日本語でわかる最新の海外医学論文|page:30

MSI-H大腸がん、ニボルマブへのイピリムマブ追加でPFS延長傾向(CheckMate 8HW)/ESMO2025

 CheckMate 8HW試験は、全身療法歴のない高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の転移大腸がん患者に対する、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の有用性を検討した試験である。すでに併用療法が化学療法を無増悪生存期間(PFS)で上回ったことが報告されており、新たな標準治療の候補となっていた。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)においてイタリア・Veneto Institute of Oncology のSara Lonardi氏が、本試験のPFSの最終解析、および初の報告となる全生存期間(OS)を発表した。

「若者は管理職になりたがらない」は医師にも当てはまる?/医師1,000人アンケート

 「最近の若手は出世意欲がない」「管理職になりたがらない」と言われることがあり、20〜40代の会社員を対象とした調査では、約71%が出世を望んでいなかったという報告もある。これは医師にも当てはまる傾向なのだろうか?若手医師が管理職になりたいのかどうか、また仕事で重視することは何かを調査するため、CareNet.comでは20~30代の会員医師1,006人を対象に、管理職への昇進・昇格意向に関するアンケートを行った(実施:2025年9月18日)。なお、本アンケートにおける「管理職」とは、講師以上、医長以上(または相当)のポジションを指すこととした。

アルツハイマー病のアジテーションに対するブレクスピプラゾール〜RCTメタ解析

 アルツハイマー病に伴うアジテーションは、患者および介護者にとって深刻な影響を及ぼす。セロトニンとドパミンを調整するブレクスピプラゾールは、潜在的な治療薬として期待されるが、最近の試験や投与量の違いにより、最適な有効性および安全性についての見解は、一致していない。ブラジル・Federal University of ParaibaのJoao Vitor Andrade Fernandes氏らは、アルツハイマー病に伴うアジテーションの治療におけるブレクスピプラゾールの有効性および安全性を用量特異的なアウトカムに焦点を当て評価するため、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Indian Journal of Psychiatry誌2025年9月号の報告。

心血管疾患の発症前にはほぼ常に警告サインあり

 冠動脈疾患(CHD)や心不全(HF)、脳卒中などの心血管疾患(CVD)の発症前には、少なくとも1つの警告サインが現れているようだ。CVDの発症前には、以前よりCVDの主なリスク因子とされている高血圧、脂質異常症、高血糖、および喫煙の4つの因子のうちの少なくとも1つが99%以上の確率で存在していることが、新たな研究で示された。米ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部のPhilip Greenland氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に9月29日掲載された。  研究グループは、この結果は、CVDは予兆なく発症することが多いという一般的な考え方を否定するものだとしている。Greenland氏は、「この研究は、CVDの発症前に1つ以上の最適ではないリスク因子にさらされる確率がほぼ100%であることを、極めて強い説得力をもって示している」と述べている。同氏は、「今後は、治療が容易ではなく因果関係もない他の要因を追求するのではなく、これらの修正可能なリスク因子をコントロールする方法を見つけることに、これまで以上に力を入れるべきだ」と同大学のニュースリリースの中で付け加えている。

ビタミンD欠乏症が10年間で有意に減少、骨折リスク低減に期待

 骨や筋肉の健康を守るうえで欠かせない栄養素、ビタミンD。その不足は骨粗鬆症や骨折リスクの増大と関わることが知られている。今回、日本の大規模調査で、一般住民におけるビタミンD欠乏の割合がこの10年で有意に減少したことが明らかになった。血中ビタミンD濃度も上昇しており、将来的に骨粗鬆症や骨折の発症リスク低減につながる可能性があるという。研究は東京大学医学部附属病院22世紀医療センターロコモ予防学講座の吉村典子氏らによるもので、詳細は8月27日付で「Archives of Osteoporosis」に掲載された。

世界の疾病負担とリスク因子、1990~2023年の状況/Lancet

 2010年以降、感染性・母子新生児・栄養関連(CMNN)疾患および多くの環境・行動リスク因子による疾病負担は大きく減少した一方で、人口の増加と高齢化が進む中で、代謝リスク因子および非感染性疾患(NCD)に起因する障害調整生存年数(DALY)は著しく増加していることが、米国・ワシントン大学のSimon I. Hay氏ら世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study:GBD)2023 Disease and Injury and Risk Factor Collaboratorsの解析で示された。Lancet誌2025年10月18日号掲載の報告。

冠動脈バイパス術後の新規AF発症、術後30日以後はリスク低い?/JAMA

 ドイツ・LMU University HospitalのFlorian E. M. Herrmann氏らは、同病院およびイエナ大学病院の心臓外科センターで研究者主導の前向き観察研究を実施し、植込み型心臓モニター(ICM)による1年間のモニタリングの結果、冠動脈バイパス術(CABG)後1年以内の新規心房細動(AF)の累積発生率は既報より高かったものの、術後30日以降はAF負担がきわめて低いことを明らかにした。CABG後のAF新規発生率や負担は不明であるが、米国のガイドラインでは非無作為化臨床試験に基づきCABG後新たにAFを発症した患者に対し60日間の経口抗凝固療法がクラス2a(中程度の強さ)で推奨されている。著者は「術後30日以降のきわめて低いAF負担は、現行ガイドラインの推奨に疑問を呈するものである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年10月9日号掲載の報告。

低用量アスピリンが再発予防効果を認める大腸がんのタイプが明らかになった(解説:上村 直実氏)

観察研究やコホート研究の結果からアスピリンや非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAID)が大腸がんの発生や再発のリスクを低下することがよく知られているが、プラセボとの無作為化比較試験(RCT)による厳密な研究デザインによるエビデンスは少なく、さらに、どのような大腸腫瘍に対して有効なのか無効なのかは判明していないのが現状であった。これらの課題を克服するため、今回、細胞の成長や増殖などさまざまな細胞機能の調節に重要な役割を果たす酵素であるPI3K(Phosphoinositide 3-kinase)をコードするPI3K遺伝子の変異が陽性の大腸がん切除後症例を対象として施行されたプラセボ対照RCTの結果、低用量アスピリン(LDA)(160mg/日)の内服により手術後の再発率が有意に低下することが2025年のNEJM誌に報告された。

ctDNA陽性のMIBC患者、術後アテゾリズマブ投与でDFS・OS改善(IMvigor011)/ESMO2025

 術後に最長1年間連続的に実施した血中循環腫瘍DNA(ctDNA)検査で陽性と判定された筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)患者において、術後療法としてのアテゾリズマブ投与はプラセボと比較して無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)を有意に改善した。英国・Barts Cancer InstituteのThomas Powles氏が、第III相IMvigor011試験の主要解析結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で報告した。なお、本結果はNEJM誌オンライン版2025年10月20日号に同時掲載された。 ・対象:ctDNA陽性(術後1年まで6週ごとにctDNA検査・12週ごとに画像検査を実施)のMIBC患者[膀胱全摘除術後6~24週以内、(y)pT2-4aN0M0または(y)pT0-4aN+M0、画像上の病変なし、ECOG PS 0~2、術前化学療法歴は許容] ・試験群(アテゾリズマブ群):アテゾリズマブ(1,680mg、4週ごと、最大1年まで) 167例

ALK陽性NSCLCへの術後アレクチニブ、4年OS率98.4%(ALINA)/ESMO2025

 ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)の完全切除達成患者を対象に、術後アレクチニブの有用性を検討した国際共同第III相試験「ALINA試験」の主解析において、アレクチニブはプラチナ製剤を含む化学療法と比較して、無病生存期間(DFS)を改善したことが報告されている(ハザード比[HR]:0.24、95%信頼区間[CI]:0.13~0.43)。ただし、とくに全生存期間(OS)に関するデータは未成熟(主解析時点のイベントは6例)であり、より長期の追跡結果が望まれていた。そこで、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)において、Rafal Dziadziuszko氏(ポーランド・グダニスク大学)が、本試験の約4年追跡時点の結果を報告した。

胃がん初のFGFR2b阻害薬、長期追跡では治療効果が減弱(FORTITUDE-101)/ESMO2025

 FGFR2b過剰発現は、胃がんにおいて比較的高頻度にみられ、新たな薬剤標的として注目されている。bemarituzumab(BEMA)はFGFR2bを標的とする初の抗体薬であり、今年6月に開発元のプレスリリースで、胃がんに対して全生存期間(OS)を有意に延長したとの発表があり、詳細なデータが待たれていた。しかし、長期追跡ではその効果が減弱する傾向が認められたという。10月17~21日に行われた欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)Presidential Symposiumにおいて、韓国・延世大学校医科大学のSun Young Rha氏が、第III相FORTITUDE-101試験の結果を報告した。

寛解後の抗精神病薬減量は認知機能改善に寄与するか

 寛解した精神疾患患者では、再発リスクを増加させることなく、抗精神病薬を減量することが可能である。しかし、抗精神病薬の漸減が認知機能改善につながるかどうかは、これまでよくわかっていなかった。国立台湾大学のChun-I Liu氏らは、抗精神病薬の漸減を行った患者と固定用量のまま維持した患者における認知機能の変化を比較した。Psychological Medicine誌2025年8月27日号の報告。  安定期統合失調症関連精神病患者を対象に、2年間のプロスペクティブ研究を実施した。抗精神病薬の漸減群または維持群に分類した。認知機能は、ベースライン時、1年後、2年後にWAIS-III成人認知機能検査中国語版を用いて評価した。抗精神病薬の減量率と認知機能改善との関係の評価には、スピアマンの相関係数を用いた。また、アリピプラゾール使用群と非使用群にける認知機能も比較した。

monarchE試験のOS結果が発表/ESMO2025

 HR+/HER2-でリンパ節転移陽性の高リスク早期乳がん患者を対象に、術後内分泌療法(ET)へのアベマシクリブ追加の有用性を検討したmonarchE試験の全生存期間(OS)の解析の結果、アベマシクリブ+ET併用療法は、ET単剤療法と比べて死亡リスクを15.8%低減させたことを、Royal Marsden NHS Foundation TrustのStephen R. Johnston氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表した。  monarchE試験は、HR+/HER2-でリンパ節転移陽性の高リスク早期乳がん患者5,637例を、2年間の術後療法としてアベマシクリブ+ET群とET単独群に1:1に無作為に割り付けた第III相多施設共同無作為化非盲検試験。これまでの解析では、アベマシクリブ追加による無浸潤疾患生存期間(iDFS)および無遠隔再発生存期間(DRFS)の5年時のベネフィットが報告されている。今回は、主要副次評価項目であるOSのほか、更新されたiDFSとDRFSの結果が報告された。

アナフィラキシーへのアドレナリン点鼻投与の効果、エピペンと同等以上

 新たなエビデンスレビューによると、命に関わる重度のアレルギー反応を起こした人は、アドレナリンを主成分とするエピペンを太ももに刺すよりも点鼻スプレーを使った方が良いかもしれない。この研究では、液体または粉末のアドレナリンのスプレーによる鼻腔内投与は、注射による投与と同等か、場合によってはそれ以上の効果のあることが示されたという。英ロイヤル・ダービー病院のDanielle Furness氏らによるこの研究結果は、欧州救急医学会議(EUSEM 2025、9月28日〜10月1日、オーストリア・ウィーン)で発表された。

SGLT2阻害薬、自己免疫性リウマチ性疾患のリスクは?/BMJ

 韓国の大規模な2型糖尿病成人コホートにおいて、SGLT2阻害薬はスルホニル尿素(SU)薬と比較し自己免疫性リウマチ性疾患のリスクを11%低下させることが、韓国・成均館大学校のBin Hong氏らによる後ろ向きコホート研究の結果で示された。SGLT2阻害薬は、その潜在的な免疫調節能により自己免疫疾患への転用候補の1つと考えられているが、自己免疫病態に関与する発症経路における重要な細胞や分子に対する阻害作用が臨床的に意味を有するかどうかは依然として不明であった。著者は、「今回の結果は、SGLT2阻害薬が自己免疫疾患のリスク低減に寄与する可能性を示唆しているが、潜在的な有益性は、既知の有害事象や忍容性に関する懸念と慎重に比較検討する必要があり、他の集団や状況における再現性の検証、ならびに自己免疫性リウマチ性疾患患者を対象とした研究が求められる」と述べている。BMJ誌2025年10月15日号掲載の報告。

腹部大手術時の周術期血圧管理、個別化vs.通常/JAMA

 腹部大手術を受ける術後合併症リスクが高い患者において、術前夜間平均動脈圧(MAP)に基づく個別周術期血圧管理は、MAP目標値65mmHg以上とする通常血圧管理と比較して、術後7日以内の急性腎障害、急性心筋障害、非致死的心停止または死亡の複合アウトカムを減少させなかった。ドイツ・University Medical Center Hamburg-EppendorfのBernd Saugel氏らIMPROVE-multi Trial Groupが、同国15の大学病院で実施した無作為化単盲検試験「IMPROVE-multi試験」の結果を報告した。手術中の低血圧は臓器損傷と関連しているが、手術中の血圧管理が臨床アウトカムを改善可能かについては不明であった。JAMA誌オンライン版2025年10月12日号掲載の報告。

ALK陽性進行NSCLCへのアレクチニブ、OS中央値81.1ヵ月(ALEX)/ESMO2025

 ALK融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するアレクチニブは、海外第III相無作為化比較試験「ALEX試験」において、全生存期間(OS)中央値81.1ヵ月、奏効期間(DOR)中央値42.3ヵ月と良好な治療成績を示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)において、Tony S. K. Mok氏(中国・香港中文大学)が本試験のOSの最終解析結果を発表した。本試験は、ALK融合遺伝子陽性の進行NSCLC患者を対象として、アレクチニブの有用性をクリゾチニブとの比較により検証する試験である。本試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の最終解析結果はすでに報告されており、アレクチニブのクリゾチニブに対する優越性が示されている。今回は、PFSの最終解析時から約6年の追跡期間が追加された。なお、本結果はAnnals of Oncology誌オンライン版2025年10月17日号に同時掲載された。

免疫療法の対象とならない進行TN乳がん1次治療、Dato-DXdがPFSとOSを延長(TROPION-Breast02)/ESMO2025

 免疫チェックポイント阻害薬の対象とならない局所進行切除不能または転移のあるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療で、ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd)が化学療法に比べ有意に全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を延長したことが第III相TROPION-Breast02試験で示された。シンガポール・National Cancer Center SingaporeのRebecca Dent氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で発表した。

結腸がん術後ctDNAによるde-escalation、リスク低減も非劣性は示されず(DYNAMIC-III)/ESMO2025

 術後のctDNA検査の結果をその後の治療選択に役立てる、という臨床試験が複数のがん種で進行している。DYNAMIC-IIIは結腸がん患者を対象に、術後のctDNA検査結果に基づいて、術後化学療法の強度変更を検討した試験である。今年6月の米国臨床腫瘍学会年次総会(2025 ASCO Annual Meeting)ではctDNA陽性の治療強化例の解析結果が発表され、治療強化は無再発生存期間(RFS)を改善しないことが示された。10月17~21日に開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)では、Peter MacCallum Cancer Centre(オーストラリア・メルボルン)のJeanne Tie氏がctDNA陰性のde-escalation(治療減弱)例の解析結果を発表した。ctDNA陽性例と合わせた本試験の結果は、Nature Medicine誌オンライン版2025年10月20日号に同時掲載された。