脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:142

認知症患者と介護者のコミュニケーションスキル向上のために

 看護師と認知症患者との効果的なコミュニケーションにより、患者ニーズの理解が促進し、コミュニケーションのミスに関連した患者または看護師におけるフラストレーションが軽減するため、患者ケアの質が高まる。台湾・国立成功大学のHui-Chen Chao氏らは、最新の革新的インターネットベースコミュニケーション教育(AIICE)プログラムが、認知症患者に対する看護師のコミュニケーションスキルおよび認知症患者の記憶・行動関連の症状およびうつ症状に及ぼす影響を検討した。その結果、AIICEプログラムは看護師のコミュニケーション知識、患者とのコミュニケーション能力評価の頻度、コミュニケーション実行能力を向上させ、患者の記憶・行動関連の問題およびうつ症状を軽減させることが示された。著者らは、「AIICEプログラムを用いた看護師の継続的なコミュニケーション訓練が推奨される」と述べている。Journal of Nursing Research誌オンライン版2015年9月14日号の掲載報告。

STEMIへのPCI、ルーチン血栓除去併用は脳卒中増大/Lancet

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者への経皮的冠動脈インターベンション(PCI)時のルーチンの用手的血栓除去術併用は、長期的な臨床的アウトカムを低減しない一方で、脳卒中の増大と関連している可能性があることが示された。カナダ・マックマスター大学のSanjit S Jolly氏らが、前向き無作為化試験TOTALの1年フォローアップ評価の結果、報告した。同併用について先行する2件の大規模試験では相反する結果が報告されていたが、今回の結果を踏まえて著者は、「もはや血栓除去術は、STEMI患者へのルーチン戦略として推奨できない」と述べている。Lancet誌オンライン版2015年10月12日号掲載の報告。

アルツハイマー病への薬物治療、開始時期による予後の差なし

 世界中で何百万人もの高齢者がアルツハイマー病(AD)で苦しんでいる。治療薬にはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンがあるが、その臨床効果は限られており、早期に薬物療法を開始することが長期的に良好な予後につながるかどうかも不明である。そこで、中国・香港中文大学のKelvin K.F. Tsoi氏らは、AD患者に対する早期治療の有効性について、前向き無作為化比較試験のメタ解析を行った。その結果、約6ヵ月早くAD治療薬の投与を開始しても投与開始が遅れた場合と比較して、認知機能、身体機能、行動問題および臨床症状に有意差は認められなかった。この結果について著者らは、「追跡期間が2年未満の早期AD患者の割合が比較的高かったためと考えられる」と指摘したうえで、「長期に追跡した場合の有効性について、今後さらなる研究が必要である」とまとめている。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2015年9月18日号の掲載報告。

青年期の運動能力と筋力は血管疾患や不整脈イベントと関連するか(解説:三浦 伸一郎 氏)-439

Dr. Anderson氏らは、青年期の運動能力と筋力が高い群では、共に低い群に比較して、将来の血管疾患イベントが有意に減少していたという興味深い結果を報告した。従来、中高年者の中で運動能力が高い人では、心血管疾患の罹患率や死亡率がそうでない人と比べて有意に低下していることはよく知られていた。しかし、今回の報告のように、青年期の運動能力と筋力が予後に関与するかについての報告はなかったため、このことがBMJ誌に掲載された1つの理由であろう。しかし、今回の結果は、いくつかの点を熟慮しなければならない。

外傷性脳損傷への低体温療法、有益性なし/NEJM

 外傷性脳損傷で頭蓋内圧亢進の認められる成人患者に対する低体温療法は、臨床転帰を悪化させる可能性があることが報告された。英国・ウェスタン総合病院のPeter J.D. Andrews氏らが、400例弱を対象に行った無作為化比較対照試験の結果、明らかにした。これまで、外傷性脳損傷における低体温療法は、頭蓋内圧亢進を低下することは知られていたが、機能的アウトカムへの有益性は不明であった。NEJM誌オンライン版2015年10月7日号掲載の報告。

生体弁で弁尖運動が低下、脳卒中・TIAリスク増大の可能性も/NEJM

 大動脈生体弁の植込みをした患者について調べた結果、弁尖運動の低下が認められ、その発生率はワルファリンによる抗凝固療法を行った患者のほうが、抗血小板薬2剤併用療法を受けた患者に比べ低率であることが判明した。弁尖運動の低下は、抗凝固療法により改善することも確認されたという。米国・Cedars–Sinai Heart InstituteのRaj R Makkar氏らが、約190例の患者について調べ報告した。弁尖運動の低下は、脳卒中や一過性脳虚血発作(TIA)の発生リスクを増加する可能性も示唆され、著者は「今回発見した所見の臨床的アウトカムへの影響について、さらなる調査を行う必要がある」と指摘している。NEJM誌オンライン版2015年10月5日号掲載の報告。

脳梗塞と脳出血の発症しやすい季節

 国立病院機構南京都病院の重松 一生氏らは、京都府医師会脳卒中登録に登録された約1万4千例のデータから、虚血性脳卒中と出血性脳卒中の発症比率の季節変動を検討した。その結果、脳卒中の種類により季節変動性が異なり、脳出血/脳梗塞、くも膜下出血/脳梗塞におけるオッズ比は、年齢・性別・危険因子に関係なく、夏で低くそれ以外の季節で高いことが認められた。Acta Neurologica Scandinavica誌2015年12月号に掲載。

CHA2DS2-VAScスコアの応用って?~JAMA掲載に値するか~(解説:西垣 和彦 氏)-430

世の中には、あまた医学雑誌がある。その中でも最高峰に位置するのが、このJAMA(米国医師会雑誌)である。インパクトファクター(impact factor: IF)は、2014年には54.420と上昇し、臨床医学総合誌では第1位の座を堅持している。しかしながら、インパクトファクターは、自然科学・社会科学分野の学術雑誌を対象として、その雑誌の影響度、引用された頻度を測る指標であるが、あくまでWeb of Scienceに収録された、特定のジャーナルの「平均的な論文」の被引用回数にすぎない。JAMA誌の記事の採択率は、依頼した記事も依頼していない記事もまとめて、年間6,000本受け取るうちのおおよそ8%であり、最難関の雑誌であることは間違いない。しかし、しょせん米国医師会雑誌であり、専門性がない臨床医学総合誌であるので、読者層はおのずから幅広くなり、インパクトファクターが高くなることは必然である。最近、このJAMA誌において、その独自性と総合雑誌であるがゆえに、頭を抱えたくなるような論文が掲載される例が多々目に付く。この論文もその範囲にあるのかもしれない。

アルツハイマー病の焦燥性興奮に新規配合薬が有望/JAMA

 アルツハイマー病が疑われ焦燥性興奮を呈する患者に対し、開発中の配合薬デキストロメトルファン臭化水素酸塩+キニジン硫酸塩の10週間投与により、興奮症状の軽減が認められたことが報告された。米国・Cleveland Clinic Lou Ruvo Center for Brain HealthのJeffrey L. Cummings氏らが行った第II相臨床試験の結果、示された。全体的に忍容性も良好だったという。JAMA誌2015年9月22/29日号掲載の報告より。