アルツハイマー型認知症の薬はうたかたの夢か(解説:岡村毅氏)-1030

私たちの世代はアルツハイマー型認知症の薬の恩恵にはあずかれない。いつかは実現するかもしれないし、そう願うが、現実を見つめよう。 本論文は、アルツハイマー型認知症について広く信じられているアミロイド仮説(「アルツハイマー型認知症のセントラルドグマ」)に基づくものだ。つまりアミロイドをつくる酵素(BACE)を阻害する物質が、治療薬となるのではという考え方であった。しかし、本欄でも過去に紹介したように、すでに認知症になっている人に対して行われた研究では効果は見られなかった(「認知症の薬はいったいいつできるのか? バプティスト史観から」)。