脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:131

STEMIへの線溶療法、薬剤により死亡リスクに差/Lancet

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対する線溶療法では、薬剤などによって重要な相違点があり、アルテプラーゼ急速投与、テネクテプラーゼ(tenecteplase)およびレテプラーゼ(reteplase)は、ストレプトキナーゼ(streptokinase)やアルテプラーゼ非急速投与より優先して考慮されるべきで、線溶療法への糖蛋白IIb/IIIa阻害薬の追加は避けるべきである。タイ・ウボンラーチャターニー大学のPeerawat Jinatongthai氏らが、無作為化試験のシステマティックレビューとネットワークメタ解析の結果を報告した。線溶療法は、医療資源が乏しい環境下のSTEMI患者に対する、機械的再灌流に代わる治療法であるが、各種線溶療法を比較した包括的なエビデンスは不足していた。Lancet誌2017年8月19日号掲載の報告。

自宅に退院する急性脳卒中患者を予測する5つの因子

 急性期脳卒中入院患者の退院計画は、医療資源の合理的な利用を促進するとともに、臨床アウトカムを改善し患者の経済的負担を軽減する。とくに、退院先の予測は退院計画に重要であることから、京都大学の西垣 昌和氏らのグループは、急性脳卒中後に自宅に退院する可能性が高い患者を予測する5つの変数を特定し、評価モデルを開発した。本モデルは入院後早期に医療従事者が退院を適切に計画するのに役立つだろう、と著者らは記している。Stroke誌オンライン版2017年8月25日号に掲載。

アメフト選手の約9割に慢性外傷性脳症(CTE)(中川原譲二氏)-722

アメリカンフットボール(アメフト)選手は、長期的な神経学的傷病、とくに慢性外傷性脳症(CTE)が増大するリスクに曝されている。そこで、本研究はCTEを有する元アメフト選手の神経病理学的所見と臨床像を明らかにすることを目的として行われた。対象は、研究のために脳検体が提供された202例の死亡した元アメフト選手である。神経病理学的評価とともに、選手時代のことを知る情報提供者に研究目的を知らせずに、電話による頭部外傷歴を含む臨床評価(後ろ向き)を行った。また、オンラインアンケートで競技歴および軍歴を確認した。さまざまなレベルの選手がアメフトに参加していた。

大腿静脈カテーテル、望ましい穿刺位置と肢位は?

 大腿静脈カテーテル挿入は、血管の断面積(CSA)が大きな部位で行うと合併症リスクが減少する可能性がある。今回、ポーランド・Maria Sklodowska-Curie Memorial Cancer CenterのDorota Czyzewska氏らが、3つの肢位で2部位の右大腿静脈のCSAを調べたところ、肢位は開排位において最大であり、部位については性別で異なることが示された。PLOS ONE誌2017年8月14日号に掲載。

悪性脳腫瘍に対するテモゾロミド療法の役割は?/Lancet

 新たに診断された1p/19q非欠失の退形成星細胞腫患者において、テモゾロミドアジュバント療法により、顕著な生存ベネフィットを得られることが、第III相無作為化非盲検試験「CATNON(EORTC study 26053-22054)」の中間解析として報告された。オランダ・エラスムスMCがん研究所のMartin J van den Bent氏らが、Lancet誌オンライン版2017年8月8日号で発表した。同患者に対するテモゾロミドによる化学療法は、1p/19q欠失の退形成星細胞腫よりも有効性は低く予後は不良とされているが、その役割は明確にはなっていなかった。

抗凝固薬の中和薬:マッチポンプと言われないためには…(解説:後藤 信哉 氏)-715

手術などの侵襲的介入時におけるヘパリンの抗凝固効果はプロタミンにより中和可能であり、経口抗凝固薬は外来通院中の症例が使用しているので、ワルファリンの抗凝固効果は新鮮凍結血漿により即座に、ビタミンKの追加により緩除に中和できることを知っていても、中和薬の必要性を強く感じる場合は少なかった。止血と血栓は裏腹の関係にあるので、急性期の血栓、止血の両者を管理する必要のある症例の多くは入院症例であり、その多くは調節可能な経静脈的抗凝固療法を受けていた。

「コード・ブルー」医療監修、松本 尚氏に聞くドラマの裏側

 テレビドラマでは、やればおおむね当たると言われている「職業モノ」が2つあり、その1つが医療ドラマである(ちなみにもう1つは刑事ドラマ)。この夏、『コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON』(フジテレビ系列)が好評だ。本作は9年前のシーズン1、7年前のシーズン2に続く3作目。月曜9時枠としては硬派路線で、医療シーンが忠実に作り込まれているのが特徴だが、そのリアリティーを下支えしているのが医療監修である。今回、本作の医療監修を務め、自身も国内のフライトドクターの第一人者である松本 尚氏(日本医科大学千葉北総病院 救命救急センター長)に、医療者の視点からみたドラマの裏側についてお話を伺った。

SAVR後の脳卒中予防、脳塞栓保護デバイスは有用か/JAMA

 外科的大動脈弁置換術(SAVR)における虚血性中枢神経系損傷の減少に対する、脳塞栓保護デバイスの有効性と安全性を検証した無作為化臨床試験の結果を、米国・Baylor Scott & White HealthのMichael J. Mack氏らが報告した。SAVR施行患者において、脳塞栓保護デバイスは標準的な大動脈カニューレと比較し、7日後の脳梗塞リスクを有意に減少するには至らなかったものの、著者は、「せん妄の減少、認知機能、症候性脳卒中に有用である可能性が示唆され、大規模臨床試験で長期追跡調査を実施するに値する」とまとめている。脳卒中はSAVRの重大な合併症で、脳塞栓保護デバイスの意義について、より厳密なデータが求められている。JAMA誌2017年8月8日号掲載の報告。

急性期脳梗塞の血栓回収療法、吸引型 vs.ステント型/JAMA

 前方循環脳梗塞患者における吸引型デバイスを用いた血栓回収は、ステントリトリーバーを用いた場合に比べて、再開通率の向上をもたらさなかったことが、ASTER試験(The Contact Aspiration vs Stent Retriever for Successful Revascularization study)の結果、明らかとなった。フランス・ベルサイユ大学のBertrand Lapergue氏らが報告した。これまで、急性期脳梗塞患者において、吸引型デバイスによる血栓回収(a direct aspiration first pass technique[ADAPT]またはcontact aspiration)とステントリトリーバーによる血栓回収の有用性を比較した無作為化試験からは、十分なエビデンスを得られていなかった。JAMA誌オンライン版2017年8月1日号掲載の報告。