神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:22

降圧薬を減らすと認知機能の低下が抑制される!?

 中年期の高血圧は認知機能低下のリスクであるという報告があるが、日常生活動作(ADL)が低下している高齢者では血圧が高いほうが認知機能の低下が小さいという報告もある。このように、高齢者における降圧薬と認知機能の関係は複雑である。そこで、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のBocheng Jing氏らの研究グループは、長期介護施設に入居する65歳以上を対象として、target trial emulationの手法を用いた後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、降圧薬の減薬により認知機能の低下が抑制されることが示唆された。本研究結果は、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年9月23日号で報告された。

日本人の牛乳・乳製品の摂取と不眠症との関連

 労働安全衛生総合研究所の佐藤 ゆき氏らは、日本人における牛乳や乳製品の習慣的な摂取と不眠症との関連を調査した。Nutrition and Health誌オンライン版2024年9月25日号の報告。  東日本で20〜74歳の6万633人(男性:2万2,721人、女性:3万7,912人)を対象に、コホート研究データを用いた横断的研究を実施した。牛乳、乳製品の摂取、睡眠状況、その他の生活習慣に関するデータは、自己記入式質問票を用いて収集した。牛乳、乳製品に関する質問は、全乳、低脂肪牛乳、チーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料を含め、摂取頻度(週1回未満、週1〜2回、週3〜6回、1日1回以上)を評価した。睡眠状況の評価には、アテネ不眠症尺度を用いた。

10月25日開催『第6回ヘルスケアベンチャー大賞』最終審査会【ご案内】

 2024年10月25日(金)に『第6回ヘルスケアベンチャー大賞』最終審査会が開催される。「アンチエイジングからイノベーションを!」をテーマに、アンチエイジングに資するヘルスケア分野のビジネスプランやアイデアを企業から募集。その中から書類審査を経て、見事に選ばれたファイナリスト5社がヘルスケアベンチャー大賞の獲得を目指し、最終ピッチを行う。そのほか、中村 雅也氏(慶應義塾大学医学部整形外科学教室)による特別講演や、イベント後には、最終審査会を終えたばかりのファイナリストとの交流の場として懇親会などが設けられる。

8年ぶりの新薬登場、非専門医も押さえておきたいてんかん診療の今/ユーシービー

 部分発作を適応とする抗てんかん薬として、国内8年ぶりの新薬ブリーバラセタム(商品名:ブリィビアクト錠25mg、同50mg)が2024年8月30日に発売された。ユーシービージャパンは10月2日、「てんかん治療の新たな一歩~8年ぶりの新薬登場~」と題したメディアセミナーを開催。川合 謙介氏(自治医科大学附属病院脳神経外科)、岩崎 真樹氏(国立精神・神経医療研究センター病院脳神経外科)らが登壇し、てんかん診療の現状と課題、ブリーバラセタムの臨床試験結果などを解説した。

歯の数は日本人の平均余命にどの程度影響するか?

 これまでの研究において、歯の喪失が認知症リスクの増加と関連していることが報告されている。しかし、歯の数と認知症のない平均余命や認知症の有無によらない平均余命との関連を調査した研究は、これまでほとんどなかった。東北大学の木内 桜氏らは、日本人高齢者の歯の数と認知症のない平均余命および認知症の有無によらない平均余命との関連を調査するため、プロスペクティブコホート研究を実施した。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2024年9月11日号の報告。  2010〜20年の10年間フォローアップ調査を行った。対象は、日本の9つの自治体に在住する、機能的に自立した65歳以上の高齢者。歯の数は、20本以上、10〜19本、1〜9本、0本に分類した。アウトカムとして、10年間のフォローアップ期間中における認知症の発症および死亡率を収集した。歯の数に応じ、認知症のない平均生存率および全生存率を推定するため、multistate modelingを用いた。

脳卒中後には睡眠パターンが変わる?

 一晩の正常な睡眠時間は6〜8時間と考えられているが、脳卒中生存者の中でこの健康的な睡眠時間を維持できている人は半数以下に過ぎないことが、新たな研究で明らかにされた。この研究では、脳卒中の既往がある人の多くで、一晩の睡眠時間が長過ぎるか短過ぎるかのいずれかであることが示されたという。米デューク大学医学部のSara Hassani氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に9月11日掲載された。  論文の筆頭著者であるHassani氏は、「適切な睡眠時間は、理想的な脳と心臓の健康に不可欠だと考えられている。長過ぎたり短過ぎたりする睡眠は脳卒中後の回復に影響し、生活の質(QOL)を低下させる可能性がある。この研究結果を受けて、脳卒中の既往がある人が睡眠問題を抱えていないかを検査し、問題がある人の睡眠習慣を改善する方法を検討すべきだ」と主張している。

呼吸によりマイクロプラスチックが脳に侵入する?

 人間の脳から初めて、顕微鏡でしか確認できない微小なプラスチック粒子(マイクロプラスチック)が検出された。ベルリン自由大学(ドイツ)のLuis Fernando Amato-Lourenco氏とサンパウロ大学(ブラジル)のThais Mauad氏らが率いる研究グループが、剖検された15人の成人のうちの8人において、脳の嗅覚を司る領域である嗅球からマイクロプラスチックが検出されたことを報告した。空気中に浮遊する小さなマイクロプラスチックはあらゆる場所に存在するため、生涯にわたって呼吸を通じて吸い込まれた可能性が高いと見られている。詳細は、「JAMA Network Open」に9月16日掲載された。

金融詐欺に遭うのはアルツハイマー病の初期兆候?

 金融詐欺に引っかかりやすくなっている高齢者では、アルツハイマー病発症の高リスクと関連付けられている脳領域に変化が生じている可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。論文の上席著者である、米南カリフォルニア大学心理学および家庭医学教授のDuke Han氏は、「高齢者の金銭的搾取に対する脆弱性を評価することは、軽度認知障害やアルツハイマー病などの認知症の初期段階にある人の特定に役立つ可能性がある」と述べている。この研究の詳細は、「Cerebral Cortex」9月号に掲載された。

脳梗塞発症後4.5時間以内、tenecteplase vs.アルテプラーゼ/JAMA

 発症後4.5時間以内の静脈内血栓溶解療法が適応となる急性虚血性脳卒中患者において、90日後の機能的アウトカムに関してtenecteplaseはアルテプラーゼに対して非劣性であることが認められ、安全性プロファイルも同様であった。中国・National Clinical Research Center for Neurological DiseasesのXia Meng氏らが、同国の55施設で実施した無作為化非盲検(評価者盲検)第III相非劣性試験「ORIGINAL試験」の結果を報告した。tenecteplaseはアルテプラーゼの遺伝子組み換え体で、フィブリン特異性が高く半減期が長いことから、単回ボーラス投与が可能である。tenecteplaseはアルテプラーゼと比較して、90日後の機能的アウトカム、死亡率、症候性頭蓋内出血の発生率が同等であることが報告されているが、中国人の急性虚血性脳卒中患者に対するtenecteplase 0.25mg/kgの有効性に関するエビデンスは限られていた。著者は、「本試験の結果は、脳梗塞発症後4.5時間以内の静脈内血栓溶解療法として、tenecteplaseはアルテプラーゼに代わる適切な治療法であることを支持するものである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2024年9月12日号掲載の報告。