報告。

過去20年で成人の血清脂質の傾向は良好に

 米国CDC・Carroll MD氏らは1988~2010年における米国成人の血清脂質の動向を調べ、「良好な傾向が認められた」と結論する報告を発表した。血清総コレステロール(TC)と低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)は、アテローム性動脈硬化症とその臨床アウトカムに寄与する。米国では1988~1994年と1999~2002年の間に、成人においてTCおよびLDL-Cの平均値が低下していた。背景には、同期間中に脂質低下薬治療を受けた成人の増加があったが、中性脂肪の相乗平均値は増加したが、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)の平均値は不変であったという。JAMA誌2012年10月17日号掲載報告より。

BRCA1/2突然変異キャリアの30歳以前の放射線検査は乳がんリスクを倍増

 BRCA1/2突然変異を有する女性の30歳前の放射線検査は、乳がんリスクを増大することが示された。オランダ・がん研究所のAnouk Pijpe氏らが、1,993例を対象とした後ろ向きコホート研究「GENE-RAD-RISK」の結果、報告した。リスクの増大は照射線量依存的で、その他の放射線曝露コホートで増大が認められた人よりも少ない照射線量でリスクの増大がみられたという。BMJ誌2012年10月13日号(オンライン版2012年9月6日号)掲載報告より。

抗てんかん薬の処方、小児神経科医はどう使っている?

スウェーデン ウプサラ大学のMattsson氏らは、てんかん児の社会人口統計学的背景(居住地など)と抗てんかん薬処方との関連について調査した。その結果、年齢や居住地による専門医療アクセスの不平等さや、小児神経科医とその他の専門医とでは抗てんかん薬の処方に違いがあることが明らかとなった。著者は「広範な医療圏がてんかん児の医療機関へのアクセスを妨げていることを示す重要な報告となった。小児神経科医の充実が専門的医療サービスへのアクセスにとって重要であるかどうかについて、データの獲得はできなかったものの、傾向を把握することができた」と指摘している。Epilepsia誌オンライン版2012年10月12日号の報告。

検証!デュロキセチンvs.他の抗うつ薬:システマティックレビュー

 大うつ病の急性治療について、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるデュロキセチンとその他の抗うつ薬との有効性、受容性、忍容性を比較するシステマティックレビューを、イタリア・ベロナ大学のCipriani氏らが行った。Cochrane Database Syst Rev2012年10月17日号の報告。

DES留置後のステント遠位部における血管内皮機能障害は、なぜ起こる?

現在、薬剤溶出性ステント(DES)は再狭窄率の低さから多くの患者さんに使用されている。しかし、DES留置後の遅発性ステント血栓症が問題であり、ステント留置遠位部に血管内皮機能障害が起こることが報告されていた。この点に関し、久留米大学の光武氏らは、DES留置後の遠位部における血管内皮機能障害は、新生内膜被覆不良と関係することを報告した(JACC Cardiovasc Interv誌 2012年9月号 掲載報告)。

5価ロタウイルスワクチンの有効性、1回接種88%、2回接種で94%に

5価ロタウイルスワクチン(RV5、商品名:ロタテック)について、3回接種を完了していなくても、ロタウイルス胃腸炎に対し有効性を示すことが報告された。米国・OptumInsight EpidemiologyのWang FT氏らが、3回接種を完了しなかった乳児を追跡した結果で、著者は「規定接種を完了しなかった場合のベネフィットを考えるうえで意義ある結果が得られた」と述べている。Pediatr Infect Dis J誌オンライン版2012年9月25日号の掲載報告。

IgMリウマトイド因子が>100/IUmLの人、10年絶対発症リスクは最高で32%

 血漿IgMリウマトイド因子が>100 IU/mLの人は、同値が<25 IU/mLの人と比べて、関節リウマチの長期発症リスクが26倍であること、10年絶対発症リスク最高値は32%であることが明らかにされた。関節リウマチは人口の0.5~2%に発症する自己免疫疾患だが、臨床利用可能な長期リスクのインジケーターはなかった。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のSune F Nielsen氏らが約1万人のコペンハーゲン住民を28年間追跡した前向きコホート研究の結果、明らかにした。BMJ誌2012年10月13日号(オンライン版2012年9月6日号)掲載報告より。

ボラパクサール、心筋梗塞既往例で上乗せ効果、出血リスクは増大

 心筋梗塞の既往歴のある患者の2次予防において、標準的な抗血栓療法にボラパクサール(国内未承認)を追加する治療アプローチは、心血管死や虚血性イベントのリスクを抑制する一方で、中等度~重度の出血のリスクを増大させることが、米国・ハーバード大学医学部ブリガム&ウィメンズ病院のBenjamin M Scirica氏らが行ったTRA 2°P-TIMI 50試験のサブグループ解析で示された。プロテアーゼ活性化受容体1(PAR-1)拮抗薬であるボラパクサールは、トロンビンによって誘導されるヒト血小板表面上のPAR-1の活性化に対し拮抗作用を発揮することで、血小板の活性化を阻害する新規の抗血小板薬。心筋梗塞の既往歴を有する安定期の患者の長期的な2次予防におけるボラパクサールの上乗せ効果は不明だという。Lancet誌2012年10月13日号(オンライン版2012年8月26日号)掲載の報告。

世界初!「WEB版」気分変動アンケート、その後の臨床に有益

WEBベースで行う気分変動調査(Mood Swings Questionnaire:MSQ)など自己診断双極性障害スクリーニングの尺度は、高い認容性を有し、良好なアウトカムに結びつくことが明らかにされた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のParker氏らが、WEB自己スクリーニング尺度の臨床への有用性を検討する公式では初となる試験の結果、報告した。Acta Psychiatr Scand誌オンライン版2012年10月5日号の掲載報告。

統合失調症患者の「自傷行為」に関連する予測因子

精神疾患患者の自殺予防は、日本のみならず世界各国で重要な課題となっている。英国 シェフィールド大学Pluck氏らは、統合失調症患者の自傷行為における臨床的および神経心理学的側面を人口統計学的に調査し、臨床的介入に最も関連する独立した予測因子の検証を行った。Eur Psychiatry誌オンライン版2012年10月9日号の報告。

歩行補助器具の使用は変形性膝関節症に影響を与えるか

高齢になると男女ともに歩行補助器具を使用する頻度が高く、使用開始の有意な理由は膝の痛みとバランスの問題であることが、米国・退役軍人医療センターのCarbone LD氏らによる「Health ABCスタディ」の前向きコホート研究から明らかとなった。本検討では、歩行補助器具と膝の痛みスコアあるいは膝関節腔狭小化の進行との間に一貫した関連は認められなかったが、著者はさらなる研究で、変形性膝関節症の進行と歩行補助器具使用との関連について調べる必要があると述べている。Arch Phys Med Rehabil誌オンライン版2012年10月4日号の掲載報告。