日本語でわかる最新の海外医学論文|page:927

尿道カテーテル抜去時の抗菌薬予防的投与、短期入院患者ではベネフィットがある/BMJ

 入院患者の尿道カテーテル抜去時の抗菌薬予防的投与について、カテーテルを受けていた期間が短期の患者については同投与をしたほうがベネフィットがあることを、米国・ワシントン大学のJonas Marschall氏らがメタ解析の結果、報告した。著者は、「患者がベネフィットを受けるかを見極めて投与を行えば、抗菌薬予防的投与の不利益(副作用、コスト、耐性菌の発生)は軽減できうる」と述べている。BMJ誌オンライン版2013年6月11日号掲載の報告より。

小児がんサバイバー、成人後の転帰の実態が明らかに/JAMA

 小児がんを克服した成人は、慢性疾患の有病率が90%以上に上り、多くの未診断の問題を抱えており、その割合は高齢になるほど増加する傾向にあることが、米国・セントジュード小児研究病院のMelissa M. Hudson氏らの検討で明らかとなった。小児がんの既往歴のある成人は、がん治療関連の有害な転帰のリスクを抱えるとされる。これら小児がんサバイバーにおける成人後の全身的な慢性疾患の罹患状況に関して、包括的な調査はこれまで行われていなかったという。JAMA誌2013年6月12日号掲載の報告。

混合診療で人工膝関節全置換術の予後は変わるのか?

 シンガポールには、日本と似たような国民に公的医療の提供を保障する、強制加入と補助金で運営する国民皆保険制度がある。一方で、公立病院であっても、外科医の選択や個室など保険対象外のオプションを選択することも可能となっている。シンガポール総合病院のHamid Rahmatullah Bin Abd Razak氏らは、これまで同制度に関連した検討がなかった、人工膝関節全置換術(TKA)の予後に対する医療費補助の影響についてレトロスペクティブに検討した。Orthopedics誌2013年6月1日号の掲載報告。

【ご案内】ヘルスケアリーダーシップ研究会「IHL2013」説明会

 NPO法人 ヘルスケアリーダーシップ研究会(IHL)は、2013年7月20日(土)に、9月からスタートする第5期の説明会を開催する。IHLは、「ヘルスケアに関わる者として、自分の価値観(死生観・医療観)を持ち、強い意志のもと、人々の共感を得ながら、社会の変革と創造を推進することができるリーダーを輩出する」ことをミッションとしたNPO法人で、「セミナー活動」「研究会活動」「キャリア支援」の3つを活動の柱としている。

仕事のストレスの大きい人がうつになると低骨密度に!?

 職業性ストレスはうつ症状と関連し、うつ病は低骨密度に関連しているが、骨密度と職業性ストレスとの関連性は検討されていない。トゥルク大学(フィンランド)のM.Oikonen氏らが、フィンランドの若年成人において、骨密度、職業性ストレス、うつ症状との関係を検討した結果、職業性ストレスにより、うつ症状と骨密度との関連性が変化することが示唆された。著者らは、高い職業性ストレスのあるうつ状態の人は低骨密度のリスクが増加する可能性があるとしている。International Journal of Behavioral Medicine誌オンライン版2013年6月19日号に掲載。

陽性検出率は69%、爪真菌症のための迅速・正確な診断法MS-ELISAを開発

 ドイツ・シャリテ・ベルリン医科大学のF. Pankewitz氏らは、目標遺伝子とDNA抽出法を至適化し、迅速にT.rubrum(紅色白癬菌)爪真菌症を特定できる新たな診断法を開発した。爪真菌症の有病率は過去10年間で、着実に増加したという。爪真菌症では最初の正確な診断が治療の成功および費用対効果に重要だが、現状の診断法は、迅速なものではなく、感度、特異度も低いとして、著者らは新たなPCR酵素結合免疫吸着検査法(enzyme-linked immunosorbent assay:ELISA)を開発した。

新規抗精神病薬は患者にどう評価されているか?

 カナダ・ハンバーリバー病院(トロント)のA. George Awad氏らは、新規抗精神病薬が統合失調症の患者報告アウトカムに及ぼす影響について31件の論文を基にレビューを行った。その結果、大半の新規抗精神病薬について患者報告アウトカムにおける好影響が認められたものの、それらは傾向にすぎなかったことから、患者の主観的評価による結果を統一化されたコア(unifying core)として確立していく必要性を示唆した。CNS Drugsオンライン版2013年6月12日号の掲載報告。

予防的なマクロライド系抗菌薬の投与はCOPD増悪を抑制するのか?

 マクロライド系抗菌薬の予防的投与はCOPD増悪を抑制する有効なアプローチであることがマイアミ大学のElie Donath氏らにより報告された。Respiratory Medicine誌オンライン版2013年6月11日号の掲載報告。  マクロライド系抗菌薬は抗菌作用、抗ウイルス作用、抗炎症作用など、さまざまな特性を有しており、COPDの増悪抑制に対して独特な利点を有している。近年、マクロライド系抗菌薬の予防的投与がCOPD増悪のリスクを低減させるかに関する研究が注目を集めているが、これら最近の知見が先行研究の知見にどの程度当てはまるかについてはほとんどわかっていない。

炎症性バイオマーカー上昇、COPDの増悪リスク増大と関連/JAMA

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪の指標として、炎症性バイオマーカー(C反応性蛋白[CRP]、フィブリノゲン、白血球数)が有用な可能性があることが、デンマーク・コペンハーゲン大学病院のMette Thomsen氏らの検討で示された。COPDにおける呼吸器症状の増悪は、長期に持続する重篤な有害作用をもたらし、増悪が気道感染症の原因となることも多い。急性発作時は循環血中の急性期蛋白質や炎症細胞が増加するとの報告の一方で、安定期COPDでは全身性の炎症反応は低いものの炎症性バイオマーカーの上昇がみられる場合があるとのエビデンスや、炎症性バイオマーカーの上昇が不良な転帰と関連するとの研究結果もあるという。JAMA誌2013年6月12日号掲載の報告。

抗菌薬適正使用推進プログラム、広域抗菌薬の適応外使用を改善/JAMA

 小児プライマリ・ケア外来への抗菌薬適正使用推進プログラム(antimicrobial stewardship program)の導入により、細菌性急性気道感染症(ARTI)の診療ガイドライン遵守状況が改善されることが、米国・フィラデルフィア小児病院のJeffrey S. Gerber氏らの検討で示された。米国では小児に処方される薬剤の多くが抗菌薬で、そのほとんどが外来患者であり、約75%がARTIに対するものだという。ウイルス性ARTIへの抗菌薬の不必要な処方は減少しつつあるが、細菌性ARTIでは、とくに狭域抗菌薬が適応の感染症に対する広域抗菌薬の不適切な使用が多いとされる。JAMA誌2013年6月12日号掲載の報告。

SSRIは月経前症候群の治療に有用か?

 ニュージーランド・オークランド大学のJane Marjoribanks氏らは、月経前症候群(PMS)に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の有効性と安全性を評価するため、これまでに実施された臨床試験をもとにレビューを行った。その結果、SSRIは服用方法にかかわらずPMSの症状軽減に有効であるが、用量依存的に有害事象が比較的高頻度に発現することを報告した。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年6月7日掲載の報告。

今も半数以上の医師が一般名処方を行っていない

 ケアネットは21日、自社で運営するケアネット・ドットコムの医師会員1,000人に対し2013年6月6日~7日に実施した、“一般名処方”に対する意識調査の結果を発表した。本調査は、後発医薬品使用促進策の一つとして2012年4月に新設された“一般名処方加算”に関連して、現在の実施状況を尋ねたもの。その結果、実施後1年超が経過した今も半数以上の医師が一般名処方を行っていないことが明らかとなった。

MTX無効の関節リウマチへのDMARDs 3剤併用、MTX+エタネルセプトに非劣性/NEJM

 メトトレキサート(MTX)単剤療法の効果が十分でない関節リウマチ(RA)患者に対し、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)の3剤併用療法(MTX+サラゾスルファピリジン+ヒドロキシクロロキン)の効果は、MTX+エタネルセプトの2剤併用療法に対し非劣性であることが、米国・ネブラスカ大学医療センターのJames R. O’Dell氏らが実施したCSP 551 RACAT試験で示された。本試験は、欧州リウマチ学会(EULAR、スペイン・マドリード市)で報告され、NEJM誌オンライン版2013年6月11日号に掲載された。RAの治療はMTXで開始されることが多いが、MTX単剤で疾患活動性が低下する患者は約30%にすぎない。MTXの効果が不十分な場合に使用可能な生物学的製剤やDMARDsはいくつかあるが、RAは現在、糖尿病よりも治療コストの高い疾患となっており、その費用の大部分を生物学的製剤が占めるという。(※ヒドロキシクロロキンは国内未承認)

性的暴力被害者への集団療法の有効性/NEJM

 性的暴力の被害者は、抑うつや不安、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を呈する割合が高い。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のJudith K. Bass氏らは、高所得国では、性的暴力による関連症状に対する効果的な治療があるが、専門医療職がほとんどいない紛争地帯の低所得国での、関連症状に対する治療のエビデンス(集団療法vs.個別サポート)について調べた。その結果、集団療法によって、抑うつや不安の軽減と同時に機能改善も図れたことを報告した。NEJM誌2013年6月6日号より。

進行期悪性黒色腫へのラムブロリズマブ、確定奏効率38%/NEJM

 進行期悪性黒色腫患者に対する抗PD-1抗体ラムブロリズマブ(MK3475、国内未承認)投与により、持続的な腫瘍縮小効果が高率に認められ、治療薬関連の有害事象は主にグレード1または2であったことを、米国・Angeles Clinic and Research InstituteのOmid Hamid氏らが同薬の有効性と安全性を検討した臨床試験の結果、報告した。本検討は、免疫チェックポイント阻害薬イピリムマブ(国内未承認)による治療歴にかかわらず、疾患進行が認められている患者を被験者として行われた。その結果、イピリムマブ治療既往の有無による奏功率に有意差はなかったことも示されている。NEJM誌オンライン版2013年6月2日号より。

中国の認知症患者919万人、罹患率は1,000人・年当たり9.87/Lancet

 オーストラリア・メルボルン大学のKit Yee Chan氏らGlobal Health Epidemiology Reference Group(GHERG)は、中国の認知症患者研究に関する直近20年間(1990~2010年)の発表論文をシステマティックレビュー解析した結果、同患者数は1990年時点では368万人であったが、2010年現在919万人と推定されることを発表した。WHOの2012認知症報告に収載されているのは1984~2004年のデータを踏まえたものであることから、研究グループは今回の結果を踏まえて「中国の認知症疾患負荷について過小評価されている可能性がある。認知症疾患負荷は、国際的な保健共同体が考えているより急速に増大しているようだ」と指摘。そのうえで「政府は速やかに効果的な低・中間所得層への認知症対策に取り組まなければならない」とメッセージを発している。Lancet誌2013年6月8日号掲載の報告より。

帯状疱疹後神経痛、認知障害回避には局所疼痛治療が有益

 フランス・Centre de Pharmacologie CliniqueのGisele Pickering氏らは、帯状疱疹後神経痛を有する高齢患者について、痛みが及ぼすいくつかの認知領域への影響について検討した。その結果、疼痛といくつかの認知障害との関連、および疼痛治療に関して全身性治療は認知障害と関連していること、一方で局所治療は認知機能を障害することなく疼痛治療に有益であることを明らかにした。

軽度~中等度肥満の2型糖尿病患者への胃バイパス術vs.生活習慣+薬物治療/JAMA

 軽度~中等度肥満の2型糖尿病患者について、生活習慣および薬物治療に加えて胃バイパス術を行うことで、目標血糖値・LDL-C・収縮期血圧がより達成可能であることが、米国・ミネソタ大学のSayeed Ikramuddin氏らによる無作為化試験の結果、示された。糖尿病患者にとって血糖・血圧・コレステロールのコントロールは重要であるが、そのベストな目標値達成方法は明らかになっていなかった。米国糖尿病学会の治療ガイドラインでも、直近の無作為化試験結果を踏まえて、胃バイパス術は推奨に見合わないものとされているという。JAMA誌2013年6月5日号掲載の報告より。