内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:537

スタチンで糖尿病患者の下肢切断リスクが低下

 主要な心血管イベントに対するスタチンの効果を裏付けるエビデンスはあるが、四肢のアウトカムにおける保護効果をみた研究はほとんどない。今回、台湾・国立陽明大学のChien-Yi Hsu氏らの観察コホート研究により、末梢動脈疾患(PAD)を有する2型糖尿病(DM)患者において、スタチン使用者では非使用者に比べて、下肢切断および心血管死のリスクが低いことがわかった。The Journal of clinical endocrinology and metabolism誌オンライン版2017年4月7日号に掲載。

糖尿病の心血管イベント、15年で大きく減少/NEJM

 スウェーデンでは1998~2014年にかけて、糖尿病患者の心血管イベント発生率が減少し、その減少率は糖尿病ではない人に比べ20~40%大きいことがわかった。致死的イベントも減少したが、その減少率については、1型糖尿病患者は糖尿病でない人と同等、2型糖尿病患者ではより小さかった。スウェーデン・ヨーテボリ大学のAidin Rawshani氏らが明らかにしたもので、NEJM誌2017年4月13日号で発表した。糖尿病患者の死亡や心血管イベントの過剰リスクについて、長期的傾向を調べた大規模な試験はなかった。

腎保護効果は見せかけだった~RA系阻害薬は『万能の妙薬』ではない~(解説:石上 友章 氏)-669

CKD診療のゴールは、腎保護と心血管保護の両立にある。CKD合併高血圧は、降圧による心血管イベントの抑制と、腎機能の低下の抑制を、同時に満たすことで、最善・最良の医療を提供したことになる。RA系阻害薬は、CKD合併高血圧の治療においても、ファーストラインの選択肢として位置付けられている。RA系阻害薬には、特異的な腎保護作用があると信じられていたことから、糖尿病性腎症の発症や進展にはより好ましい選択肢であるとされてきた。一方で、CKD合併高血圧症にRA系阻害薬を使用すると、血清クレアチニンが一過性に上昇することが知られており、本邦のガイドラインでは、以下のような一文が付け足してある。

胎内で若年成人までのBMIが決まる?

 出生時体重がその後のBMIと相関するという報告があるが、遺伝もしくは胎内環境によるのかは不明である。フィンランド・ヘルシンキ大学のAline Jelenkovic氏らが、約8万人の双子のコホートデータを分析したところ、双子の出生時体重と乳児期~成人期のBMIが相関していた。このことから、少なくとも若年成人までは、各々に特有な胎内環境が出生時体重とその後のBMIの関連に重要な役割を果たすことが示唆された。International Journal of Epidemiology誌オンライン版2017年3月19日号に掲載。

世界の全死因、喫煙が占める割合は?/Lancet

 たばこ規制は、とくに「たばこの規制に関する枠組条約(FCTC)」の採択後に急速に拡大した。これは公衆衛生上の重要な成功談ではあるが、喫煙は現在も世界的に早期死亡や機能障害の主要なリスクであり続けており、それゆえ継続的な政治的取り組みが求められるという。Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study(GBD)の研究グループは、今回、GBD 2015の一環として、喫煙関連目標の達成に向けた世界および地域別・国別の進歩の評価を通じて、頑健な基盤を提示するために、喫煙率と喫煙の疾病負荷に関する系統的な解析の結果を報告した。研究の成果はLancet誌オンライン版2017年4月5日号に掲載された。

CAD患者、体重増加で心血管イベント増加/NEJM

 冠動脈疾患(CAD)患者では、体重の変動は従来の心血管リスク因子とは独立に、死亡や心血管イベントの発生割合を高めることが、米国・ニューヨーク大学医学部のSripal Bangalore氏らが実施したTreating to New Targets(TNT)試験の事後解析で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2017年4月6日号に掲載された。体重変動は、心血管疾患(CVD)のない患者の死亡や冠動脈イベントのリスク因子であることが知られているが、CAD患者のアウトカムへの影響は不明とされていた。

非肥満・非糖尿病でも、高インスリン血症でがん死亡増

 肥満や2 型糖尿病はがん関連死亡と関連しているが、肥満でも糖尿病でもない場合に高インスリン血症はがん死亡の危険因子となるのだろうか。国立国際医療研究センター病院の辻本 哲郎氏らの前向きコホート研究で、糖尿病ではない非肥満者において、高インスリン血症だとがん死亡リスクが高いことが示された。この結果から、肥満であるかどうかにかかわらず、高インスリン血症の改善はがん予防のための重要なアプローチとなりうる、と著者らは結論している。International journal of cancer誌オンライン版2017年4月8日号に掲載。

頭痛患者の認知症リスクは2倍

 原発性頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、他の原発性頭痛症候群が含まれる。片頭痛や緊張型頭痛は、患者の不快感や他疾患と関連する。台湾・三軍総医院内湖院区のNian-Sheng Tzeng氏らは、原発性頭痛と認知症発症リスクとの関連を調査し、タイプの異なる頭痛と認知症との関連を明らかにするため、検討を行った。The American journal of the medical sciences誌2017年3月号の報告。

心血管イベントの高リスク患者の目標血圧は?/Lancet

 心血管イベントのハイリスク患者では、治療により収縮期血圧120mmHg未満達成で心筋梗塞および脳卒中を除く心血管死のリスクが増加し、拡張期血圧70mmHg未満達成ではこれらに加え心筋梗塞および心不全による入院のリスクも増加する。ハイリスク患者を対象としたONTARGET試験およびTRANSCEND試験の2次解析で、治療により血圧を過度に低下させると心血管疾患イベントのリスクが高まることが確認された。ドイツ・ザールラント大学のMichael Bohm氏らが報告した。これまでも目標血圧の妥当性が検証されてきたが、著者は今回の結果について、「逆の因果関係(併存疾患による血圧低下、死亡率上昇)の影響を除外できないものの、可能な限り血圧を低くすることは、ハイリスク患者にとっては必ずしも最適(至適)ではないことを示唆している」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年4月5日号掲載の報告。